富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Air Asiaで香港に戻る

fookpaktsuen2011-08-16

八月十六日(火)未明の雷で目覚む。雲多きなか月、まだ十六夜か、を愛でる。朝食後、天気も晴れてきたが部屋を引き払ふ日にプールなど行くと水着は濡れてゐたり身体が火照つたり億劫になり部屋で暑中、のつもりが残暑見舞ひ書いたりノート整理するうちに昼近く。荷物まとめ部屋引き払ふ。四日滞在してご利用はプールサイドでの麦酒一杯でRM18.5のみ。Z嬢と合わせて本八冊、リゾートホテルだと小さくても図書館なんてのがあつたりするとそこに置いてくるのだが此のホテルはそれもないので勝手に部屋に「もう読み終はつた本ですので古本にでも出してゐたゞければ幸ひ」とメモ書きして置いてくる。澁澤龍彦の本の間にそれを購つたジョージタウン市街の古本屋の名刺を挟んできたのできつと戻るだらう。空港へはホテルのリムジンとかタクシーなんて勿体ないし路線バスの102系統がTeluk BahangからこのBatu Ferringhi経由して空港行きといふのが便利さうなのだが45〜60分に1本で決まつた時刻表もなくリスクが大きいので頻繁に出る101系統でジョージタウンの中心地Komtarへ行き、そこから一昨日と逆方向で下りの401系統に乗り換へることにする。101系統に乗るなりスコール。Komtarで今日が最後の地元新聞読みながら401系統を35分ほど待ち(結果論だがそれなら格成茶室で三度目のお昼ができた)来たのは102系統。で結果、ホテルから2時間で空港。自動車雇ふ倍くらゐの時間がかかつたが他に何かすることがあるでもなくバスに乗りバスを待つ時間が楽しい。Rapid Penang Passportは七日間有効、RM30だつたが完ぺきに元をとつた。活況ではAir Asiaの一人勝ちのやうなペナンの空港。ネットでチェックイン事前に済ませ携帯に送られてきたSMSのQRコードをチェックインカウンター横の読み取り機にかざすと、あら不思議、でレシートのやうな搭乗券がハッケンされ荷物のドロップオフで荷物託すだけ。混雑してゐたが10分とかゝらない。30分後がもう搭乗時間でフライトでは機内食も水一本も有料なので慌てゝ珍しく麥奴でビックマックなど飰す。餌だ、こりゃ。で搭乗口は隣のメダン行きフライトと重列でかなり混乱してゐたが復路も最前列の1Aと1Bといふ董建華夫人のやうなシートで優先搭乗。これ(ホットシートと呼ぶ)が一人あたりRM30だと思ふとかなりお得。しかも1Cは空席。ホットシートはかなり空いてゐたが外人夫婦の子ども三人連れ(しかも御上サンは妊娠中)が搭乗後に席の優先がどうの、妊婦がベルトをするのしないの=幼子は長男が膝に乗せるつもりだつた、何彼と仲居さん相手に文句放れ仲居頭が困つて機長にまで(おそらく安全ベルトの件だらうが)相談する始末で15分だかハッチ閉まつてから動かず。どうも一番小さい子は膝に載せるとかしたかつたものの座席が必要で子ども運賃発生する年齢だつたのか、さらに妊婦で子どもがゐるのに最前列が提供されないのはおかしい、といつたクレームで(確かにエコノミー最前列が子連れといふエアラインが多い、が格安航空の場合それがない)ホットシートに坐らせろ、空いてゐるのだから問題ないはずだ、でA320で2列目と3列目の6席占拠し父親は更に3列目の通路はさんだ反対側に一人だけ座り、の勝手し放題。しかも呆れるのは2列目に(アタシらの後ろで最悪!)子ども3人が坐り10歳くらゐの長男が幼子の面倒を見て3列目に一人で坐る母親は腹を突き出し、父親は子どもが泣こうが知らぬ存ぜぬで早くも睡眠モード。アタシも仲居に「子どもがうるさいから文句をいふんぢゃない。10歳以下の子どもを3人並んで坐らせシートベルト着用サインが出てゐるのに立つて遊んでゐたら危ないと思はない?」と指摘すると仲居さんは長男に「ちゃんと坐つて、ベルトして」と注意しただけで子どものフライトアテンダントのいふことなど聞きもせずアタシはさらに彼女に「だから子どもぢゃないくて子どもの面倒見ない親に注意しなさい」と指導。母親は仲居さんの度重なる注意と周囲の冷やかな空気を察したのか幼子は自分の隣に坐らせ少し静かになつたが父親はずっと子どもの世話は放棄。種付けだけして子育てしないなんてアンタは牡馬か、だらう。機中、小泉武夫「食と日本人の知恵」(岩波現代文庫)読む。香港に到着すると(この機体は今晩、香港泊まりらしく飛行機はゲート横付けされず遠方で降りてバスでゲートへ)ゲートまでわざ/\Air Asiaの空港当直のマネージャーが出向き、この夫婦つかまえ「ご説明したいことが……」と。ざまーみろ。格安航空使つて我がままはいけません、正規のサービス受けたいなら然るべき料金を払ふこと。ネットでの予約から料金設定の明瞭さ、チェックインの気軽さ、機内で水一杯、無料では出さない徹底、余計な機内娯楽の削除……何も彼もAir Asiaはご立派、たゞさうした無駄なサービス削除の結果で、この頭の悪さうな外人夫婦の場合などチェックインカウンターできちんと搭乗者の人数、年齢、座席など確認しなかつたことが問題=常に問題は初期対応の拙さから発生する。ちなみにAir Asiaは、創業当時は実質的国営のマレーシア航空(MAS)にこの格安航空の参入を拒まれ、かなりいろ/\圧力かけられ(KLに本社置くことすら妨害あり)空港などでも差別的扱ひすら受けてゐたが徐々に功績延ばし営業拡大で収益率も高く(あ、率でなく額でみないと……)今ではかつてのJAL的な体質で経営不振に陥つたMASについにAir Asiaの社主(マラッカ出身のポルトガル系マレーシア人)がMAS経営立て直しのため役員として加わるといふ、何とも主従逆転が起きてゐるほど。KLから倫敦、巴里までの便もあり、今度、利用してみようかしら。香港の空港到着してさすがに空腹感覚へ翡翠で雲呑麺飰す。世界中でミシュランガイドの星がついた店で空港に出店がある(笑)のは翡翠くらゐかしら。香港も月が美しい。帰宅して旅荷ほどき白檀の香を焚きハイボール一杯。いつものやうに晩のうちに荷物片付け深更に至る。
小泉武夫著「食と日本人の知恵」について。いつもの「ぐちゅぐちゅ」「しゅぱしゅぱ」がないのは、やつぱり岩波書店で?と思つたが、じつは新聞に連載された短いエッセイ集めたもので小泉先生らしい「「にぎやかな科学」を堪能させるだけの小泉節は抑制されている」(荒俣宏によるあとがき)で、たゞアタシが気になるのは小泉先生はいつもその食文化を語るときに日本をとても誉めるのだが、この本では短いエッセイで必ず一回、つまり一ページ毎に「日本人は得意の知恵を働かせて」とか「さて、日本人は、例によって、この民族特有の優れた知恵を発揮し」とか「日本人の知恵と感性の豊かさ」といふ、あまりにこのテの日本賛美が続き食傷気味。確かに日本の食文化が繊細であること、他の地域では見られない食品や調理法の改良など目立つことは事実だらう、が世界中の珍味や発酵食品など食べ歩いた碩学がこゝまでいち/\日本賛美しなくても、と思つたら、この岩波現代文庫、もと/\は「知恵の食事学」といふ本の改題で出版元がサンケイ出版(笑)。つまり産經新聞での連載で毎回、水戸黄門の印籠のように「日本人は得意の知恵を働かせて」で読者の愛国心が煽られゐた、ってことかしら。
▼ペナン覚へ書き① ジョージタウン東京海上火災の店構へが大きいのは、あれは戦前から?の立て替へなのかしら。
▼ペナン覚へ書き② 先日、アタシのお取り引き先のStandard Chartered Bankのペナン支店に往つたら総合口座の一つにIslamic Financial Serviceといふのがあり。回教系と非回教でバンキングで何が違ふのかしら。で紹介パンフレット読んだら、これは異教徒でもOKなんださうで、
Q: What are the differences between Islamic and conventional banking?
A: The most important difference between Islamic and conventional banking is the prohibition of interest. For example, the transactions in many Islamic Banking financing products are based on the trading principle of buying and selling assets instead of lending and borrowing.
と何だかわかるやうなわからないやうな。

せめて番号だけで記憶に残そう。タイでは0808133250、マレーシアは0143715736だつた。番号の浪費といふ気もするがネット専用に提供の番号は電話通話がない一方的なネット利用だから番号再利用可、か。
食と日本人の知恵 (岩波現代文庫―社会)

食と日本人の知恵 (岩波現代文庫―社会)