富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

武肺一年


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香港から台湾に密航企てた民主派人士の密航幇助といふ罪状で11人の弁護士や活動家、市民が逮捕される。密航幇助なら通常なら入管法違反程度だが国安法である。

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コロナ禍で1年。さまざまな人の考へ方や身構への優劣、性根まで見えてしまふ1年。頭がおかしくなりさうな気もするが『感染症と文明』(岩波新書)の著者・山本太郎先生。この方はウヰルスのことを語ると医学者から思想家、そして最後は宗教者とすら思へてしまふ。 

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どのようなウイルスが流行するかは社会のあり方が決めます。農業が始まって定住人口が増えたころ野生動物の家畜化が進み人と動物の距離が縮まり感染症はいっきに増えました。そして今、半世紀ほどの間に新興感染症がすごく増えています。道路やダムの開発による熱帯雨林の縮小、地球温暖化もあいまって再び野生動物と人の距離が近づいたことが原因といえます。「本来あるべき姿にない状態への警鐘」ととらえるべきでしょう。ウイルスはいつの時代も存在しているが、パンデミックになるかどうかは人間側の要因で決まるのです。(略)グローバル化、都市の巨大化、人の動きの活発化。これらの条件が合わさり増殖したのが現在の流行です。100人ほどの集団が木の実や貝を拾う生活をしていた時代の暮らしは、まさに「疎」。いまいわれる「密」の反対です。ウイルスが集団に入っても世界的流行に至ることなく消えていったことでしょう。

佐藤忠男先生の健筆。卒壽。さらりと映画の筋をネタバレにならないところで、その作品を見たくなるところまで紹介で、さらりと「自分の考へたこと」を述べる。感想ではない。何を考へたかがわかる。先日、畏友村上湛君と話してゐて評論であるべきものが感想や自らの「思ひ」になつてしまふものがあることについて考へる機会あり。

(追悼:半藤一利)保阪正康「昭和史の誤りを克服、継いでいかねば 」朝日新聞

半藤一利を語る上で適役はこの人だらう。ふと思ひ出したが粕谷一希だつて保守派といふのは今の体制派と一緒にしては失礼な良識であつた。

記憶に残るエピソードといえば1989年にベルリンの壁が崩壊したあと奥さんと一緒に壁を見に行ったそうだ。壁の前に立ったとき体が自然と能の舞を始めた。すると周りに人だかりができて終わったら拍手が起きた、と。「恥ずかしくなかったの?」と僕がきいたら「うれしくてね」。東西冷戦が終わったという感慨の大きさをうかがい知った。
平成のころ2人で天皇皇后両陛下(現上皇ご夫妻)にお会いしたことも思い出深い。天皇とすでにお会いしていた半藤さんから「雲の上から声がかかったけど一緒に行くか?」と誘われご進講ではなく歴史に関するお話をしに何度か皇居へうかがった。天皇は歴史に深い関心を持たれていて半藤さんが天皇のご質問に真摯に答える姿が印象的だった。そのような場で半藤さんは「象徴としての天皇」を心から理解したのだと思う。そして昭和天皇を神格化した軍事指導者の政治的無責任さを痛感したはずだ。
2人で進めていた運動がある。九条の会の護憲とは少し違い、より現実的に今の憲法を100年もたそう、というもの。お互い講演のときに呼びかけようと約束していた。組織や事務局があるわけではないが、みんなの思いを広げようと。そういう試みだった。
僕も人の死を悲しむような年ではないが半藤さんを失い大木が倒れたように感じる。歴史の分野においてアカデミズムとジャーナリズムの枠を取っ払い相互乗り入れを実現した先駆的な存在だった。
「死んだらダメだよ。言論界の地図が変わるから」と言っていたのに。半藤さんは近代日本が犯した多くの誤りを書き残していかなきゃいけないと遺言のように言っていた。いろんな国に迷惑をかけたことの歴史的総括をやっておかないと日本は信用されない、と。半藤さんに触れた人たちは昭和史の誤りを克服していく方法を継いでいかなければならない。

農暦十二月初二


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馴染みの酒場は午後5時開店だが少し早く寄つても飲ませてくれるのだが本夕その前を通つたら5時前だといふのに、もう暖簾も出して明かりもつけて営業ですでに常連客が数名。飲食店は午後8時閉店といふ県の要請で、この酒場では酒類の提供は午後7時にしてゐるのだといふ。それで少し早めに開けるのださう。コップ酒二杯だけ飲んで早々に帰宅。

スガといふ廃墟


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中共の香港統治非難する米国は香港の投資信託にまで間接的に干渉を批判する大公報。蘋果日報は国安法で逮捕された民主派議員ら55名の携帯電話がそのまま中共公安に送られたと報じる。一国両制でも国家政府転覆といつた容疑、それがたゞ単に「打倒中共」と叫んだだけでも一党独裁国家だから国家転覆になつてしまふのだが、さうした重大な容疑は香港ではなく中央政府の管轄で、といふこと。携帯のSMSなども徹底解明され反中共の言動でさらに逮捕を続けるのか少なくとも非国民として黒名単に載るのだらう。 

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水戸市で開催予定だつたバスケットBリーグオールスターゲームが感染防止理由で中止に。市内のバスケコートで小学生が練習してゐたが、まぁ機敏な動きに恐れ入り谷の鬼子母神。帰宅してスガの緊急事態宣言第2弾での記者会見を拝聴。前回の記者会見がボロボロで2度目だから少しは上手になつてゐるかと思つたがスガには無理。官房長官の時の横柄さも、ありゃ自信があつたからできたもので神経衰弱の今は救ひやうもなくとにかく滑舌が悪くキーワードも不明瞭。記者からの質問で産経新聞の記者が感染拡大が今日のテーマなのに北朝鮮問題持ち出したのはさスガ。記者会見の最後の最後でビデオニュースドットコムで神保先生。

国民にいろいろ協力を求めるというお話をずっとされてきたが知りたいのは、その間一体政府は何をやっていたのか。医療が逼迫している状況で、総理の説明が「日本は医療体制の仕組みが違う」というお答えだけで果たしていいのか?

当然スガは何も答へられず。晋三もあれを見てゐたら「こう答へるべき」とダメ出しできるだらう。スガ会見はこのあとの予定あるからと打ち切られたが前回はその後の予定入つてをらず呆れられたので首相動静をアトで見たら今日はこのあと官邸で官房副長官感染症対策の担当者との打合せ。外食すると叱られるので官邸の食堂の夕飯か。

「ここで私が考え込んだり、たじろいだり心の中に迷いがあったら全てに影響してくる。あくまで進めていかないとならん。淡々と予定通り、進めていくという以外にお答えする方法はない」とあんまりな支離滅裂だが何も語れないスガよりマシか。それにしても先の大戦での失敗から何も学べてゐない思考停止。「とにかくやるのだ」だけ。まぁこの人にとつて日本は神の国で神風が吹くから。五輪再延期できない理由が「各省庁から出向している人たちの人生がある。お金の問題ではない」って何だ、そりゃ。こんなのでも首相ができるのだから自民党は偉大。

都市という廃墟―二つの戦後と三島由紀夫 は1988年の新刊で読んだのをふと再読。昭和末に都市の暗部をルポしてみせた松山巌。それも芦屋、原宿、つくば研究学園都市や東京ベイエリアそしてディズニーランドといつた一見華やかな地域で悲壮な事件が起きてゐる。当時はバブルで、かうした陰気な筆致がかなり特異だつたが30年後の今これを読むとあまりに日常の風景となつてしまつた。この内容それぞれの悲惨な都市型の社会事象をすべて三島由紀夫の小説に結びつけてゐるのだが、それがアタシの記憶からは抜け落ちてゐた。

本来の保守といふのは過去の良質の部分をきちんと保つてゆく常識的で安定したもので、さういふ意味で半藤先生は理想的な保守主義者。戦後の日本が平和なのだから憲法9条も評価して晋三政治にも不信感をはつきりと表明。教養があつて理性的で……といふブレないものが半藤先生の死でまた一つ消えてしまふか。

網上競売


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旧正月前のヴィクトリア公園での花市場(年宵)中止で桃花などの園芸農園は収入減少で危機的と大公報。この年宵市場は花の他に正月祝ひの飾りなども売られてゐたが支聯会や民主派団体にとつても支持者獲得の良い機会。かつては司徒華先生の正月飾りの揮毫など人気あり。民主派団体や学生らの屋台旺盛は建制派にとつては不愉快な存在で年宵の中止には直接の原因ではないが軌道修正も含みであらう。蘋果日報が伝へるのは反送中関連で国安法での裁判で弁護士や支持者が黄色のマスクしてゐたことに裁判官が法廷でのマスク交換を命じたと。法廷に政治的主張持ち込むなといふ裁判官の判断が民主派の黄色に過剰反応で裁判官のその発想ぢたいがどれだけ政治的か。

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水戸で昔から評判の馬口労町はシュールのアーモンドケーキ。アタシの高校の近くでいつも昼休みなど学校を抜け出してダウンホームといふジャズ喫茶にしけ込んでゐたのでシュールの前を通つてゐたのだが甘党のアタシが不思議と当時はシュールのこのケーキを食べた記憶がない。子どものころからあまりに当たり前にあるケーキだつたのでいちいち意識もしなかつたのかもしれない。

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いかにも小原庄助さんのアタシが好きさうなお風呂用テーブル。こんなものがAmazonで自動的にアタシに紹介されるのだから何れだけアタシの消費行動が掌握されてゐるのか……。このやうな有閑用品どこかで見たと思ったら(建築家Kさんの示唆だつたが)こちら。日月潭へ。The Lalu、涵碧樓 - 富柏村香港日剩

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もう何十年ももつてゐた鉄腕アトムの30cmほどの人形あり。今はフィギアと呼ぶべきか。昭和30年くらゐのもので鉄腕アトムといふよりアトム大使?だつたか、それも正規品ではなく当時かなり出回つたのであらう、まがいもの。ふとしたことで入手して面白さうなので置いてゐたが香港では今の片隅に置いてゐたのであまり気にならなかつたが今はかなり目立つ場所に置いてみたら、まがい物の微妙な表情ゆゑとても気になり最近は少しでも断捨離な生活なので余程気に入つたものしか手元に置かないやうにしてゐるしアトム愛とか手塚治虫愛もないので手放さうと思ひメルカリぢゃ値段もわからないし、まぁ送料が出ればよいかと思ひ某オークションサイトに1,000円で出したら全く反応もなく「そんなものか」と納得してゐたら最後の1日になつて12,000円だかがついてあばらかべっそん、こんなこともあるかと思つて入札制限時間になつて落札と案内来たのでサイトを覗いたら、なんと数名での競りで最後は56,000円も出した方が落札されてゐるではないか。あくまで売り手のアタシも匿名で出したサイトなので、こゝでは供出品の画像も詳細も出さないが。それにしても、である。落札された方はさっそく、そのサイトに支払ひを済ませており慌てゝファミマに供出品を送りにゆくが56,000円となつたので雑には送れず、かなり丁寧に箱詰めしたら何だか棺入りされたやうなアトム(まがいもの)になつてしまつた。本日は水府でも降雪と予報だつたが雨は少し降つたが雪にはならず。

戦争ってなに?@市博


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(大公報)香港では不動産売買で売り手買い手双方が弁護士を雇ひ実質的に売買業務代行をさせるケースがほとんど。日本であれば宅地建物取引士といふのださうな、が入つて売買契約や契約書に齟齬がないか確認してとなるのだらうが香港ではSolicitorと呼ばれる弁護士(Lawyerとは異なり事務弁護士と訳すさう)がコンビニより多く看板を掲げ、不動産売買以外にも地味な取引とかも扱ふ。司法書士に近いかもしれない。ただ宅地建物取引士や司法書士と大きくことなるのは香港では弁護士が買い手、売り手に代はり売買金の出納代行まで行ふ。売掛、買掛にならぬやう双方の弁護士が売買金を保管することで信用取引となるのだが弁護士が契約不履行する可能性もないわけではない。だが不正が隠蔽できるはずもないのでこんなこと起きないと思ふが起きたやうだ。(蘋果日報)ダメな香港市役所だが財政だけは扱ひはお上手。それでもとくに地税での贅澤な税収があり特別行政区として国防や外交など国家政府の支出も中央政府への上納金も免除されてゐるのだから余程のことがないかぎり財政困難に陥ることもないのだが現任の財政トップ陳某は疫禍で経済停滞がちのなか敢へて増税を策略で今後も消費税や証券取引税などありやなしや。

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外は恐ろしいほど寒く未明の陋宅居間の室温は摂氏5度であつたが朝日がさしさえすれば室内は暖かく紅梅もまだ蕾が開いてゆく。ご近所でご不幸ありご自宅へ弔問に伺ふ。 

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今ではお隣ではないのだが昭和の商店街でお隣だつたお家のご主人。卒寿を超へてのご長寿。数年前に手足の動き難がでて施設に入られ一昨年、母とお見舞ひ伺つたら身体は不自由でも頭はじつに明晰。それが若いころから達筆で書をよくされた方だつたがリハビリでまた運筆も自在にできるやうになつてゐたといふ。疫禍で施設で来客を迎へたり外出や自宅への一時帰宅もできぬまゝのご逝去は悲しいところ。

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弔問を済ませ市立博物館へ。今日が千穐楽の子どもミュージアム「戦争ってなに?」の企画展を見る。

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昭和20年8月2日の大空襲で水戸の旧市街の大部分は焼失。この地図にもあるが上市で米軍機の攻撃目標となつたのがアタシの母校の五軒小学校(現:水戸芸術館)。近くで焼け残つた建物は川崎銀行(後の三菱銀行)やいくつかの商家の蔵くらゐでといふ話を幼いころ水戸市史に詳しい望月校長(安雄さん)らからよく聞いた。

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本日は成人の日で寒く午後は家に閉じこもる。先週土曜のNHK FMピーターバラカン Weekend Sunshineが4時間半の冬特番だつたのでじつくりと聴く。

温水器からの水道管凍結


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 一昨年11月の抗議活動で不審な飛び降り自殺なつた科技大生の死因につき警察の関与問ふ民事裁判で自殺現場となつた駐車場の管理会社が提出した監視カメラ映像で自殺に最も近い8秒間につき肝心な映像が公開されてをらず死因を自殺と特定するには不明、他殺の可能性も排除できずと判断と陪審員団の真っ当な指摘。警察が鬱憤ばらしにこの抗議派の学生を死に至らしめたのではないか?と事件当初から疑はれるところ。

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さすがに大公報も、この裁判について陪審員の他殺の疑ひも排除できぬとする判断を報道しないわけにはいかず記事にしたが、それでもこの事件に関して抗議派に温情的な世論が判決に影響してゐるのでは?といふ専門家の指摘も紹介。

根据呈堂证据,正常的裁决预期是指向“死於意外”。对於陪审团却裁定“死因存疑”,傅认为,有可能是事件早被黄丝一再渲染,以致对判决观点造成影响,亦不能排除会受个人政治立场影响,以致观点出现倾斜,又或者陪审团坚持对堕楼前八秒的情况抱疑问。

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今朝の水府の気温は氷点下6度。寝てゐても未明に薄ら寒さで目覚めたが台所も洗面所もお湯が出ない。水道水は出ないのだが温水器からの給水管が凍結か? 水道管は集合住宅の建物内部を通つてゐるやうでさすがに凍結しなかつたが温水器はバルコニーの端にとつてつけたやうに設置で温水器の制御盤を見ると内部は正常のやうで温水器から室内に温水を送る管が凍結したらしい。昼過ぎにお湯が出るやうになつた。管理会社の担当者も「これまで凍結は聞いたことがない」といふので今年の厳寒が原因だと思ふが水道管には凍結防止用の電熱線が巻かれてゐないどころか保温材もだいぶ劣化してスカスカだつたので、これが直接の原因なのだらう。すぐにでも管理会社に対応してもらひたいところだが運悪く連休ではメンテ会社も来ないだらう。

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早稲田の演博でこの Inside/Out - 映像文化とLGBTQ+ の企画展あり、この連休ほんとなら家人と巣鴨から小石川を歩き護国寺に詣で群林堂で豆大福を買ひ求め早稲田に出るつもりが緊急事態宣言で外出自粛では状況も憚られる。何うしても見たい企画だつたので図録はネットで入手。

アタシの感染防止の配慮も実際の感染への恐れより〈世間〉への忖度だらう。誰彼に迷惑がかゝるといふ消極的な判断しかない。

感染で男性の死亡率なぜ高い 免疫システム老化の差が関係か:朝日新聞
感染は高齢で死亡率が高く「なぜ」といはれても新型コロナでなくてもウイルス感染で高齢者の合併症なら重症や死亡は多いわけで男性は女性より寿命も短いのだから新型コロナだからといふ怖れもはつきりしない。なぜこれほどの防疫が必要なのか?と誰も釈然としないまゝだから感染防止への取組も徹底しない。

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武田百合子『遊覧』


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昨年……ぢゃない、もう一昨年なのか反送中派の空港占拠中に場内に紛れこんだ自称新聞記者の中共人士が身元疑はれ抗議派の若者らに吊るし上げられた件、この男は警察に救ひ出され軽傷程度だつたが暴行の首謀者とされる3人に暴動罪で懲役51~66か月の判決。国安法関連といふことで司法はもはや独自の司法判断ができず律政司の判断で重刑が求められるのだらう。
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水府でチェーン店「かつさと」開業が地味に話題となるのは、その立地が今なら郊外のバイパス沿ひが当たり前のところ旧市街・南町3の元商店街に開業のゆゑ。サンクスとかマツモトキヨシだつたかドラッグストアも退散してゐる物件。駐車場なしで商売になるのか?が北関東の常識で今の時代、集客が悪いうえに家賃だけは高い旧市街など出店は二の足を踏むところ。和食チェーンの「さと」がカツやで「かつさと」ださうで500円+税の廉価だと思ふと、これくらゐのカツ丼なら大したもの。ランチで豚汁がつくセットは600円+税でした。

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水戸八幡宮参拝。神仏への信心はあまりないのだが香港では古札返納もできず、いくつかお札が陋宅にあり本当ならその寺社にお護り感謝で返納すべきなのだらうが、さうもいかず八幡さんに。この八幡宮はアタシの小学校の学区内で親しみもあり父母の結婚もこちらの神前で。さらに遡れば、この八幡大神は元々は佐竹氏の氏神佐竹義宣が水戸の江戸氏(やゝこしい)を滅ぼし水戸に城を構へる際に常陸太田の馬場八幡宮より水戸城内に奉斎したもので、当時の八幡宮があつたところが偶然にもアタシの今の寓居。光圀公が藩主のときに寺社政策で八幡宮は水戸から那珂西(旧常北町)に移され18世紀初にまた水戸(現在の場所)に遷座。境内の杉林に西陽があつただけで何処か神々しく思へるから不思議。
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自家製餃子で小皿に酢を垂らして石垣島土産の辣油を加えたら見事に割れた。

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今日、木村屋本店にはもう桜餅が出てゐた。水戸は長命寺のだが、これも如何せん桃色が強すぎる。正月は新春で……といつてもまだ陰暦では十一月末で春はさすがにまだ遠すぎる。

武田百合子全作品(6) 遊覧日記(ちくま文庫)

突然、武田百合子を読んだ。旦那の泰淳すら読んだこともないのに。ふと出歩いた出先での随筆『遊覧』。人間として素敵だ、そして文章が超絶に上手い。

ぐうんと電気を入れる音とともに歯車の噛み合う音がはじまる。その方角を見上げると、背広をきちんと着て鞄をしっかり抱えこんだ男が、一人恥ずかしそうに、ジェット・コースターの一番前の席に乗り込むところである。男が腰を下ろすやいなや、ジェット・コースターは、狭い花屋敷のぐるりを、軌道から飛び出してしまいそうな危なっかしい勢いで、逆立つ髪、口が開きっ放しの横顔、ちぎれんばかりひるがえるネクタイの、硬直した男をたった一人乗せて、小食堂の二階の裏側の窓硝子をひりひり震わせ、クリーニング屋の崩れかかった物干台や銀杏の樹、藤棚や桜の気を掠め揺さぶり、黄葉を散りとばして、あっという間に一周、静かになる。(浅草花屋敷)

見事としか云ひやうのない花屋敷のジェットコースターの描写。「狭い花屋敷のぐるりを」がよいぢゃないか。泰淳が亡くなるまで文章を外に出してゐない……で、これだ。親しい相手が埴谷雄高深沢七郎村松友視大岡昇平色川武大吉行淳之介辻邦生いいだももに女優加藤治子。そりゃさうなるわ。


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この『遊覧』はベタに浅草から始まるが、それよりこれを連載させた小原流『挿花』も大したものだが「青山」も今の青山とは違ふ、戦後の罹災者住宅の老婆を尋ねる話。「京都」だつて生半可な京都ぢゃない。最後に『文藝』に掲載された「京都」と最後に「あの頃」といふ文章が加へられてゐるが戦後の当時を回顧するダイナミックな「あの頃」は『東京人』で読んでいた……と今ころになつて気づいた。

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『東京人』といへば同誌最新号の特集が「駅を楽しむ」。令和の今に様相を丸っきし変へようとしてゐる澁谷も東急会館やアタシの大好きだつた東急文化会館が板倉準三の作品で更に新宿駅西口のあの〈近代〉も板倉先生なのだとは今日まで知らず。

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先日、柏木の寺に掃墓に出向き久々に新宿西口を抜けたが戦後のあの風景も小田急のビルが大規模な再開発となるやうで子どものころから親しみのある、あの戦後も記憶の彼方となるのだらう。それにしても、この大階段、何も気にせず上下してゐたが、こんな機能美だつたとは。 

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この『東京人』に「昭和三十年、駅頭に色が戻った「銀行員画家」が残した復興に浮き立つ駅前風景」(乾純)といふ記事があり三和銀行の支店開業するたびに描かれた駅前風景あり。新宿は駅前といふには追分で距離があるがほてい屋(伊勢丹)の向かふにあつた三和銀行が懐かしい。アタシがジュクで遊び出した頃にはもう取り壊されてセゾンプラザになつてゐた。地下に〈鉄ちゃん〉だつたか鉄火丼など丼ぶりの寿司を安く食はせる肆があつた。

▼今日は本のことばかり書いてゐるが今日は土曜日。朝日新聞の読書欄が日曜から土曜になつたのはいつくらゐ前かしら。読書欄は日曜にゆつくり読む習慣だつたので土曜への引っ越しは何だか馴染まずにゐたが今となつては土曜に新書が紹介されることで興味ある書籍ならすぐに入手して週末に読めるわけで欧米紙も週末は日曜休刊だから土曜に出る週末版に読書欄があつて愉しいところ。今日の朝日の読書欄で石川健治先生の書評が可笑しかつた。

毛色を基準としがちな飼い猫の名付けは、帝国主義的心性の投影であり(小森陽一)、「介護形態」としての野良猫保護の発想が、帝国主義経験の植民地後(ポストコロニアル)の変形なのだとすれば(小野塚知二)、彼らにも「被造物の尊厳」(スイス憲法)を承認できるか否かは、人間社会自体の構造を問うことと同義である。

なんだ、これは……みうらじゅん先生並みに可笑しい。

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