富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

常磐日光号

陰暦四月七日。気温摂氏13.1度(水戸)/ 15.4度(日光)。曇、小雨。本日は常磐線の高萩始発で特急「常磐日光号」運転あり。水戸を経て友部から水戸線に入り小山から東北本線で宇都宮を経て日光へ。E653系国鉄色)での運行でアタシの乗車は3月の大宮鉄博行き以来2度目。家人はこの特別列車は初めて。

水戸駅の列車案内表示では(ちょっと見づらいが)マークもきちんと国鉄色のE653になつてゐる。宇都宮駅5番線ホームは日光線でホーム全体が列車案内のフォントまでレトロ感。

水戸駅コンコース(左)と宇都宮駅5番線ホーム(右)

08:04に定刻で水戸を発つた常磐日光号は友部で常磐線友部以南から来た熱心な乗客乗りこみほゞ満席。常磐線を退役して新潟にゐたE653系の一編成が国鉄色に塗装されたのが2018年11月で2019年に常磐線勝田車両センター)に戻り疫禍もあり様子を見ながら特別列車として運行され始め、かなり話題にもなつたが、もう珍しくもないかといふ気もするところ相変はらず人口に膾炙し水戸線を走るのはこれが初めて?で下館など沿線でかなりの歓迎ぶり(この列車せっかくなのだから笠間も停車すれば良かつたのに)。日光線に入ると沿線は撮影ポイントが多くマニアが挙つてレンズを向けてゐて警察が出てゐるところもあり。10:49に定刻で日光着。水戸を発つたのが08:04で2時間45分かゝつたことになり、これなら通常の普通列車で小山と宇都宮乗換と一緒。だが小山では水戸線のホーム(15/16番線)は行止りなので列車は内線(ホームはない)14番線に停車で東北本線への入りのタイミングを待ち、動きだしたと思つたら小山駅を出たところに停車でホームではなく線路上で乗務員交代あり(構内の内線の交代は危険)結局小山に17分程。それでも乗り鉄にとつては水戸線から小山で14番線へ、14番線から東北本線への分岐で通常ない車体の揺れだけでも嬉しいのだから。小金井の宇都宮線上野東京ライン東海道線の車両センターも宇都宮の貨物センターも乗客はきちんと車窓からの目視を怠らず。宇都宮駅では日光線は折り返しになるので車内では座席の方向転換が必要になるが乗客が鉄道ファンばかりなので何とスムーズなことか。

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GWの週末で、この常磐日光号からだけでも数百人の客がゐるわけで日光駅からのバスはさすがに混雑するだらう。日光駅に到着して撮り鉄たちがホームで写真撮影などしてゐる間に透かさず駅を出て家人がバス停に並びアタシは駅の窓口で東武バスの1日乗車券(中禅寺温泉までのエリアで2,300円)購入。すぐに来たバスで「神橋」へ。金谷ホテルへの坂を上がりステーキハウス〈みはし〉へ。GW期間中は繁忙期で予約不可のためまだ午前11時の開店直後だが早めにお席のあるうちにステーキを食べてしまふ。こちらのとても柔らかいステーキが年寄りにはやはり食べやすい。神橋から中禅寺湖方面への路線バスを待つてゐたら定刻の前に観光バス仕様の臨時運行バスが来て快適。それも空いてゐてありがたい。

いろは坂を自転車で上る強者あり。中禅寺温泉の観光地はGWだといふのに歩いてゐる人も数へるほど。土産物屋やレストハウスなどもあるが老朽化して廃墟となつた施設もすくなからずあり。とんかつ〈浅井〉だけが行列。中禅寺湖の観光船もボートも知床の事故のあとで中禅寺湖で高波の心配はないが、やはり何らかの影響はあらう。中禅寺湖郵便局。今日は土曜日で郵便局は休みだがハガキに「風景印をできれば押してください」と付箋をつけて郵便局のドアの隙間から局内に滑り込ませる(観光地なのだから上野公園のパンダポストのやうに風景印専用のポストがあつても良いのに、それほどの需要もないでせう)。局前のポストに投函すると集配のある日光郵便局に持つていかれてしまふので。

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リッツカールトン日光でアフタヌーンティー……といふのは冗談で家人の提案で中禅寺湖を時計周りで南へと湖畔を散策。中宮祠から文字通りの中禅寺、フランスとベルギーの大使館別邸を過ぎ元英国、意太利の大使館別邸公園へ。前者はアーネスト=サトウによる手入れで明治29年から、後者は市松模様の木壁も美しいが昭和3年に建造で、それぞれ平成20年、平成9年まで大使館の所有施設だつた由。それが現在は記念公園となり建物も入場可(入場券購入してまでして入らず)。釣り人が点在するくらゐで旅遊客はこちらも数へるほどで本当にGWか?と思はせる静寂。f:id:fookpaktsuen:20220508120626j:image

中禅寺の門前に〈かつら〉といふ手打ち蕎麦やあり。昼のステーキのあとだがきちんと蕎麦を打つてゐるやうなので寄る。せいろそばについてきた竹の子煮と白菜の香ものをアテに温燗のお酒。このあたりはまだ桜があつて桜吹雪が風に舞ふ。蕎麦やの二階から中禅寺湖一望。男体山白根山も中腹から上は雲のなかだが山肌の木々はまだ新緑にもなつてゐない。白根山には残雪もあり。

中禅寺温泉から路線バスでいろは坂を下る。道路幅も広く二車線の区間も多い上り(第二いろは坂)に比べ下り(第一いろは坂)は急カーブも多く高所恐怖症のアタシには怖い/\だが途中で警察が出てゐて何かと思つたら急カーブを勢いよくきて曲がりきれなかつたのか崖側のガードレールに車体左面を強く傷つけた自動車あり。崖から落ちてゐたら、と思ふとぞっとする。

日光地方の天気予報は曇りだつたがいろは坂を下ると雨。日光は雨が似合ふ。午後も遅くなると観光客はさらに減り「桜はもう葉桜かしら」と確かめに寄つてみた輪王寺も静かなもの。

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帰りの車中でのお供にとお酒(松の壽、東力士超辛口)買ひ求めた酒屋(吉田屋)のご主人も日光は天気予報はアテにならない、勘が頼り、と。確かに。三ツ山で水羊羹(ひしやは閉まつてゐた)松葉屋で湯葉を購ひ日光駅へ。JR日光駅売店もなければ近くにコンビニもない。站の近くのパン屋(てづくりパン工房せんば)は昔ながらのコロッケぱんやカレーパンが美味。車中での夕食代はりに。店の外で「あら、パンやさん、どうしようかしら」と思案してゐるオバさん二人連れに「美味しいですよ」と勧める。日光駅では駅構内のアナウンスがしきりと「次の上り、特急常磐日光号の入線は17時47分の予定です」と。それくらゐもう駅構内には乗客や撮り鉄がゐるのだ。栃木県警の巡査も一応トラブル警戒で待機。そこまでの混乱はない。

日光駅E653系国鉄色)と後方に東武鉄道100系スペーシア号)

復路のほうが空席多少あり。日光駅でも「お乗りの方は窓口か券発売機で指定席特急券をお求めてください」とアナウンスあり。偶然、水戸線方面に向かふ客はゐさうにないが旅の記念に宇都宮まで乗つてみようかといふ物好きはゐるかもしれない。それでも日光への鉄道は東武鉄道がガチでJRにも新宿まで東武特急が乗り入れてゐるのだから。東京方面からだとJR日光線はやはり宇都宮で切返しがネック(日光駅の貴賓室も使はれることはないだらう)。

往路に比べ復路は宇都宮での停車も小山での運転停車も時間が短く水戸線での列車交換もなく日光発18:07で水戸着20:19と2時間12分で「特急らしい」走りでした。GW明けの夏の臨時列車の運転情報公開が待ち遠しいところ。

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