富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

小池真理子『神よ憐れみたまえ』

早朝に米国の肯徳基打吡大賽。馬はわからない。騎手はわからない。それで20頭もたてゝ的中するはずもない。日本からはクラウンプライド(ルメール騎手)参上。何だかわからないがサイバーナイフを選んだら(7番人気)補欠から繰り上がりのブービー人気のリッチストライク勝利でJRA配当は単勝9,510円。1番人気のエピセンター2着でJRA三連単は167万円である。前半4fが45.36秒のハイペースで上がり4fは52.47秒で先行馬総崩れのなかリッチはじつに見事な走りで内ラチから見事に抜き去つてみせた。映像を何度見ても飽きないほどの面白い展開。さすが米国である。

陰暦四月八日。気温摂氏14.7/22.5度。晴。灌仏會。

東京競馬場NHKマイルCである。中継を見てゐた家人にいはれてアトで知つたがNHKマイルのときのファンファーレはN響金管なんですって。今一つ予想もピンとこなかつたが(予想がピンと来て当たつたタメシもないが)外枠有利といふだけで18枠の4番人気馬ダンノスコーピオン(川田騎手)を単勝1点買ひしたら的中🎯とは。

神よ憐れみたまえ

小池真理子神よ憐れみたまえ』が書き下ろしで新潮社から新刊で話題になつたのが去年の6月で新聞の書評だかで読んで図書館で予約したら40何番目かの待ちで先週やつと自分の番に。構想10年で著者も自分で読んで落涙だとかコメントしてゐたが正直「私には面白くなかつた」。長編だが実際に「事件」とその「顛末」に関する内容は3分の1以下で、あとは枝葉の話。途中かなり速読で読み飛ばしも可。(以下、ネタバレに近いものあり)他愛ない諍ひから感情的に起きた殺人事件が偶然に昭和38年11月の鶴見事故の日に起きただけでも「偶然」だが更に犯人が犯行のあとその脱線事故に巻き込まれる列車に乗つてゐたといふのだから。構想10年ださうだが、かうした「偶然に」で、それが犯人を特定する重要なプロットで更なる「同僚が偶然に同じ事故にし遭遇」がアリバイ崩しになるなんて「偶然小説」はアタシは好かない。アガサ=クリスティの『オリエント急行殺人事件』だつて「あんまり」な設定だが少なくとも意図的に仕組んで犯行が行はれた点で必然性は補完されるわけで、この小説の場合、犯人がもし犯行のあと、あの列車に乗つてゐなかつたら事件は迷宮入りしたまゝではお話にならないだらう。主人公の少女のキャラ設定も、その周囲の男たちの所謂「恋愛感情」も中途半端。「もしこんなことが起きたら」の空想小説でしかないのがつまらない主因だらう。妄想小説。やはり主人公を変態性欲(その言葉ぢたい21世紀では説得力もないが)なら乱歩のやうにそれをコアにすべきだし「欲求」も銀座の骨董美術商からエジプトのファラオの宝石を盗み出したい、といふシンプルさが良い。横溝正史だつて長編だつたが無駄な枝葉の話など何もなく登場人物の一挙一動が気になつたわけですし。偶然の事件がプロットにあり美貌の主人公が……といふのなら筒井康隆『聖痕』もそれだが、あれは発端がそれなだけであつて、あとの物語の展開は全く自由であつたから面白かつたのかと今更思ふ。

▼ピーター=バラカンさんのラヂオ番組でリスナーが日経新聞だかの、この記事にコメントがあつてバラカンさんが照れた声でこれを語つてゐた。

www.nikkei.com

もし〈最後の晩餐〉になつたら昔、福岡の玄界島で食べたような美味しいイカ刺しで合はせる酒は宮城は村田の乾坤一(けんこんいち)特別純米辛口。そしてシメは鯛飯ですつて。そのバラカンさんは小坂忠さん逝去でラヂオでは昨日も今日も小坂忠をかけてゐたがアタシは小坂忠は何うしてもわからない。フランク=ザッパと同じくらゐ「良さ」がわからない。乾坤一は今日、酒のやまやで探したが在庫はなかつた。

f:id:fookpaktsuen:20220508063906j:image

本日は香港で行政長官「選挙」也。候補者は李P単独なら無投票当選にしちまへば良いのに提灯選挙実施で「投票用紙」は李Pに対して「支持」か「不支持」かの踏み絵。これが完善選挙制度とは。こんなもの選挙ではない。
f:id:fookpaktsuen:20220508063903j:image