富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

武肺蔓延のX地域


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林郑が大陸との「封關」断行せぬことに医療従事者、業を煮やしこのまゝでは週明けに罷工実施。公立病院では看護師らの1割が罷工に参加で防疫ばかりか緊急医療にも支障ありといふ。例年越冬の季節は通常の(じつは武肺より深刻な)流感だけでも対応が深刻なところ武肺で大陸から不特定対数来港で感染者ありでは医療機関での感染リスク高まるばかり。なぜ「封關」せぬのか、と。これに対して医療従事者が職場放棄とは!と倫理問題として批判する意見もあるが医院管理局トップも香港大學の免疫学の碩学・袁教授も医療前線に企つ看護婦らに同情的、その恐れに基づく罷工であり一概に非難されるものではないと。

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 「封關」には応じぬ林郑はせめてもの火消しにと「即時開始非本地居民出現武漢肺炎症狀就診都要收費」と大陸から香港に武肺での治療目的ででも来やうものなら医療費免除せずと宣ふが香港市役所の官報によれば「病人患上或懷疑患上現行〈國際衞生條例〉所列疾病,入住公立醫院毋須繳付醫療或住院費用」とあり。WHOが武肺で「緊急事態宣言」となれば林郑のこの費用徴収は能はず。(沈旭暉 20200131)

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そこで武肺はどれほど深刻なのか。武汉での深刻な状況を映像で見せられると怖いものがあるが感染者数こそ多いものゝ「最悪のケース」でも中国での死者は1,000±500で「一般可能」な状況で300±100であればSARS以下。香港も10〜20人の死者ではSARSの299人に比べ1割にも満たず。気になるのはX地域で中国大陸以外で疫禍爆発の可能性のある地域でタイ、日本はその可能性かなりあり(2月1日に感染者数で日本はタイを抜きトップに)。


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政府関係が今週いつぱい臨時閉鎖をきめこんでしまつてゐるので郵便局もやつてゐなければ郵便配達もない。それに対して銀行は開いてゐるが来週は営業する支店の数を減らすといふ。それに対して小売店はどんなことがあつても営業し続けなければならない。銅鑼湾で昼に長蛇の列に何事かと思へばマスク特売で200mくらゐの列で「もうここまで」で打ち止めの看板持ちも立つてゐるが、それでもあきらめぬ人が先まで並ぶ。

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昼に東京渋谷だかに本店のある「俺流塩らーめん」の銅鑼湾世貿店で塩らーめん。「俺の」とか「俺流」と屋号にする飲食店入つたのは初めて。あまり好きなネーミングぢゃないが香港で「とんこつ」でないラーメンに惹かれて。熱々の美味しいタンメンが食べたい。私設読書空間の〈打書釘〉に寄ると(公立図書館は臨時閉館続けてゐるが)こゝは入場に際してマスク着用でアルコールで手の消毒、換気のため窓は開けてゐて人数は15人が上限とするが今まで数回の利用で他の利用者に遭遇したことはない。こゝではマスクして入場したが物静かなスタッフと少し話してゐると「マスクはちゃんと入手してゐるのか」「マスク販売の情報はネットとかに中文でしか出ないので情報が入らないのではないか」とあれこれ指摘され何かと思へばアタシがしてゐた黒いポリウレタンのマスクで、これではウイルス防疫にならぬといふ。本人は安っぽいサージカルマスクをしてゐる。それなら防疫に効果があるのか疑問だが、いずれにせよ狭い館内で微妙な距離を取られ気が散るのですぐにそこを離れる。逃亡犯条例もさうだつたがこの武肺でもお互いの認識差異で余計な関係の拗れが生じる。


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太古で康怡側の高台・西灣臺のあたりで「行き止まり」がいつくかあり。以前にジョギングしてゐて気になつたがいくらデレデレでも走つてゐるとさすがに立ち止まり写真も撮らなかつたが今日、通りかかつた。赤瀬川先生のトマソンを思ひ出す。 


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ジム運動するときにマスクを着用している人も少なくない。それどころかシャワーでスチームサウナでまでマスク着用には恐れ入るといふかむしろマスクが菌床になつてしまひさう。武肺疫禍で身体のアルコール消毒が必要。太古坊の白耳義酒場 Fritesでレフ啤酒(ブロンド)飲む。何事も「安全のためなら多少の不便も致し方ない」といふ民草のものわかりの良さが怖い。

(荻上チキ Session-22)特集「激突のあった香港中文大学では何が起きたのか?」TBSラジオ 先週末にチキさんが倉田先生と来港されて中文大学で取材などされたものが昨日から2夜連続で放送され、それをまとめて聴く。中文大学のK先生の案内で日本からの留学生数名も同行で11月中旬の「ニノ橋」戦役の現場などから。ラジオで実況中継といふのは難しいとは思ふ。それでも野球や相撲でも実況中継が成り立つのは状況と結果を一刻も早く知りたいから。戦争でも越南戦争の現場からとか……これは当時、映像もなく新聞の報道は遅いから。それに対してすでに嫌なほど現場の映像まで見た「戦役」について現場からの言葉での中継はかなり難しいところあり。中文大学のなかで地元の学生と反修例の日々をシェアしてきた日本人学生は香港の地元学生の政治意識の高さに「内に秘めている不満を街で声に出していいんだ」といふことを学んだといふ。そのやうな言論の自由は日本でも憲法に認められたものでデモも合法的にで出来ることなのだが……それすら日本で若者の意識では封じられてゐるのか。数年前にもSEALsのやうな動きはあつたが今の一般的な若者にとつて街でいいたいこと叫び、そのために行動起こすことなど何れほど躊躇はれることなのか。それが香港であれだけ行動伴ふ政治運動となつたこと。それも一昔前までノンポリどころか子どものやうに幼稚だつた香港の大学生が。社会が若者を政治的にする。それにしても、あの大学での暴警と武勇派との抗争のそも/\の発端は何だつたのか。市街で続いてゐた反送中の抗議活動と警察による鎮圧が大学に移つたこと。中文大学K先生が披露してゐた「反送中も抗争が長期化して打開もなく区議会選前のタイミングで何かが仕組まれた」といふ見方。具体的には大学敷地から隣接する鉄道や幹線道路に障害物落とし交通封鎖の実力行使に出たことで武警がこれの防衛に出て勇武派がその武警進入に抗議激しくなつたことだが、やはり何かの演出があったのだらう。一寸したことだが学生さんの「共産党に対する不満」といふ物言ひで、これは中国共産党とか中共(これは今は日本のメディアで自粛される表現だが)、中国の党政府といつてほしいと思ふのは自分が実はアカだからなのかしら。2日目の(今晩の)放送には日本語堪能な沈・区議会議員や香港の「民主の女神」アグネス・チャウ出演。香港は2003年のSARSから何かを学び、それが今回の武肺で対応に効果は?といふチキさんの問いに沈先生曰く「あの疫禍で経験から学んだものは多く香港市民の衛生意識は格段に高まつたが、あれから16年、今まで日に150人もの〈新移民〉が大陸から香港に移民してをり「新移民の衛生感覚の低さ」が災ひして香港で疫禍が深刻になる」。新移民はマスクをする意識がなくクシャミするときも大袈裟で……。あまりの極論に驚くばかり。アグネスさんも日本語が格段に上手になつてゐるが自論が「香港では市民がみんな」になつてしまつてゐるのがちょっと耳に障る。