富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

誰にでもチャンスあふれる日本

fookpaktsuen2014-08-20

農暦七月廿五日。税務局相手の所得税過払い還付申請の件。The Ombudsman Hong Kong(香港申訴專員公署)に税務局の不躾を投訴の経緯は七月卅日の日剩(こちら)にある通りだが税務署から返答あつた場合は申訴專員に連絡を、とのことだつたので税務局の返事をファクスで転送したところ翌日、署員から電話で「この税務局の返事で了解されますか?」と確認あり。それが本日、申訴專員公署からの書状が届き、これまでの経緯をきちんと説明の上で“We consider IRD to have adequately addressed your complaint”で“In this light, The Ombudsman concludes the case”と文字通り「これにて一件、落着〜!」ときっぱり。この書状は税務局の局長もc.c.となつてゐる。「この程度のこと」だが見逃すには納税者に失礼な話でThe Ombudsmanのシステムは本当に頼もしいもの。悪天候続き本日も雨空。文藝春秋九月号読む。今回もまた芥川賞受賞作『春の庭』柴崎友香は数頁で飽きてしまつて読めず。
文藝春秋九月号。巻頭に「経済成長こそ私の政権の最重要課題です」と晋三の「アベノミクス第二章起動宣言」。「誰にでもチャンスあふれる日本」って、そりゃ晋三が首相になれたのだから……。「いま海外の首脳や米上院議員など日本を訪れる要人の数は飛躍的に増えています」と晋三は首相就任以降の積極外交で日本の重要性を力説する……が、日本が中国と対立するなかで上手く日本との経済協力引き出さうといふ各国の思惑あつての首脳訪日であり米国からの上院議員はTPPや軍事産業原発などこれも利権絡み少なからず。いずれにせよ一年八ヶ月前の日本は「最大の危機」的状況にあり、それは「長く続いたデフレと民主党政権の三年間で日本人の自信喪失は最悪の状態」だったなんて……デフレは以前の自民党政権から、民主党に日本人の自信喪失させるほどの力量があつたと晋三は認めてゐるのかしら。文藝春秋もかうした首相ヨイショをしておいて次の記事が天皇皇后の「なぜ軽井沢を愛させるのか」といふ記事は陛下が舊軽井澤のバイニング夫人(三井家別荘)から、皇后は南原の正田家別荘から軽井澤には縁がありお二人が軽井澤のテニスコートで、は有名な話だが軽井澤では美智子さんがナルとアーヤ連れて路線バスに乗つてきたり陛下も自家用車運転して、地元の幼稚園に通わせて、の自由な日々で、両陛下のまわりには前田多聞(終戦直後の文相で天皇人間宣言」起草)の息子でフランス文学者の前田陽一、多聞の娘で精神科医神谷美恵子鶴見和子川端康成辻邦生、ドナルドキーンや緒方貞子らとの交流。文春はこれが被災地で膝をついて罹災者に声をかける「国民と共に」の両陛下の姿勢が軽井澤で育まれた……なんて無理矢理結びつけるが、まさに軽井澤で「戦後の良識」的なリベラルな世界に両陛下があつた。文春といふのは本当に節操がないといふか、晋三の経済戦略宣言、両陛下の軽井澤リベラル物語に続き、三つめは櫻井よしこらによる慰安婦問題見直しで「今こそ「安倍談話」が必要だ」でぐっと右寄り記事かと思へば次が晋三嫌ひの浜炬子、藻谷浩介らで人口減少乗り越える、日本人が幸せになる「新しい資本主義」語らせ、STAP論文の小保方さん多少擁護するかのやうな記事挟み、慎太郎が「白人の世界支配は終わった」と相変らずカルトで、次がリニア新幹線批判……と、この右、左、良識とトンデモ発想の盛り合はせは一体何なのかしら、これが菊池寛らしいといへばそれまでなのだが。元NHKの大塚規一アナが白血病で闘病生活されてゐるとは全く知らず(闘病日記を読む)。平成になつたばかりの89〜90年に神南に出入りしてゐたころ「クイズ百点満点」の司会が大塚アナ、晋三の集団的自衛権にきっぱりと反対。

文藝春秋 2014年 09月号 [雑誌]

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