富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-10-09

十月九日(月)週末に休養すればいいのにマカオだトレイルだ映画だと続けた結果さすがに身体も倦怠感覚える。そごう旭屋書店にアサヒカメラ十月号受取。不愉快なるはこの本屋の破廉恥なる民族主義。いつも平積み新刊書は「つくる会」だの藤原某の『国家の品格』、嫌韓などばかり並び今日もずらりと韓国だの中国を罵ることで我が日本国民のアイデンティティの高揚をば図る本が並ぶ。国内ならまだしも海外の而も香港に於いて、このテの本が売れることも寂しければ(実際に仕事で中国に接するからこそ「そうなんだよな」の腹癒せで読まれるのだろうか)売れるからといって売る方も売る方。書籍売ることが啓蒙どころか蒙を深める。もう15年も前にそごう拡張のおり紀伊国屋書店が入るという話あり。流れて真に残念。シンガポールなりバンコクなり真っ当な大型書店あるなか、なぜ香港にはそごうの旭屋程度の規模と質なのか。ライカM8がついにデジタル。ライカの時代も終わりか。エプソンのプリンタXP-5500に食指動く。Sony Style HKに寄りイヤフォンEP90LP購う。そごう百貨店の地下から銅鑼湾MTR站に渡る通路に大陸からの田舎旅行者座り込み。MTR職員(白いシャツ、後ろ姿)が慇懃に座り込まぬよう説得するが「何が悪い」と開き直りの傲慢。太古。終日体調悪くC医師の診療所に寄る。C医師に会うなり疲労に加え体力消耗で胃腸炎だと思うと思わず口走りC医師に「診断する前に患者が勝手に病名まで判定するべからず」と笑われる。診断の結果、やはりgastroenteritisなり。Protrek太古店に寄りHurricane Ridge XCRというトレイルシューズ購う。昨日のトレイルでもさすがに草臥れた、二年近くで履き潰しのトレイルシューズの交換だが、旧知の店員の実に専門的なフォローで靴を選択し、幅広に微妙な調整をしてもらい、さらに足にあった紐の締め具合まで教えてもらう。帰宅してドライマティーニ一杯。カレーライス。トリスのハイボールNHKのNW9で本日昼頃の北朝鮮での核実験につき43分間だか報道続く。北朝鮮の核実験がなぜ今か?と。答えは簡単で中国から韓国に飛んだ安倍三世への首相就任へのご祝儀と理解すべき。核「実験」である。広島で老人らに「核の恐ろしさは被爆した私たちじゃないとわからない」と語らせ核の、テロ国家の核実験の恐ろしさを強調するが、核実験しますよ、と既に告知していた北朝鮮が予定通りの核実験。予告しておきながら核実験しなければ「さてどうしたことか?」と心配だが。安倍三世は待ってましたとばかりに韓国で記者会見し北朝鮮への経済措置を含む強い態度を主張。桧舞台とはまさにこれ。ニュースは北朝鮮への制裁、国連憲章第7条に従わない独善的行為、と批判するが、国連の動き無視してアフガニスタンイラク攻撃する米国には甘く北朝鮮には厳しいのか。米国は国務省高官が北朝鮮がこういった行為続ける限り「米国は東アジアに関与し続ける」と声明を発表。まさにどの国も北朝鮮さまさまで北朝鮮という「悪」を援用。勿論、核保有国、しかも独裁ファッショ国家の核開発は怖い。が北朝鮮の予定通りの核実験を43分も報道し続け「北朝鮮は怖い、怖い」シンドロームで一億大騒ぎする日本のほうが国情として怖いものあり。北朝鮮は少なくとも多くの国民は政府のデマローグに乗ってはおらぬのだから。神妙な表情でソウルから報道する特派員も、軍事紛争があれば仕事が増える、イラクでも北朝鮮でも目を活き活きさせた軍事評論家が気分高揚しながらの弁舌の勢い。久々に軍事評論家・江畑謙介君の尊顔に排す。尊顔というより尊髪。金正日将軍様の髪形も強烈だが江畑先生の髪形もそれに勝るとも劣らず。北朝鮮よりもあたしゃニュースが怖い。気分かえてビデオで先週土曜日のRTHK制作のテレビ番組「數風流人物」を見る。香港の元SF小説作家・倪匡がゲスト。司会の往年の二枚目若手俳優・甘國亮が実はデビュー作が1974年の武侠映画の脚本が倪匡によるもの、であったと語る。倪匡先生、創作活動から引退したばかりか嫌共でサンフランシスコに移住していたが様々な成人病でもう先も短いと思われていたが(蔡瀾がかなりそのへんを書いていた)香港に戻り今晩の番組など健啖ぶり絶妙。上海訛りの早口の広東語で実に可笑しな話盛り沢山。何度もこの日剰に書いたが蔡瀾、倪匡に黄沾(故人)が勝新太郎招いてのトーク番組の実に面白かったこと。懐かしむ。

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