農暦二月十一日。さすがに夜中のフライトで遅れる旅客もゐないので定刻の25:10より5分早く離陸。機内では「希望者だけ」に軽食配つてゐたやうだが離陸前からアタシも含め多くの客は寝に入つてゐる。香港の空港も着陸渋滞ないので予定より30分以上早く5時すぎに着陸。なぜこんな時間のフライト……と思ふがヤンゴンからのフライトの乏しさゆゑ、こうした早朝フライトで香港乗り継ぎで日本や中国各地、太平洋越への旅客少なくない……なるほど。預け荷物もすぐに出てきてエアポートエクスプレスの上り始発は05:51なので、それ待ち。帰宅して朝8時まで2時間ほど仮眠。昼までは時間あつたのだが佐川君証人喚問のテレビ中継始まり。どうせ「刑事訴追の恐れのある……」で躱されるとわかつてゐても、である。予定調和的に面白いないなか代々木の小池書記長が真打で「こんなことじゃ証人喚問になりませんよ!」はその通り。森ゆうこさまも「総理や大臣の指示がなかっただけ明確に回答するのか」と指摘するが佐川君には暖簾に腕押し。午後から仕事に復帰して晩に九龍塘。Festival Walk商場の映画館で香港映画祭で溝口健二監督『近松物語』見る。今回の映画祭では香川京子さまご来港。ヤンゴンにゐて香川刀自上映挨拶は逃す。実家(岐阜屋)の事情で京都にて羽振りのよい大経師以春(進藤英太郎)に嫁いだ若妻・おさん(香川)が実家の金の工面と大経師の浮気など事情重なり大経師の腕利きの職人頭茂兵衛と不義密通といふ途に陥り……の近松話(劇化は川口松太郎)。これを演じた香川京子は23歳。汚れもなき若妻が茂兵衛との恋路のなかで豹変してゆく態は見事。脇を固める南田洋子、小沢栄太郎、菅井一郎、田中春男、石黒達也ら、そして何より浪花千栄子が白眉であるが、よくいはれることだが茂兵衛役の長谷川一夫が、この心優しくも弱々しい職人のニンに非らず。溝口監督は大物花形役者の起用厭ふところ大映で永田雅一から長谷川の起用要請されてのことだと聞くが長谷川のあの膨よかさ(当時46歳)と厚化粧、目張りが茂兵衛に似合はず駆け落ちで山路をゆくさまもリアルさに欠けるといはざるを得ず。たゞラストのおさんと茂兵衛の刑場にいく途中の市中引き回しでの表情はじつに見事。
@fookpaktsuen: 毎日新聞(そこが聞きたい)桜の季節と日本人「地域が育て愛でてこそ」3代にわたる「桜守」 佐野藤右衛門氏 URL