富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

TTP、株価、日銀……晋三最良の日

fookpaktsuen2013-03-15

農暦二月初四。朝四時に目覚めてしまつた。茶を煎れたら茶葉が残り少ない。そこで今日は所用の次いでに上環の嶤陽茶行に愛飲の鉄観音購ひ、近くの雑貨屋「兆和」で竹製の買い物籠を入手。この「兆和」も数ヶ月で閉業の由。駱駝牌はとくにめぼしい物なし。「兆和」も商売上手で、この籠がHK$150也。 籠といへば篠竹の市場籠*1、この篠竹の籠も持つてはゐるが籠の幅が香港の市街の混雑では一寸使ひづらい。話は前後するが今日は突然、晝に「とんかつ」飰したくなり牛頭角の淘大花園にある「かつや」で晝を済ませ、さて此処から中環方面に向かふのに「遠いなぁ、だうやつて乗り継いで」と思つてぼんやりと旺角往きのバス停に企つてゐたら「西環」と往き先記した赤ミニバスが来て香港の交通機関の便利さに驚くばかり。赤ミニバスはあまり利用する機会ないが今ではオクトパスも使えると知る。早晩に三日連続でジムのトレッドミルで5km走る。晩のNHK NW9に晋三登場。低丁屁(TTP)参入表明、兜町の株価四年半ぶりの高値、国会で日銀人事通過と晋三にとつてお目出度い日。番組では、この三題噺に加へ安倍之彌楠、尖閣日中関係北朝鮮普天間と話題続き、テロリストか?の番組占拠は45分。キャスター大越、笑顔で幇間ぶり発揮はお見事。「朝早く起きて勤労、水を分ち……」が日本人の美徳、と晋三。そんなもの世界中一緒だつて。NHKといへば、かつては従軍慰安婦報道で晋三と故・中川某に編集トップ呼ばれ内容が偏向と叱られたほど気骨あつたが、それが今ぢゃ晋三キャンペーンの音頭取りとは情けないかぎり。マスコミといへば香港電台(RTHK)も放送内容の自主権がかなり中共的に、香港政府的に目の敵にされ現任の局長は「製作人員守則」改悪に具体的に乗り出す始末。標的は日曜日に維園公園で市民参加の政治論議番組「城市論壇」が反政府言論贔屓に映ることと(そんなのマスコミのあるべき姿だが)、政治風刺の「頭條新聞」の低俗さが気に入らぬらしい。NHKの晋三贔屓、RTHKの中共寄り、BBCは経営トップの児童性愛スキャンダルまで含め台所のは火の車……と、かつての政府から独立の公共放送なんて風前の灯。
▼低丁屁(TTP)については都新聞が全国紙に比べ可成り積極的に反低丁屁で実態の先行報道続く。今朝の1面トップもTTP事前協議で米国の自動車輸入関税の現状維持を日本が応じた事を報道。
▼都新聞は311核禍の後続報道も綿密で毎週末には今週一週間の福島第一の各原子炉の現状伝へ、亦た核禍後の現場と東電本社結ぶテレビ会議システムの音声分析も連載で100回超へる。この東電の音声聞いて明らかことはやはり「東電=日本に原発動かすに必要な判断力なし」一言。菅丞相の原発事故に「神のご加護あった」発言は強ち否定できず。
▼昨日の日経で「負債の実質増、革新を阻害 不況と連鎖、断ち切れ」と岩井克人先生がインフレ万歳、デフレ否定(こちら)。インフレとデフレは貨幣の流通量の問題ではなく

すなわち、総需要が総供給を上回ると、商品全体の価格を平均した物価の実現値はその予想値を必然的に上回り、予想値の引き上げがさらに物価を引き上げるという累積的インフレ過程が始まる。総需要が総供給を下回ると、逆の過程が始まるが、貨幣賃金など一部の要素価格は下方に硬直的なので、デフレの進行はインフレより遅くなる。

なんて、そんなこと中学生でも知つてゐることだが、まるで「誰も知らんだろうが」的論調が経済学の泰斗が、と思ふとちと可笑しい。で「金融は、アイデアはあるが資金のない個人や企業が、アイデアはないが資金のある個人や企業から資金を借りて投資し、アイデアを設備や組織、技術や製品の形に具体化させる役割を果たす」ので「その意味で、負債こそ革新的なアイデアを現実の利潤へと転化する資本主義のテコにほかならない」なんて岩井節は面白いが

デフレはこの負債の実質額を年々増やしていくことになり、その予想は革新的な活動にブレーキをかける。デフレは不況を悪化させるだけでなく、資本主義を長期的停滞に導く最も確実な道である。

とデフレこそ諸悪の根源。だけど「資本主義とは未来の利潤を求めて投資する仕組みである。その利潤の源泉は「新消費財、新生産方法、新輸出方法、新市場、新産業組織」……(略)だが未来の利潤の予想だけでは現在の投資資金とはなり得ない。どれだけ革新的なアイデアでも、いま資金がなければ利潤を生むことはできないのである」と、その消費であるとかが現実に今の米国や日本では「豊かな貧困」のなかで、もう消費の伸びない生活様式が出来上がつてゐるのだから……(これについては内山節先生の指摘が面白いわけで)。

*1:これはチョートク先生もご愛用。築地でよく見かける籠だがチョートク先生の場合は佃から六本木の仕事場に、この籠にカメラ放り込んで通うので寿司屋の若衆が築地に往くのとは方向が逆なのが可笑しい。