富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

007 Skyfall と 紅軍-核突支那Style

fookpaktsuen2012-11-02

農暦十月十九日。早晩に久々に「盆菜」飰す機会あり。正直言つて肉だ、野菜だ、とどれも一つ二つ摘めば、もう食傷気味で箸が進まず。昔の、日頃は本当に慎ましく粗食の時代は節句の盆菜はご馳走で悦んで貪り喰つたのでせう。一旦帰宅してシャワー浴びて防寒に厚着してから近所の映画冷蔵館。007の新作“Skyfall”見る。日本公開は十二月で米国も来週末だが香港は英国圏だから?(笑)で先週末の英国公開に続き昨日から。なんだか007の映画と一緒に年をとつてゐる気が……007のカーチェイスなど見るたびに007映画で初めてあたしを映画館と焼き鳥屋に連れていつてくれた先考をば思ひ出し警察に勤めたこともある亡父は本当に憧れのジェームス=ボンドになりたかつた人なのだ、と思ふ。どうにも未だダニエル=クレイグの007には違和感あり。あたしにとつては007はショーン=コネリー。だが時代がコネリーのやうにエロでハッピーな正義は要求しなくなつたのでせう……となると21世紀の007はクレイグのニン。バットマンが貴族趣味の正義役からアイデンティティ崩壊の自己矛盾に苦悩する鬱な正義なる悪になつたのと一緒かしら。それにしてもこの新作、50周年でかなりこれまでのオマージュでM16といふ組織、Mとの上司と部下との関係、007の生ひ立ちなど面白く最新武器やハイテクに頼らぬところもさすが。それにしても敵がかつてはソ連であり世界制覇目論む狂人組織であつたのが今回はMの指示で香港返還前まで上海での諜報活動に遣られ当地で拿捕され拷問受けた結果、顔が醜く変形し性格まで歪んだM16の元諜報員がMに対しての復讐といふのが何とも。それって単なる組織内のトラブルでせうに。しかも、この組織内のトラブルの原因になつたのが明言はされぬが中共の公安組織による拷問だ、といふのだから(笑)中共的には放映禁止だ、これぢゃ。ところで香港返還を前に、って中英交渉は1984年に鄧小平=サッチャーの時代に駆け引きは終はつてゐるわけで末代パッテン総督時代の香港から中共にいつたい何の諜報活動が必要なのかしら。香港の変換前の民主化急いだ程度で、それに対しての中共の反発。諜報員の任務といへば、せいぜい香港にある英国資金をどう中共に渡さぬか、くらゐだが上海に乗り込む必要も感じられず。一寸、辻褄が合はず。まぁ強引に結びつければ香港での返還前の英国による勝手な民主化の見せしめのため上海でM16の諜報員をば拷問かしら(笑)。このスパイ映画を(実際には米国映画なのだが)国家のブランドに出来てしまふ英国は立派。倫敦での撮影での政府の全面的協力。女王陛下だつて倫敦五輪で007との共演は好評だつたし。よく、007の映画終はると仕草がジェームス=ボンド、ブルース=リーならあのスタイルになる観衆少なからず、だがアタシは映画のなかで007やMが当たり前のやうにストレートで飲むウヰスキーが美味しそうで(ちなみに今回はマッカランが提供の由)、映画終はつてから半夜三更にコンビニで(ブランデー選んだが)マテールのポケット瓶購ひミニバスも終ひ歩いて酒飲み帰宅。
▼すること為すこと市民の反発食らふ香港政府、新界は大埔汀角に意味もなく人工海岸建造をば提案。自然破壊。で反政府団体がいっそのこと金鐘の政府総部前に人工海岸造りヴィクトリアハーバーの浄化に努めれば、と(笑)。確かにここを海岸にすればデモ市民も集まれない鴨。
▼「支那」といへば石原慎太郎、だが香港の「中共嫌ひ」嵩じて江南Styleのパロディで「紅軍 - 核突支那Style」が人気。香港で「支那」使つて大陸罵るのは初めて見聞。それにしてもネットがなければ、マスコミの扇情的報道なければ佐藤卓己的には香港もこんなに中国に反発することもなかつただらう。環球日報の社评「“港独”是地地道道的伪命题」(十月晦日こちら)は

少数香港人鼓动敌视内地的情绪,根本原因是内地近年发展迅速,香港人对内地的优越感在流失。港英时代没有比今天好的社会成就,一些人怀念的是那时香港与内地的落差。对这种情绪内地提供不了解药,我们能做的就是在这方面少刺激香港人,让这些情绪慢慢自行平复。

つまり「香港は中国が豊かになり香港の優越感喪失で反大陸になったのだ。これを癒す良薬もなく大陸は香港を刺激しないことだ」と結ぶ(笑)。