富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二少贏官司、鏞記輸未來!

fookpaktsuen2012-11-01

農暦十月十八日。日本の即席食料品は「熱湯で火傷しないように注意」とか「フィルターで手を切らないように」だの余計な注意書き満載。ありゃ米国で洗つてやつた犬猫を濡れてゐるので電子レンジに入れてしまひ家電メーカーに対して「動物を温めると死にます」と注意書きなかつたと訴へるやうな病理社会で「当たり前のことも注意書きする」日本の無思考社会らしさ。いつも馬鹿/\しいと思つてゐたが今日、昼にカップ炒麺食べようとした時は思はず

  • 湯切りの際にセンサーつきの蛇口ですとセンサーが反応して水が出て湯切り口から水がカップ麺に入ることがありますので注意してください。

てな注意書きが必要な事態に(笑)。炒麺が熱湯捨てるはずが水が入つて思ひっきり「冷やし中華」になるてしまふ不祥事。ところで「冷中華」って「支那そば」に次ぐくらゐ政治的敏感ぢゃないかしら。晩に天后。Z嬢と悦鮨*1に飰す。先週の信報にこの寿司屋営む盧さんが中環にあつたCulture Club(懐かしい)で見習ひから修業中に「寿司の拵へかた伝授してくれた」と順寿司の故・高林さんについて語つてゐる(こちら)。この記事の書き手(蒲東)は香港の寿司職人で西村、見城と並び高林さんを上げるが西村も見城も二軒とも親方のお名前がそのまゝ店名で尖沙咀でいずれも老舗で盛況だが高林さんが亡くなつて、もう十二年。当時の炮台山の順寿司といへば日本人の駐在員から芸能人までまぁ賑やかで銅鑼湾以東で天后の「利休」と並び「なぜ此処で?」の大繁盛。炮台山の店は居抜きで今は「自然や」。それにしても中環のCulture Clubのことはすつかり記憶の彼方。今はAbercrombie & Fitch、それまでは「上海灘」のあつた中環のベダービルヂングに90年代前半にあつた、かなりスノッブな創作日本料理供しバブルな香港で人気。その記事を見て一つ、この悦寿司に、と思つた次第。実に真っ当な握り寿司をいたゞく。ふらり、と一見の(ってあたしたちもさうだが)一人客も若いがかなり風采も爽やかなビジネスマンで他にも上客少なからず。酒の値付けはかなり強気で舌を巻く。それにしてもアタシは、あの「炙り」寿司といふものが大嫌ひ。食べないだけぢゃなくて魚の脂の焼ける臭ひが寿司屋で充満するだけでも気分悪い。邪道。誰があんなもの始めたのかしら。最近の寿司屋は下品にも板前でカセットコンロのバーナーで「炙り」するから始末が悪い。この「炙り」を顔本に揚げたら、やはり嫌ひな方少なからず。畏友J君が「せめて許せるのは藁で炙つたかつをのたゝき?」と。確かに。たゞもと/\これも寿司屋で出すものぢゃなかつたはず。あたしが生まれて初めて鰹のたゝきを食べたのは幼いとき新宿の「つな八」だった。
▼鏞記酒家のお家騒動。今朝の蘋果日報一面トップで「次男勝利、鏞記敗訴」。先月急逝の甘健成氏が弟一派の鏞記乗っ取りに対して持ち株会社(鏞記ホールディングス)の会社清盤=解散をば裁判所に届け出た件。香港の裁判所はこの持ち株会社英領バミューダ諸島にあり香港の司法の管轄外として申請を受理せず。弟一派が事実上、鏞記を切り盛りし続けた長男の健成氏に対して強制的に長兄をば排除するやうなやり方には問題あるとしつゝも司法的には判断避けたことで事実上、過半数の株式有する弟一派が鏞記をば占有。で「次男は勝っても鏞記はもうダメ」といふのが蘋果日報の見出し。昨日は弟一派が愚息らと鏞記で記者会見。それに対して長兄子息は湾仔の別な食肆で記者会見するほど已に外様扱ひ。鏞記酒家で勢力維持は難しく別途、「正統」で飲食店をば創業と息巻いては見せるが鏞記で弟一派が長兄のやうに厨房から食材の選定、吟味から顧客サービスまで果たして出来るのか、と疑はれるのと同様、長兄の子息も子どもの頃からのカナダ生活で食肆に育つたともいへず美味なる料理屋が出来るとは思へぬ。といふことで鏞記には知己なる経理、給仕も少なからずアタシもどうにか上客扱ひされ有り難かつたが残念ながら暫くは足を運ばず傍観かしら。蔡瀾先生がまだ続けてゐる『壹週刊』の連載で甘健成先生追悼の文章あり(こちら)。一読に値す。この連載で十年以上前に蔡瀾さん「燒鵝先生」と題して健成さんの父親、鏞記創業の故・甘穗輝先生について書いたことあり。その後、穗輝氏逝去され蔡瀾さん、その記事に穗輝氏の似顔絵を書いた挿絵画家・蘇美璐に請ひ原画探し出し表装の上、鏞記に贈り、店内で見世の切り盛りは健成氏に委ねた先代がいつも坐つて茶を服してゐた座位にそれを飾つた由。で今回は蘇女史に健成氏の絵を書いてもらつたが蔡瀾氏は追悼の文章で「鏞記後人有良知的話,應當再掛於壁上。」と綴つてみせたのは、つまり「鏞記の後継者に良知があるのなら(二代目健成氏の肖像画を初代に並べて店内に)掛けるべきだ」と次男一派への嫌ひ。御意。さぁアタシもこれでかつての益新飯店に続き香港で贔屓に往く広東料理屋を一つ失ふことになる。
▼日銀によるデフレ脱却に向けた追加の金融緩和について。昨日の信報社説が「日本加碼放水 衰退陰霾難消」と題して

如今大地震後重建的財政投入對內需拉動之力已不斷弱化,而龐大的財政赤字和債務重負,亦約束了日本政府的財政刺激能力,依纚出口拉動,但在目前全球景氣低迷下,顯得困難重重。可以看到,日本經濟迄今缺乏拉動紒長的有力引擎。(略)如今利率幾乎已抵零水平,再無下調餘地,資產購買計劃已然成為央行最主要的政策工具。但消費與投資皆疲弱不振,物價低沉難起,企業投資意欲低迷,即使貨幣進一步量化𥿠鬆,不斷加大流動性,恐怕也不容易扭轉乾坤。

と経済指摘に対してはとても悲観的。これに対して日経は「日銀、融資支援に打ち出の小づち 官製「円キャリー」促す? 海外勢が関心、円高修正効果も」とノーテンキ(十一月二日、こちら)。だめだ、こりゃ。
中共の党紙『環球時報』昨日の社説「“港独”是地地道道的伪命题」(こちら

一国两制赋予了香港特殊性,而香港回归不久,内地有巩固香港回归的愿望,这些因素合在一起,会影响香港与内地利益关系的磨合过程。香港这几年示威规模比港英时期大很多,原因之一是今天的内地比当年的英国更不适应、也更在意这些示威。激进人士们实际在向内地“撒娇”,以对抗方式套取自己的利益。(略)相信香港社会的整体清醒,意味着内地应淡化对香港具体内部政治的关注。我们只需放手让香港自由发展,从长远看不卷入其内部的利益调配,重要关头能帮就帮香港全社会一把,但也不做过分,给香港的经济优惠应适可而止,不让香港社会对内地的依赖走过头。(略)少数香港人鼓动敌视内地的情绪,根本原因是内地近年发展迅速,香港人对内地的优越感在流失。港英时代没有比今天好的社会成就,一些人怀念的是那时香港与内地的落差。对这种情绪内地提供不了解药,我们能做的就是在这方面少刺激香港人,让这些情绪慢慢自行平复。

香港は中国が豊かになり香港の優越感喪失で反大陸になったのだ、と党紙社説。これを癒す良薬もなく大陸は香港を刺激しないことだ、と。なんて余裕なのかしら(笑)

*1:「悦」の字は正しくは旁が兌だが、その字を入れると「絢」になつてしまふので「悦」としてゐる。