富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三峡ダムなかつたら旱魃はより厳重?

五月廿四日(火)まだ雨が歇まぬ。五月下旬とは思へぬほど気温も上がらず。寝てゐて少し寒気がしたが朝から悪寒。冷房どころか夜中に少し寒さ感じただけで体調悪し、とは……。今日も皆が半袖のシャツ一枚のなかカーディガン姿で、これぢゃグールド先生。
▼昨年、尖閣=釣魚台で日本の海上保安庁の巡視船と衝突し海上保安庁に拘束され政治的決着で帰国した人民英雄の船長(写真)。「じつは衝突ミッションを受けたエリート軍人」説などもあつたが、この船長は福建省に凱旋帰郷のあと自前の船は政府に買ひ上げられ当局の監視役がつき実質的な軟禁状況でSPがつき村の小巷から出ることも能はず毎日が抽煙、喝茶、飲酒の悶々とした生活の由。少なくとも政府や軍によるミッション説は消え、この地元では漁獲で月に数万元稼ぐ羽振りよく鯔背な漁船長は祖国威信かけ尖閣列島に向かつたものの日本政府にとつても追い返せず拿捕したことで面倒な問題となつたが中国政府にとつても勇敢なこの行為が外交上も政治上も些か一漁民が面倒なことを、なのだらう。この対日抗議ぢたいは良いのだが、かうした市民の憤りによる抗議活動がいつ対政府となるか、が気になるところで五月蝿い奴は身柄拘束はこの船長にせよ艾未未にせよ同じことか。
▼昨日の蘋果日報が伝へる三峡ダムによる旱魃「人災」に対して今日の明報は「三峽放水解180萬人乾渴」と三峡ダム放水伝へ(それだけなら事実報道だが)「有專家指,如果沒有三峽作為「蓄水池」,乾旱問題可能更嚴重」といふ。何だか原子力安委の班目某の「「再臨界の可能性はゼロではない」と言ったのは事実上ゼロという意味だ」発言のやうな意味不明。で記事読むと中国水力発電工程学会の副秘書長の張某が「昨年の三峡ダムの貯水量は数百万㎥で、もし三峡ダムがなかつたら下流域の難しい局面が想像された」ってよーするに長江中流域で大雨になつたら下流域は深刻な水害になるといふ「たられば」話。いま深刻なのは旱魃!詭弁も甚だしい。さらに張某は現時点で大量に放水せぬのはいまの目的は長江の推移低下による河川航路確保の困難をば解消するためで今後さらに数ヶ月旱魃が続く可能性もあるので、そのときに備へ大量放水で三峡ダムの貯水が底をつくことは回避すべき、と。まぁ指摘も解らぬではないが歴史的旱魃が深刻化して問題になるなかで中共プロパガンダ新聞ならいざしらず香港で明報が「三峡ダムがなかつたら旱魃は更に厳重になつてゐた」と報じるのは不正確もいヽところ。