富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-05-25

五月廿五日(水)先考の生誕日。漸く雨が上がり曇天の日。昨晩から喉痛と胸の息苦しさ、目眩に首から肩の筋肉痛。朝イチでC医師の診療所。アタシが体調崩すのは十中八九Gastro-enteritis(胃腸風邪)なんだが今回はURTI(上気道ウイルス感染症)の診断。薬を処方され養生。先週末に新型購入のMacBook Airで3年愛用の旧型。システムも入れ替え見た目はアルミニウムボディは新品のやう。で一瞬、高校生の武蔵K君にでも譲つたら喜んでくれるか、とも思つたがバッテリと放熱部分がいつ駄目になつても不思議ぢゃない状態で日本に送るほどコンディション保証も出来ず、思ひ浮かんだのが先日、背負つて病院まで連れて行つてあげた馬鞍山O君。フツーのノートブックならマダしもMacBook Airは旧型とはいへ小学4年生にはちょっと素敵すぎるかしら。K女史(O君母)も喜んでくれO君は父親がMacユーザで周辺アクセサリなども家に揃つてゐるので譲り易い。でも若いうちからあんな薄くて軽いノートブック持つてしまふと追々もうフツーのノートブックが「厚い、重い」と使へなくなる鴨。アタシが幼い頃は皆さん酔つぱらつてはゐたが面白可笑しい話を聞かせてくれ素敵な玩具をくれる酔狂なオジサンたちが澤山ゐたものでした。福西英三「洋酒うんちく百科」と樋口晟子先生の「私の記憶」読了。
▼樋口晟子先生の「私の記憶 父の軌跡と共に」(私家本) 晟子先生がお若い頃からの河北新報市民運動で書かれた随筆等。陽一先生のことがほとんど出てこないのが、このご夫婦らしい信頼関係。お子さんのことは多分、次男君のことだらうが小学生で「政治評論家」といふ渾名といふのが納得。何といつても仙台市長選挙の記述読み懐かしいところ。七期27年市政司つた島野武急逝による市長選挙自民党が県庁の小役人・石井「土建」亨をば擁立。島野市政継承を、とこれに対抗する形でぎり/\最後で(確か公示の一週間前だつたか)晟子先生も候補の一人であつたが「市民の手で市長を選ぶ市民の会」が弁護士の勅使河原安夫氏を擁立、当時では(って今もか)あまり考へられぬが社共が乗つての大選挙。決起集会には社会党から田辺誠、共産党から上田耕一郎で労組団体などやんやの喝采。「不破と上田耕一郎は兄弟といはれても似てないが田辺の方が似てるよな、上田と」と組合のオジサンのつぶやきに思はず大笑ひ。25千票だかの僅差で勅使河原破れたが楽しい選挙。石井「土建」亨はその後ゼネコン疑惑発覚で市長辞職で有罪で入獄。その後の日本の地方自治で首長がノックだ青島だ、石原に坂下だ、と色物芸人が跋扈し小粒では横浜のナカタだの名古屋の減税男、そのまんまなど魑魅魍魎が蔓延ること思へば80年代がなんと常識的であつたことか。この晟子先生の御本で特筆すべきは「父の軌跡と共に」とあるやうに晟子先生のご尊父、高橋剛彦氏についての記録がかうして活字に残されたこと。石上玄一郎(1910〜2009)「太宰治と私」(集英社文庫)に「岩渕」なる名で登場するのがこの剛彦氏。盛岡中学から弘前高校(いずれも旧制)経て東北大学、在学中に仙台の素封家だつた家に婿養子に入り本多光太郎博士の知遇得て(それからの経緯は端折るが)戦後は東洋刃物の社長となり日本では珍しい左派の財界人として活躍。経済同友会に加わり(当然か)日中友好、対中共貿易に尽力……でかなり異色の財界人であつたが還暦を迎へる前に他界。そのお嬢様が晟子先生で、この剛彦氏のことがかうして記録に残つたのことは実に好事。写真は1961年の訪中団で下段右から3人目の大物役者のやうな御仁が剛彦氏。当然、中央は周恩来先生。
福西英三著「洋酒うんちく百科」(河出書房新社) 銅鑼湾のバーSでシングルモルトとジンジャーワインを調合したら、とふと思ひつき、こんな飲み方あるのかしら?と思つたが亭主M氏に「ほら、ご覧あれ」と見せられたのがこの本で Whisky Mac といふ。Apple社のSteve Jobs氏がガレージで電脳組み立てながら飲み残しのモルトに……といふのは嘘で19世紀に駐印の英軍部隊にアイルランド出身のマクドナルドなる大佐がをり、この大佐がスコッチにジンジャーワイン加へ飲むのを好み部隊にこの調合酒が広まり……でMacの由。かうした酒の蘊蓄読むのは楽しい。
▼書き忘れたが日曜日に九龍湾で「幸福の科学」の大川隆法先生の講演会(こちら)あり。どのような人々がどのくらゐの数集まるのか興味あり講演会に申し込みまでしてゐたが週末も休む暇なく今ひとつ出向く気になれず。香港で下部組織(こちら)から大川総裁の新書発売だか、に合はせてのご来臨の由。新興宗教はよくわからぬが、この幸福の科学の「大きな智慧で小さな悩みや煩悩は解消できる」みたいなのが高学歴のエリート層にウケるといふのも何かわかる気がするし香港向き鴨。

洋酒うんちく百科

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