富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-05-23

五月廿三日(月)晩遅くまで忙しく早晩に慌ただしく北角の勝利小厨に海南鶏飯食す。この食肆の鶏飯つてこんなに塩辛かつたかしら、と思つたがアタシがどん/\あつさりの味つけに慣れてゐるからで、この鶏飯にも生薑と辛みのタレがついてくるくらゐだから誰にとつても塩辛くはないのだらう。一寸だけ間が空き太平洋珈琲で一服。この太珈も星巴も足並み揃へて珈琲飲料の量減量で実質的な値上げ。これまで「売ろうとしないで隠してきた」細杯(small)は廃止。これまでの “tall” がかなり縮まり “grande” も比例して減量。これまでが量が多すぎたと思ふが体のいヽ値上げ。茶餐庁もさりげに米飯の量を減らす由。これはいつも食べきれぬので歓迎だが。
蘋果日報が「首認工程問題多 中下游再遇大旱 胡溫與三峽大壩劃清界線」と報じる(生果日報)は国務院が温首相訪日前に発表の「三峽後續工作規劃」(参照)で長江三峡ダム建造での問題に北京中央が初めて言及、半世紀ぶりといふ中下流のひどい旱魃もあり。この政府報告は三峡ダム建造の成功とその効果評価しつヽ間接的ではあるが確かに「三峽工程蓄水後對長江中下遊帶來的不利影響」などと問題点も指摘。三峡ダムについては長江の治水といふ歴史的大事業にあつて建造中からそのマイナス効果指摘され極めつけは落成式典に江澤民ら中共首脳が姿見せず、で「欠陥あり」の憶測もあり。ジャーナリストの戴晴女史は今回の国務院報告は胡温の二人が三峡ダム建造決定時の鄧小平と李鵬に距離を置くもの、と指摘。「三峽工程與六四屠殺,是鄧小平和李鵬洗不掉的兩大污點!」と戴晴。中共中央にしてみれば三峡ダムが生態系破壊といふ世論が政府批難に繋がること恐れ、いずれにせよ建造は将来的に大きなリスク背負う問題で今の首脳らは党政府先達らの偉業が災ひになること恐れ、とにかく下流域の旱魃などどうにか食い止めようと策を練るが精一杯。
▼昨晩のシンガポール国際。勝つたジターノエルナンド。ドバイ国際にも出てをり斉藤さんの日記(こちら)によれば「ドバイでは出馬表に大きく表示されるのが馬主の国籍の国旗」なのでジターノエルナンドは「チェチェン共和国の国旗だった」が「シンガポール(とかほとんどの国)では調教国が示される」ので「当然のように南アフリカの国旗が印刷されていて、実際にレースのあとスコフィールド騎手が馬上で広げていたのも南アフリカ国旗だった」由。斉藤さんは表彰式でジターノエルナンドの馬主であるチェチェン共和国ラムザン=カディロフ大統領ご自身来臨かと焦つたが(実際にこの大統領閣下の尊顔の覚へもなく写真に撮りアトで確認したところ)さすがに閣下ご本人にあらず。政治的理由でジターノエルナンドをはじめカディロフ大統領所有馬出走拒否する国もあり。
▼Tom Leeといへば香港で最大の楽器商でヤマハの代理店でつとに有名。ヤマハ同様に音楽教室事業も手がけ創業者で91歳の今も社長として毎日出勤するのがThomas Lee氏。派手な活動なく日々生業に精進はご立派。このたび香港芸術発展局がLee氏に対し1977年に創立のTom Lee音楽基金の貢献を表彰。Thomas Lee氏は上海に生まれ育ち1951年に大陸の赤化から逃れ香港へ。就労の口もなく友人と楽器商を興し1958年に妻(現役の副社長)が福引きで二等賞当て二人で日本旅行へ。日本選んだのはThomas氏が日本語を解したから、だが訪日のなかヤマハ訪れ香港での代理権を得たのがTom Leeのその後の発展に。なんだかパナソニックと蒙さんのやうな話だがThomas氏の堅実なところは尖沙咀の本店(Cameron Rd)はじめ主だつた店舗は1960年代から自前。その不動産だけでも億の財産で経営は確実。夫婦での経営で蒙さんのやうに先妻一家と後妻が遺産争ひのやうなことも無し。
▼信報で在独の關愚謙先生が西独の元首相ヘルムート=シュミット氏について書いてゐる。御年92歳のシュミット先生は独逸のテレビで相変はらず煙草の煙のなかで米国のビン=ラディン容疑者殺害の国際法上での非合法性指摘の由。かういふ立派な政治家が首相退任後はDie Zeit誌の共同発行人で今日に至る。いつまでも泥ヽと永田町に居残るか細川の殿様や小泉のように何だかワケのわからん趣味人になる日本から見ると羨ましいくらゐ。