富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

星加坡総選挙で野党善戦

fookpaktsuen2011-05-08

五月八日(日)朝イチで昨日のシンガポール総選挙の結果見る。シンガポールの李光燿体制嫌ひのアタシもまさか集団選挙區で野党が議席獲得とは思ひもせず。午前中Z嬢と中環天星碼頭の有機野菜市に往き北角。北角春袂街の真真美食店に昼を食す。春袂街といふ地名も艶やかだが実際は底抜けに下世話な下町。真真はアタシらが入るなり小さな店中の空気が凍るほど地場の常連客、而も殆ど全員が福建人。そこにアタシらが入ったものだから。同席の昼から蒸し魚で麦酒のヤキが回つたオヤジに「イップンナン?」と尋ねられ「是、是」と適当に応へると一先づ何事も無かつたかのやうに「再生」ボタンが押されたが、余所者が邪魔できぬ雰囲気あり。蜆入りの福建炒面と牛肉羹それに咸飯(炊込み飯)食したが実に美味。渣華道街市。八百屋のテレビが映す翡翠チャンネルが丁度、日曜昼の城市論壇@維園で政府の国民教育推進に喧々諤々。帰宅して同じチャンネルで1997年の賀歲電影(旧正月映画)『富貴逼人』見る。監督は高志森で主演は董驃と沈殿霞。この数年後には賀歲電影も下火に。夕方、銅鑼湾に按摩、擦背。天后でいつも見かける路上で物乞ひの老婆に今日は小銭を与へる通行人少なからず、と思へば今日は母親節。今年は母に淡い桃色のリンネルでできたストール贈つたが母からの礼がiPadからメールで届くのもご時世。昨日今日は摂氏三十度以上となるが冷房もつけず麦酒と枝豆。更に豚肉を大根おろしと韮の鍋で汗かきつゝ食す。これがまた美味。NHKスペシャルで「写楽〜天才絵師の正体を追う〜」眺める(出演は獅童君)。希臘で見つかつた写楽筆といはれる肉筆画・四代目幸四郎加古川本蔵と松本米三郎の小浪から「消去法で」写楽が阿州侯のお抱へ能役者・斎藤十郎兵衛と断定されるが真偽はアタシが語るに能はず。津の石水博物館だつたか奈良大和の図書館の浮世絵研究者が「この絵は芝居に明るい方ならすぐ判りますが」と前置きして浮世絵を獅童に紹介した時のシビアな視線をZ嬢見逃さず「なんか、あなた、判つてゐますよね?」の表情、と(笑)。週末とはいへ朝暗いうちに起きちまつて結果、早寝。
シンガポール総選挙。野党労働者党(Chen Show Mao党首)善戦で与党人民行動党のGeorge Yeo外相らがゐるAljunied集団選挙區で勝ち五議席獲得。一人區でも一つ勝ち六議席(他にも労働者党が僅差惜敗が一人區で2つ)。集団選挙區制度は議席数の候補擁立せねばならぬ点で圧倒的に政権与党に有利だが今回はこれが与党には仇となり五議席喪失(ざまぁ見ろ〜!)。前回の2006年選挙では労働者党と民主連合が各1議席だつたので野党はこの一党独裁国家で四議席増。一党独裁非民主主義国家で孤高の奮迅をしてきた民主連合のChiam See Tong議員(新人民党書記長、72歳)は落選(こちら)。Goh Chok Tong前首相の地元、Marine Parade集団選挙區は国民団結党(NSP)が期待の大型新人・余雪玲ら五人擁立して臨み与党辛勝ながら与党と野党の得票率が6:4より均衡に近い選挙区が半数あり。とんでもない圧政国なのでこれまで野党候補者が有利になると平気でゲリマンダー(選挙区再編成)や公団住宅建設遅延など選挙民への嫌がらせ実施。一人區減らし与党に有利な集団選挙區制度拡充してきたが、この集団選挙區が野党に奪はれ与野党の得票数均衡となると公共事業停滞や徴税といつた嫌がらせも出来ず。深更に記者会見した李光燿の息子・二代目首相(あらためて見るとずいぶんと老けたし痩せたねぇ)が選挙で憔悴しきつた表情で無理な笑顔で「人民行動党だけがシンガポールでなく、シンガポールには他にも考え方があるわけで……でも国民は人民行動党に政権を任せる判断」と何を今更……。ただ中共ほど一党独裁が必須の人民行動党にあらずあくまで経済成長優先には政治的安定といふ認識でアジアでも有数の先進国となれば政治的変革はある面、折り込み済みなのも事実。ところで次回2016年総選挙の時に李光燿皇帝はまだご存命で下手するとまだ現役の国会議員なのかしら……。
▼一瞬、目を疑った今朝の朝日新聞ビンラディン容疑者殺害の舞台裏と題して

「やつを仕留めたぞ(ウィー・ガッド・ヒム←何なのかしら、このカタカナ書き)」。米東部時間の1日夕、オバマ米大統領は、国際テロ組織アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン容疑者殺害を確認し、こう語った。テロとの戦いの「最後の成果」が生まれた舞台裏を、オバマ政権高官が朝日新聞の独占取材に明らかにした。

と。こんなこの征伐劇のときの状況など次の日の新聞各紙にこの小浜総統の“We gato him!”から始まつて殆ど語り尽くされた話ばかりで何が朝日の独占取材なのかしら。
▼明報で沈旭暉(香港教育学院副教授)が中国国内のモスリム有力者のインタビューなるもの紹介。この度の米軍によるビン=ラディン師征伐を米国の自作自演と一蹴。ビン=ラディンは数年前に腎臓病で逝去。敵を撃つ前の病死では米国の面子丸潰れゆゑ。パキスタンの軍事基地区域にビン=ラディン師が隠遁をパ政府が「知らなかった」筈もなし(征伐先がアルカイダ支配域では米軍の軍事行動への反撃があるゆゑ今回の征伐目標は安全な?パ国の軍事区域内といふことか、と思ふと辻褄が合ふ:富柏村註)。なぜ米国が10年も最大級の敵、指名手配犯を捕まえられなかつたか、といへばサウジのビン=ラディン師に繋がる石油資本がブッシュ家にとつて商売相手であつたからで小浜総統になりその柵みもなく今回の征伐は小浜政権にとつて一期目に政治的な大きな成果もなく経済沈滞で総統続投狙つた選挙キャンペーンのやうなもの、と指摘。この話をそのまゝ全て肯定は出来ぬが強ち間違つた指摘とも思へず。