富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-03-08

三月八日(月)曇。先考命日。
▼信報に文化面の一面びつしり!で張俊峰による崑劇「玉簪記」の観劇記と白先勇の手記の掲載あり。玉簪記の良さは劇中の崑曲の妙。牡丹亭が気勢磅礴の交響楽なら玉簪記は婉約動人の室内楽、牡[丹亭が記敍故事の厚重な壁画なら玉簪記は精緻な水彩画、と。御意。玉簪記は中国古典十大喜劇の一つに数へられるが二人が別れる「秋江」の幕は悲劇的で観衆の涙を誘ふ。原本では書生潘必正が科挙に受かり功名、尼僧であつた妙常を連れ故郷に戻り妙常の生き別れの母も迎へ婚約し大團圓となる由。それがこの崑劇では「秋江」で悲劇的な別れで終演。また「牡丹亭」の覆刻を成功させた白先勇は第二作目は間違ひなく崑劇の大曲「長生殿」に挑むと思はれたゐたのが「玉簪記」選んだのも面白いところ。先勇曰く「崑曲一直為人批評曲高和寡,我看不是的,我覺得二十世紀中國人的氣質倒是變得實在太粗糙了,須得崑曲這種精緻文化來陶冶教化一番。」灼為的評。
▼信報が賭王何鴻燊の病気治療と療養につき「賭王妙破兩紀錄」と何事か、と思へば入院の日数と治療費。221日の入院は著名人では「打破新馬師」の新記録。歌手のDanny陳百強が1992年5月に大量の服薬で暈倒し瑪麗醫院に入院したが意識恢復せず17ヶ月後に逝去。また粤劇名伶の新馬師曾も1997年にカノッサ病院に入院したが109日後に逝去。今回、脳出血で再起不能か?と云はれた中での退院はあらためてこの人の強運と意思の力の凄さを思はせれるばかり。ちなみにこの221日間に費やした医療費は実にHK$2.二億は日に百万ドル(1.2千万円)。これも香港開闢以来の医療費だらう。退院後はNo.1 Replus Bay Rdの本宅に一億円以上かけ寝室に医療設備を完備させ今後も香港での最高の治療を施すのだから医療費は天文学的数字に至る、か。この本宅に住むことは現存の三人の妻からの「中立地帯」。(正妻はとふの昔に亡くなり)今回の退院を仕切つたのが第二夫人の娘で何鴻燊の事業の後継者筆頭である超瓊ら、超鳳、超蕸。第三夫人の子、超雲、超蓮は鴻燊王のおお気に入りで第四夫人は三房の中で最も夫人として政財界に活躍。今回の退院に合はせての賭王愛駒「爆料」の勝出も競馬場に現れたのは第四夫人。退院の際にいくら夫の愛駒とはいへ競馬か、と見るか、この「爆料」の洋名は「Viva Pronto」で意味は「快快萬歲」ならさすが第四夫人、ととるか。ちなみにこの「爆料」の父馬はCatcher In The Ryeだつたさうな。サリンジャー逝去でこれも知つてゐたら、と「たら、れば」だが。