富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月十四日(月)復た朝三時頃目覚めてしまひ『少年への性的虐待』読み始め未明に読了。終日多忙。帰宅してドライマティーニ飲みさうになつたが清明節も過ぎるとだいぶ日も長くなりジムまで走りジムでトレッドミルで走る。帰宅して野菜主体の晩飯。米飯食さず、でこれで酒飲まなければ理想的なのだが。酒といへばジムの帰りにふと焼酎が切れてゐること思ひだし某日系スーパーに寄つたが香港のスーパーで芋焼酎探すのは難儀で「いひちこ」売り切れで「いひちこスーパー」選んだが買つてから計算したら日本なら1,300円くらゐなのにHK$232つて3,000円とは……。なんか久々に「厚い本が読める」コンディションなので白先勇の『孽子』を国書刊行会発行の邦訳で読み始める。『少年への』を昨晩読んでゐて、さういへば『孽子』の邦訳が未読のままであることを思ひ出したのだ。原本ではさらさらつと通読こそしたが漢語の細かい表現など読みきれてをらず。この『孽子』は現代中国語文化圏の代表的作家の一人である白先勇の代表的な長編であり、それが翻訳大国日本で1983年の刊行から邦訳刊行されずにゐたのは、原作の白先勇の散文の筆致を(日本語なら中上健次のやう)、しかも70年代の台北の公園を舞台に男娼に身を窶す十代の少年たちの世界をどう日本語で描ききれるか、は容易ならず、だからか。それが陳正醍氏(中央大学文学部教授)による邦訳で刊行は2006年。その訳は、会話の、とくに主人公の阿青の語る言葉が多少ぎこちなさが気になるが(他の登場人物の生き生きした語りに比べ)、これも主人公の沈鬱感や戸惑ひの表現の一つなのか、とも思へ、この白先勇の小説が見事に和文で著された。面白いとは思つたが毎晩のことで十時すぎには睡魔に襲はれる。が深夜!十一時に携帯に電話かけてきた知人あり。それに起され眠れなくなり午前二時近くまで目が醒めたまま、この『孽子』を半分、250頁ほど読む。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

Nieh-Tzu (げっし)  新しい台湾の文学

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