富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-03-31

三月卅一日(土)早晩まで忙殺され続ける。通りがかりの九龍の某ショッピングセンターで手塚治虫のキャラクター展開催中。手塚治虫の世界はどこが「子どもに夢と希望を与える」のかしら。よくよく見ると大人が子どものキャラを使ったエログロ的なところもあり。それが「夢と希望」のオブラートに包まれるから、それが手塚治虫の凄いところなのだが。宮崎駿あたりはそれを踏襲する気負いなのだろうが。科学館で映画『下午狗叫』(監督:張躍東、中国、06年)見る。やっぱりどうもビデオ映画作品って苦手。フィルムに比べると何処でもロケできる手軽さが映像に出てしまう。マイクも音を拾いすぎたり雑音が五月蝿くて。都市に生きるさまざまな人間模様、みたいのを科白少なく傍観的に映したビデオがどこまで映画なのか、ちょっと困る。二更に香港市大会堂で映画“No Regret”(中題:愛在基?的日子、邦題は「悔いなき恋」らしいが不明、監督:李松喜一、韓国、06年)見る。ソウル舞台にした同性愛の恋愛物。田舎から出てきた主人公の青年は昼は工場に働き夜は自動車代行のアルバイトで将来の学費稼ぐが工場を解雇され、同性相手の看板はカラオケ、実は淫売の店に入る。廓にいったん足を踏み入れたら泥沼、という友人の勧告に「カネを工面するだけだ」と主人公。自動車代行の客であった青年実業家、実は主人公が解雇された工場の社長の御曹司、それ彼が主人公に恋し、この淫売カラオケに客として現われ、……あとは「韓国らしい」テイストかもしれぬが御曹司にはフィアンセがおり結婚の重圧、全てを捨てる覚悟で愛を貫こうとするが「このままじゃ泥沼」と覚悟した主人公は……と殺しか心中か、と。成人映画指定はカラオケ淫売での口交や二人の肛交があるゆゑ、だろうが、どちらかと言うと韓国らいしい情と怨念の激愛モノ、である。映画終っ久々にFCCに寄る。ドバイからの競馬中継を見るがため。自宅でも見れるのだが。Dubai Sheema Classic(芝、2,400m)には香港からVengeance of Rain(爪皇凌雨)参戦。香港でのオッズ見ると何故かポップロックが人気。昨年5月に目黒記念(G2)に勝って思いっきりの重賞狙いだが昨年10月のメルボルンカップから有馬記念も2着、今年2月の京都記念(G2)も二着で、御祝儀も含めVengeance of Rainに賭けていたのだがよく頑張った!で優勝。続くDubai Duty Free(芝、1,777m)は昨年12月の香港国際で独走のPrideに迫り僅か首差で二着のアドマイヤムーン武豊騎手)である。四着くらいのいい位置から「きちんと出て」見せ鞭くらいで優勝。おっと気持ちがいいねぇ二連勝だよ、アタシは。でDubai World Cup(ダート、2,000m)である。ダントツで一番人気はDettori騎手のDiscreet Catなのだが、どうも神憑さの欠けた感あり、のDettori師(Duty Freeでゴールしてさすがに興奮の武騎手にパッカパッカと近づき「おめでとう」と祝福する自らは酸敗のDettori騎手の「優しさ」が印象的であったが)に賭けたいと思えずアタシは今晩の絶好調で「絶対に来る」と自信もってInvasorに賭けたら、来ちゃったよ。でドバイ三連勝。
▼本日、六世中村歌右衛門命日。丸五年で神式なら六年祭。青山のお墓も折りから満開の桜。黒御影の墓碑に散りかかり綺麗だった、と聞く。墓前には神谷町が真喜雄さんの名で供花の由。さすがに岡本町の墓前に神谷町も五代目の名を継いだ栄次郎で花の手向けは躊躇われたかしら。大成駒の「關扉」については久が原のT君の話によれば大檀那がこれ演じる時は小町姫と墨染の二役を必ず兼ねたものだが先帝崩御のあと、アタシも見た平成元年三月には六代目歌右衛門、さすがに体力衰え、小町を京屋に任せ墨染の片役のみ演じ、これは後にも先にもこの時かぎり。配役決まったのは「昭和」のうちだったが宗貞の「崩御を悼むあまりにや薄墨色に咲きたるを」というセリフは原作の能「墨染桜」に従い仁明天皇崩御後の設定、それが、そう、一月の先帝崩御で、諒闇の春の芝居になったもの。