富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-05-10

五月十日(水)快晴。朝日の芸能欄に歌舞伎座五月の団菊祭の劇評、というか紹介あり。成田屋外郎売で復帰。天晴れ。大仏次郎の「江戸の夕映」を旗本・小六演じる「海老蔵の白刃のような凄み」も凄そうであるし菊之助柳橋芸者というのも、なんか必要以上に芸者してそうだが、「13歳の右近が舟宿の娘になり船頭たちを取り仕切る小気味よさ」というところに右近?、右近といえば沢瀉屋の市川右近と思ったが13歳のはずもなく、えっ誰ぢゃいな?と思えば尾上右近で七代目清元延寿太夫の次男、子役の岡村研佑が昨年、右近襲名だそうで(日本におらぬととんと知らぬ)尾上で右近とは延寿太夫の子とはいえ厚遇と思えば祖母が六代目の次女多喜子さん、とは、なるほど。海老蔵の藤娘もいろいろな意味で凄そうだし菊之助の保名も見てみたい。やはり東京にいてみたい。本日、呆れるほどの青空(画像)。猛暑。先日、突然、03/04年の税金の追徴金郵送で受取り「今更、知るかよっ!」の世界だが期末ぎりぎりの出演料で寄席も怠慢で支払明細の発行かなり遅れ5月の所得税申告に間に合わず翌年(04/05年)の所得税申告に加え「その分を加算しているが問題あれば連絡せよ」とメモつけたが税務署からは何ら連絡もなく、而もその年の所得税額の算出基準となる所得合計にこの分もちゃんと加算されていたものだから、それの納税済ませ全て終わったものと思っていたら、の今になっての追徴金。翌年度に支払っていますよ、では済まぬのが役所の世界。湾仔の税務署に出頭し、資料見せ、これこれこういうわけで、ほらね、と説明すれば「ご説明ご尤も、しからば、一旦03/04年の追徴金分を支払って、その上で04/05年分の過剰支払いの還付を受けよ、と。確かに、それも一理あるが、相殺できるのだから「そこをどうにか」で通じぬのが役所の世界。もはやこういうやりとりに慣れているので「その03/04年の追徴納税は拒否する」と宣言。縁切りでご破算のようだが、納税者に「拒否」と言われると税務署の窓口の前線職員にとっては楽なわけで「それでは階上でオフィサーのインタビューを受けてくれ」となる。で湾仔の税務タワー23階のそっけないフロアに向かう。窓口の左右に4つのブースあり、一応は納税者のプライバシー保たれているが、覗いてみると税務署職員の説明に机叩かんばかりに興奮して抗議する男、北京語で申し訳なさそうにブースに入る男女、六年分くらいの納税の請求書と格闘する男……などなど。壁のあちこちに「職員は納税申告の代筆をお断りします」と張り紙。一瞬、文盲の納税者への対応か、と思ったが、さにあらず、おそらく最後まで納税拒否し「そこまで言うならテメーが申告書書きやがれ、バカ野郎がっ!」と怒った納税者に申告など代筆しようものなら「テメーが書いたんだろ、誰が知るものか」と怒鳴られるのがオチ、その自衛だろうか。でブースに入り担当官と面接。これこれしかしかと事情話す。こちらとしてはきちと申告し納税義務も果たしており落ち度は見当もつかぬ、と説明。これ以上言わぬが「これを認めなければ申訴専員公署に提訴する」という表情は担当官にも伝わっていただろうか。無表情な担当官は事の内容を把握すると「追徴納税は納期まで一ヶ月近くある、追徴課税の対象額と翌年の過剰申告額が同額というわかりやすいケースなので、それを理由に04/05年の過剰納税分をここで還付の申請をすれば二週間か三週間で還付されるので、それの還付を前年度の追徴課税にまわせ、とリクエストしておいてくれれば相殺する」と。そう、それでよい。「あなたの判断、説明はじつに的確だが、なぜ、こんな簡単なことも1階の諮問処では処理できないのか、1時間も要した」と少し文句を言うと、無愛想な担当官は少し笑顔見せる。湾仔皇后大道東を通り抜けると深紅の派手なPacific Coffee店出現。ここはかつて滬菜の老舗三六九飯店の旧址にて、あの深紅の壁のなかにまだ三六九飯店の<過去>残るのかどうか。三六九飯店なくなったのはもう十年近く前だろうが、そのあと萬寧化粧品店となり、その店の撤退で外装解体の最中、壁の中から三六九飯店の文字の出現に昨夏、懐かしさに立ち止まる。それが今度は深紅の壁に。年老いてただただ過去の記憶へのこだわりばかり。早晩にジムで一時間の有酸素運動。帰宅してHappy Valleyの競馬中継見ながら(少し賭けながら)ハヤシライス食す。
衆議院議員河野太郎君(河野三世)のメールマガジン「ごまめの歯ぎしり」にGW期間中の日本の空港の入管業務についての報告あり(入管業務は法務省管轄下で河野三世は法務副大臣の由)。冒頭で「法務省は4月に人事異動があり、空港担当の職員も異動し、習熟度が下がることで、待ち時間の増加が予測された」という一言に愕然。お役所で4月の人事異動は当然だろうが空港のGW繁忙考えれば空港の入管業務は熟練者を据置くことが必要ではなかろうか。この時期に職員の習熟度が下がることはフライトの待ち時間ばかりか安全対策上も我が国の安全をば脅かす悪質なテロリストを対象にした対策(実際には皆無だが)も質が下がることになり我が国の治安にまで影響する(笑)。それにしても各空港の状況を読めば呆れるばかり。
羽田空港:人事異動で人が半分変わり、GW中に外国人が増加するという条件の中でも健闘し、4月24日から30日までの週で平均待ち時間は19分。168機のうち100機は20分以下。
成田空港第一ターミナル:4月29日に最長51分の待ち時間を記録。これはGWで日本人の出国が非常に多く、そちらに職員を貼り付けることになったため。三月末に平均待ち時間21分まで短縮したが、4月の人事異動後に30分まで伸びる。その後4月の最終週に25分まで短縮。セカンダリー審査の部屋がまだないため、ブースでつっかえてはねる数が第二ターミナルの四分の一以下で、これが時間短縮できない原因の一つ。5月末にセカンダリー審査用の部屋が完成すると短縮につながるはず。
成田空港第二ターミナル:3月20日の週に19分の平均待ち時間を記録したが、異動をまたいで4月3日の週には37分にの伸びる。その後、週ごとの平均待ち時間は36、33、20分と落ち着いてきた。
以下、似たり寄ったりの状況だが福岡空港が「人員配置と勤務体制の変更が功を奏して待ち時間20分以上がない状態」で、那覇空港は「EDカードの案内や勤務体制の変更が上手くいって、平均待ち時間は12分」ということは評価に値しよう。
それにしても飛行機の定刻出発をば妨げる原因がバカな乗客の個人的理由での遅れでなく、イミグレ通過が障害になっているとは。香港などでは全く想定できぬ話。基本的に出国など旅券のデータをば光学的に読み取り本人確認して(写真のみ)出国に問題なければ通すだけのこと。審査が必要な乗客をば他の部屋に移すことなど中国の空港などでも設備は整っているのだが(あ、理由は別か……笑)。