富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

読売新聞社「皇室典範改正についての提言」

乙巳年四月十八日。摂氏14.1/24.4度。晴。朝のラジオ(TBS森本毅郎スタンバイ)で冒頭、読売新聞が「皇統の安定 現実策を」と題して読売新聞社が提言まとめたことが話題に。皇室典範の改正に関する提言。「皇統の存続を最優先に」「象徴天皇制維持すべき」「女性宮家の創設」「夫・子も皇族に」といふ4つの柱は今の日本の常識的な世論としては違和感ない。だがそれならわざ/\読売新聞が社としての提言とする必要はない。この「国策に重要な影響力のある新聞社」が提言をするのは古くは正力松太郎原子力政策であるとか社是の如き日米安保体制の維持強化、ナベツネ憲法改正試案だとか、それの良し悪しを超えて国策としてほゞ決定路線のやうなもので憲法改正だつて今でも粛々と素案にはなりかけるが晋三の安易な改正推進の失策さへなければ(当時は国民世論の半数以上が「優しい改憲」に賛成だつたわけで)現実になつてゐたはず……なので今回の皇室に関する提言も何かあるな、と思つたのだけれど森本毅郎の番組冒頭トークで見事に整理された要点を聞いていただけで(紙面もまだ見てはゐないが)おそらくこれは「女性天皇もあり」が実の落としどころではないか、と感じる(森本さんもはつきりとはいはないがきつとそこに着目してゐるはず)。


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そこでコンビニで読売新聞購入。競馬で日刊スポーツはとき/\買ふけれど読売新聞なんて大学生のときに仙台で今は広島テレビ社長されてる飯田政之記者が仙台総局で記事を書いてゐたころに買つて読んだくらゐかも。その頃の仙台には朝日新聞植村隆記者(従軍慰安婦報道があつてその後は週刊金曜日元発行人)もゐて面白い時代であつた。それで読んだ読売新聞社提言はやはり何が言ひたいかといへば予想通りで女性天皇擁立は憲法違反にもならないといふこと(憲法に謳はれてゐるのは象徴天皇制天皇制の世襲だけ)。だから女性の践祚もありといふこと。

 [読売新聞社提言]皇統の安定 現実策を…皇族減 典範改正が急務 : 読売新聞

社説:象徴天皇制 皇統の存続最優先に考えたい : 読売新聞

これもナベツネ生前に大方の路線は固まつてゐてナベツネの政治力で自民党主流派から立憲野田、枝野あたりまでは確認済みなのかもしれない。朝日新聞が同じ提言をしたら「左傾、共産主義の雑言」と罵詈の嵐だらうが読売新聞であるから誰も罵声を浴びせることもできない。

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読売新聞は夕刊で早速の自画自賛

女性皇族の夫と子への身分付与、読売提言に賛否…政府与野党から「議論深まる」と評価 : 読売新聞

これについて朝日新聞は一先ず静観。それに対して「やはり」産経新聞の動揺は隠せない。

「女系天皇」容認の読売提言に与野党から戸惑いの声相次ぐ「与野党協議の考え方を否定」産経新聞

自民党衆院議員三谷某はXで「男系男子しか継承できないからこそ歴代の天皇が政争から免れ日本の歴史が紡がれてきた側面は大きい。日本の知恵と言っても過言ではない」と嘆いたさう。

「朝日かと思い二度見」長島首相補佐官読売の女系天皇提言に「何とも面妖な紙面でした」産経新聞

自民党の大和男子たちが憤慨するのは想定内なのだけれど、やはり一番怪しいのは注目されるこの方。

読売「女系排除すべきでない」提言に疑問の声も 国民・玉木氏「このタイミング気になる」産経新聞

この永田町、霞が関のあれこれの動きを天国のナベツネはさぞやほくそ笑んでゐることだらう。

ホセ=ムヒカ元大統領が死去「世界一貧しい大統領」ウルグアイ:朝日新聞

この訃報にあたり紐育時報がさすがきちんとした追悼記事を出してゐた。

この追悼記事にある昨年のインタビューがこちら。

How to Be Truly Free: Lessons From a Philosopher President - The New York Times

まさに清貧とはこの方のためにあるやうな言葉。左翼ゲリラからこの優しさの世界への半生が何とも味がある。人間かうありたいと思はされる。

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ