富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

歴史の秋

辰年十月十六日。摂氏10.7/20.7度。晴のち曇。やつと紅葉の美しい秋に。それでも昼間は小春日和どこか暑いほど。


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千波湖畔の並木も美しく色づいてゐた。せっかくの広場なのに芝生には汚らしいゴミがちょっと目立つたので見かねて一人で清掃活動は「まるで高砂の尉ね」とT君より……確かに熊手があつたら。


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掃墓(神崎寺)。ミヤギノハギの枝を落として冬に備へる。ワイヤープランツに覆はれてしまつてゐたタマリュウにきれいな実がなつてゐた。


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茨城県立歴史館。敷地内の銀杏が盛り。開館50周年で収蔵品国宝1件、国重文32件を一堂に、の特別展。


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国宝は鹿島神社御神寶とされる韴霊剣ふつのみたまのつるぎ*1。神武東征につながる物語。武甕槌大神と韴霊剣 | 鹿島神宮

国指定重要⽂化財 ⾦銅⾺形飾付透彫冠 ⾏⽅市三昧塚古墳出⼟

この県立歴史館は水戸郊外に移転した県立水戸農業高校の跡地。今日の農産茨城の礎となつた学校である。この歴史館ができたころはほんと気軽に遊び場のやうにしてゐた。当時一緒にこゝや古墳で遊んでゐた親友の一人は歴史好きが高じて本当に歴史研究家になつてゐる。

県立歴史館の特別展も会期末だつたが水戸市立博物館の「角聖」常陸山谷右衛門展も24日まで。

特別展「常陸山谷右衛門「角聖」の生きた時代」 | 水戸市立博物館

常陸山(市毛谷右衛門、明治7〜大正11、享年48)は明治から大正にかけての名実ともに大横綱水戸藩の旧藩士の倅で父親は明治になつて水府で海運業や倉庫経営で財をなしたが没落し旧制水戸中学に通ふ英俊であつた倅は水中中退。剣豪の叔父頼り状況するが持ち前の怪力で角界へ。実際の星取でいへば休場も多く(一定の星を残しての先の休場は当時は星取に加減されず)それでも相撲取りでありながら怪力だけにあらず現役で『相撲大観』なる著作を上梓し米国漫遊ではセオドア=ルーズベルト大統領に面会し華府白宮にて横綱土俵入り披露し英語で歓談。出羽海一門の実質的開祖(先代出羽海も水府の出身)で大相撲の保守本流の名門として相撲鉱工業のまさに近代化に尽力。まさに「角聖」。相撲協会になる組織の礎を築き部屋の維持のための後援会組織化などまさに常陸山なくして近代の大相撲界なしといつても過言ではないほどの功績を残す。郷土の誇りであらう。

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広告で横綱(右から梅ヶ谷太刀山常陸山)の飲んでゐるのがヱビス、サッポロなのが嬉しいところ常陸山はシトロン(清涼飲料水)。撲といへば九州場所。本日七日目。全勝の豊昇龍に阿炎が土をつけ琴櫻と並ぶ一敗に。阿炎は四日目に大の里にも勝つ殊勲。錣山親方もあの世で喜んでゐるはず。若隆景は五日目に豊昇龍の見事な小手投げで土俵上で一回転させられたが翌六日は大の里二敗目となる強い相撲を見せる。横綱定休でも上位陣がこれだけ盛り上げるのだから何より。

*1:刀身223.4cm、鞘長が228.1cm、柄長40.2cmで全長は271cmに及ぶ刀剣。現存する直刀としては、日本最古最大のもの。