富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

第29回 稚魚の会/歌舞伎会の合同公演@国立劇場

癸卯年六月廿八日。気温摂氏25.9/32.0度。台風7号影響で天気不安定。家人と水戸で駅に向かふ途中で通り雨に遭ひ溽く水戸駅まで歩くだけで汗ぴっしょりで帽子まで茹りへな/\に。青春18きっぷで各停のグリーン車だつたので冷房の吹出口に帽子を掛けて乾かす。

東京駅から銀座まで歩く。京橋の東京スクエアガーデンは熱帯ジャングルのやう。

f:id:fookpaktsuen:20230814231019j:image

銀座に入つたところで驟雨。8丁目の渡辺版画店で来年の巴水のカレンダー購入。渡辺のご主人と終戦直後の巴水の水戸を訪れた頃の話になつたがご主人が「巴水の当時の日記に」と仰つてゐた。あとでネットで調べても巴水の日記は活字になつてゐるのかわからず。また次の機会に尋ねてみよう。カレンダーの1本を近くの郵便局からマカオに送る。EMSでの送付でアプリ使つての送り状印刷など当初は面倒だと思つたが慣れてしまふとこれはこれで楽。局員にさう伝へると「さう云つてもらへるとありがたいんですが」と慣れない利用者からの苦情もあるさう。従前の手書きが不可の国/地域が多くなり手書きOKのはずの国からも手書きといふことで送付不可で戻つてくることもあるのだとか。

通関電子データ送信義務化について | 日本郵便

タクシーで国立劇場。国立の小劇場で毎年8月開催される歌舞伎会と稚魚の会の合同公演も第29回目ださう。稚魚の会は国立劇場の養成所出身の役者による発表会で昭和47年から。歌舞伎会は幹部役者に直接入門した役者による会。その二つの合同公演が始まつたのが昭和63年の夏。義経千本桜で(Aプロは)いがみの権太が尾上達夫、狐忠信が市川猿十郎(1959~2004)で維盛が京蔵さんだつた。家人と一緒にそれを見てゐる。そのあとも先代萩など意欲的に取組み本日も菅原伝授手習鑑の車引と佐多村。廓三番叟と連獅子。養成所出身の役者にとつては国立劇場のこの場所こそ彼らの修練の場、その取り壊しは本当に寂しいことだらう。

f:id:fookpaktsuen:20230814231032j:image

若い役者の奮闘が何とも清々しい。一人どうしても七五調のセリフが三味線に合はせられないのもご愛嬌。佐多村(賀の祝)で桜丸女房八重の中村好蝶、連獅子の尾上音蔵、音幸の好演。

佐太村で浄瑠璃(前)の司太夫、連獅子の笛で田中傳三郎も良い。連獅子で田中傳三郎の笛が素晴らしい。殊に傳三郎さんの笛は連獅子の舞ひよりもつい/\注目。能の笛で杉信太朗さんとも仲良くされてゐるやうで杉信が傳三郎の笛を上手と誉めてゐらした。それにしても役者が自分の師匠に何うしてこゝまで似るのかと思つたのは最近では中村いてうさんが勘三郎⑱に瓜二つとか。隠し子か?となる。本日も佐太村で松王丸(新十郎)と梅王丸(松三)がほんと團十郎松緑にそっくりで可笑しいほど。

かなり雨も降つたやうだが(本日の東京の降雨量は22.5㎜)夕方に芝居が終はつたとき晴れ間も見え永田町まで歩き地下鉄で新宿へ。ベルクでビールを一杯だけ飲んで鮨〈いしかは〉へ。豊洲市場が昨日から三連休なのだが美味しい「しんこ」など頬張る。


f:id:fookpaktsuen:20230814231050j:image

f:id:fookpaktsuen:20230814231047j:image

鮨やで入るなり「とりあへずビール」をしないやうにベルクで美味しいビールを飲んでから鮨やでは「お酒」を常温かぬる燗で。家人と二人で行つてもお酒は一合を二本でそれぞれ手酌。つまみの魚介は2種で握り4カン、のり巻き1本をシェア。このくらゐが丁度良い。