癸卯年六月晦日。気温摂氏25.1/31.3度。台風7号は紀伊半島に上陸して近畿圏を襲ふ。台風の余波で午前中は晴れたり曇つたり。午前10時過ぎに水府も線状降水帯に覆はれ激しい雨（29.5mm）。近畿では台風の影響で鉄道も広範囲で運休。
数日前の朝日新聞に掲載されてゐた戦争時の写真。福岡の空襲（昭和20年6月19日）で家々が焼かれ瓦礫のなかで焼け残つた風呂場跡。身体を洗ふ家族の笑顔。家屋、家財道具の全てを失つても家族が生き永らへ、かうして身体を洗へることだけでもの幸せ。まだ戦争は続いてゐるなかで。このカメラを向けられたときの家族の笑顔が強烈に記憶に残る。
阪神梅田本店での「復刻パインアメ缶」販売についてのお知らせ | パイン株式会社
このニュースを新聞で読むまで「パインアメ」の存在すら知らず老いてきた。
家人が「え、知らないの？」と超急市場で買つてきてくれた。菓子売り場に定番であつたのださう。本当に今日まで全く知らず。舐めだしたら、この甘みにハマつてしまつた。
常磐線の電車に乗るときは家にある雑誌、主に5年ほど前からの岩波の『図書』と新潮の『波』だが、これを数冊持ち出すのだが鉄道に乗ると何百回見慣れた車窓の風景でも眺めてゐるか睡魔に襲はれてばかりで片道で1冊読めれば幸はひ。それでも読めば書き残したいことを手帳にメモしたり雑誌の頁を切り取つたり。雑誌を家に持ち帰り「作業」をすれば良いと思ふのだが、その場で済まさないと何だか思ひついたことを忘れさう。メモを取るくらゐなら目立たないが雑誌を切り抜き抜いたりしてゐると「凶器所持」の危険人物に映つてゐるかもしれない。
さすがに糊までは持参してをらず小さく切り取つた断片は手帳で貼る場所のサイズだけ確認して手帳に断片をはさんで帰宅してから貼つてゐる。それでも糊もこんなの（スティックのり 消えいろピットほそみ）があるとわかると出先で全て済ませさう。
いずれにせよ中学生の時に梅棹忠夫『知的生産の技術 』（岩波新書）を読んで「知的な情報といふのはかういふふうに整理して自分の血となり肉となり、にしていくべきなのだ」とわかつたが結局のところ手帳に書きなぐるばかりで何も整理もできず知的財産にすらならない日々が何十年も続いてゐる。
朝鮮で暑気払ひに犬肉を喰ふ日が夏に三回ある、とあつて、三伏？と思つたら、さうだつた。伏日が복날（ポンナル）で三伏が삼복。
この「食用にしてよい動物は蹄の分かれた反芻動物のみ」はチト六ツかしい。
ユダヤ教のコーシャ規定「蹄の分かれた反芻動物は食べてよい」を動物学的に考えた｜岡根谷実里
薩摩の郷中教育があつて西郷、大久保らが育ち、幕末から明治初期に「私学校」の組織化が急速に図られ……は知つてゐたが私学校の生徒らの奮ふ心に西郷が押されて……といふ西南戦争への流れは浅学にして知らずにゐた。薩摩では〈愛〉なくしては語られぬ歴史の世界か。
柳田國男の民俗学は、侵入して滅ぼした側の子孫であるとともに滅ぼされた側の子孫でもある者がなす「供養」としての批判……まさにフォークロア。
柳田國男とか一昨日読んだ田坂広志『死は存在しない』に通じる世界観。古市憲寿は何だかだんだんバラエティ的に先鋭化してしまつてゐるが４年前はまだマトモだつたのかも。進歩主義になる前の時代は「正しいものを正しく繰り返すことが政治の安定」で先例こそが大切にされたといふ。まさに保守とはこれ。そしてユートピアは昔は「世界のどこか」にあるはずだつたのだけれど世界が可視化されてしまふ時代になつてユートピアのある地標は「未来」になつてしまつたといふ。
伊藤比呂美の筆致にたゞ／＼惚れ／＼である。
