富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Kafū et András à Saitama

陰暦十月初十。気温10.2/23.1度。快晴。朝「Jアラート」発令。何うせ警報が「遅い」か「ハズレ」で誰も信用せず。今日は埼玉に行くので気象庁の全国の気象データみたら「あれ?」。フツーは各都道府県の県庁所在地で、茨城だと水戸に県西の館野(つくば)、栃木だと宇都宮と近いが山間の日光、千葉だと千葉に漁業があるから銚子、館山、勝浦なのだが埼玉はさいたま(浦和)がない。すると熊谷。確かに関東地方の天気予報で「水戸、宇都宮と熊谷は」なんて聞こえてゐた。なぜ埼玉は熊谷なのか?と思つたら浦和は東京に近く気温も大きな違ひもなく明治期に養蚕の盛んだつた埼玉県北の天候は大切で熊谷に測候所が置かれたのださう。渋沢栄一深谷で、といふ熊谷偏重ではないらしい。秋晴れの空の下、常磐道から圏央道で桶川へ。愛車はタイヤ履き替へ高速道路の運転も楽。陋宅から90分ほどでさいたま文学館。久が原T君からこのチラシ見せられてあばらかべっそん。なんだこれは?これが荷風散人か。

文豪とアルケミスト - 公式 - DMM GAMES とのコラボなのださう。

チラシや入口のディスプレイはこのキャラでドン引きだが展示は一部がこのコーナーあるだけで他は当たり前に永井荷風。お昼は桶川の隣の北本にある手打ち蕎麦やへ。

太治平(地図/桶川・鴻巣/そば(蕎麦)) - ぐるなび

お店のお勧めのメニューで「花巻そば」とは珍しい。上品な手打ちのお蕎麦でご立派。桶川から所沢まで30kmも離れてゐないので高速道路(圏央道→関越道)ではなく一般道で川越を抜ける。荒川渡るあたりまでは武蔵野の面影だつたが川越は自動車通行多くかなり辟易。80分ほどかゝる。所沢ミューズ。アンドラーシュ=シフ卿のピアノリサイタル。シフさまは2008年春の香港芸術祭以来。今回の来日公演で東京はオペラシティで2回(今月1日と4日)あるのを知つたが谷間の今日が所沢。ミューズの音の良さも聞いてゐたのでこちらに。ピアノはシフ先生お好みのベーゼンドルファ。モーツァルトソナタ17番(K570)からベートーヴェン30番でアンドラーシュ=シフと同じ時代を生きてゐることが本当に嬉しいことと感じる。ちなみにアタシがアーカイヴでデジタル保存してゐるピアノの音源はシフのベートーヴェンソナタ集とパスカル=ロジェのドビッシー全曲だけ。シューベルトピアノ曲はいつも寝てしまふのだが今日は飽きないどろこか聴き入つてしまつた。一昨日迄だつたか演奏曲目発表もされず発表されゝば今回の日本ツアーで曲目発表は所沢公演のみ。といふのはTOCでのコンサートは当日ステージでシフ先生自らが楽曲紹介をして演奏ださうで(奥様の塩川女史が通訳)今日は幸ひに?それがなくシフさまのお好きな曲が好きに並んだもの。さういふわけでチラシに曲目もなし……なので自分で曲目を入れたチラシを作成してみましたとさ。

アンコールではアタシでもなぞられるK545のソナタも美しくバッハの平均律ハ長調でプレリュードからフーガに入つたとき(時間もまだ午後6時だし)このまゝ第1巻全48曲やつてしまふのでは?と思ったほどシフ先生も楽しそう。20分の休憩含み3時間の至福のとき。本当にすばらしいピアノリサイタル。

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この所沢ミューズのホールも音も良くどのお席からもステージが見渡せてステキ。パイプオルガンもきちんと正面に。それを思ふと水戸芸術館の硬い音、ホール内の風景を邪魔する柱、ロビーのパイプオルガンは失敗であつた。2千人規模で通常開催で満席は人が出てくるとこんなになのかと驚かされる。コロナ前ならフツーの光景だつたのだが。地下の駐車場もスムーズに車が出せてありがたい(入場時に500円徴収済みで出口ゲートもない)。所沢から関越道、外環道を走り三郷から常磐道常磐道上り渋滞は祝日で秋の国営ひたち海浜公園帰り名物の「コキア渋滞」なのかしら。所沢から1時間半ほどで水府に戻る。この時間に鉄道だと所沢から西武線で池袋に出て上野から特急でも最速で2時間20分で自動車の方が早くガソリンと高速料金も1人分の運賃より安い。水戸インター近く知己のご夫婦が切り盛りする中華料理や。

王府 水戸店(地図/水戸/中華料理) - ぐるなび

味は当たり前だがあまり日本風味に妥協せず。今日は往路復路ともずっと運転したご褒美にこゝで啤酒を飲ませてもらひアトの運転は家人任せでほろ酔ひ帰宅。