富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

TINのない美しい日本

摂氏16.3/27度。快晴。

香港のMPF(強制積立年金)口座のある銀行(HSBC)から何うしても必要事項記入して返送せよといふ書類が郵便で届きEMSで送り返す。脱税防止のため越境での所得税の紐つけをするのに各国でTIN(Tax Identification Numbers)があれば教へよ、といふのだが日本はこの納税者番号がない。マイナンバーがTINとして利用できるといふ都市伝説もあるが、そも/\本人が申請しなければ付与されないマイナンバーは「あつたら便利」の紐つけ番号でTINには使へない。理屈としては納税者全員に付与された番号でなければTINとして個々人をidentifyできないからである。税務署には納税者毎に「整理番号」はあるがこれもTINではない。税務署が確定申告のために便宜的に宛がつてゐる8桁(つまり最大で国民人口にも足りない)の番号で所得があつても確定申告しない人がもつてゐない番号だから。これもTINとはいへない。そこで日本の場合、書類には「TINを提供できない理由」として「所得税の納入先となる国がTINを発行してゐない」を選んでサインバックすることになる。何だかとんでもなく未開の国に住んでゐるやうに思へてきた(事実だが)。脱税や海外資産がバレると困る人たちが政権を担ひ国の経済を動かしてゐるからなわけで、やはりさういふ人たちに政権を担つてもらふことが日本にとつて安心なのだらう。自民党万歳。

香港は香港市役所が入境者隔離を3日として観察期間中も飲食店への出入りなどなければ買ひ物など出歩きもOKと措置緩和したことで香港便のフライトも徐々に便数が増えてゐる。それで何年ぶりに香港に還らうかといふ知己も幾人かゐる。香港に戻れず面倒なのは銀行の口座手続きくらゐと思つてゐたがコロナのおかげでリモートとオンラインで何でもできる時代になつて、これまで数回、何うしても手書きでサインしないといけない書類をEMSで銀行に郵送しただけで事足りてしまひ香港に絶対に行かなければいけない用事もないまゝ。銀行のマネージャーは何かあればWhatsAppでSMSのやりとりをするだけ。書類の郵送なんて手間とコストを考へれば銀行側も「これでいいのだぁ」らしい。


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この銀行(水戸五軒町郵便局)は子どもの頃から家に一番近い郵便局で慣れ親しんでゐる。昔は確か西町郵便局だつたかもしれない。この郵便局のある場所は当時、五軒町ぢゃなかつたのだから。今もこの郵便局が陋宅から直近なのでよく利用するが「風景印」と「郵便局名入りポスト型はがき」があること今日まで知らず。EMSを出してから早速このポスト型はがき(189円もする!)購入して切手(定形外で140円!)を購入して風景印押してもらひ自宅宛に送らうか、それにしても歩いて数分の近所に送るのも恥ずかしい……と思つてゐたら局員が「63円でいいですか、お出しにならないですよね」といふ。「は、はい、それで」とお願ひする。それなら何うせ郵送しないのだから前島密の1円切手でも風景印押してもらへれば……と思うが

風景印は消印なので、消印という性質上、郵送できる最低の金額以上の切手に押してもらう必要がある。

といふわけで現行では定型の郵便はがきの料金(63円)。旅行先の場合はやはり郵送してもらひ遠くから陋宅に届くのも楽しみなのだが近所の郵便局なら63円でも勿体ないくらゐ。