中共全人代が「反外国制裁法」香港に適用採決見送り。
Beijing unexpectedly postpones vote on adding anti-sanctions legislation to HK’s Basic Law | SCMP
これは6月に中共で成立の同法を香港とマカオにも適用するといふ方向性で検討されてゐたもの。反外国制裁法を香港に適用か 外資は板挟み: 日本経済新聞(20210728)
香港の安定にとつて最重要な前提は「経済成長の維持」。そのためにさすがにこれは強引すぎ。「下部構造が上部構造を規定する」マルクス主義の根幹を今でも中共はきちんと見据えてゐるのかもしれない。
ネットのストリーミングで香港警察の警官募集のPR映像が流れてゐた。 容姿端麗な若い警官が警察に勤務することの義務感、精神的な安定などを楽しく語る。一昨年あれほど絶望的だつた警察が今では香港治安の象徴として丁重に「扱はれる」。実際には友人関係の縺れだとか精神的ダメージやストレスなどあるはずで、それをカバーするだけのメリットが創造されなければやつていけないだらう。警察都市国家化が完成したのだから寄らば大樹の陰で最も安定した就職先ではある。
茨城県知事選挙。2期目狙ふ現職知事の信任選挙の如し。共産党の対立候補は茨城大学の元副学長(地方自治論、経済学者)で「新型コロナから命とくらしを守る」をキャッチフレーズとするがコロナ対策では知事がかなり積極的な動きを見せ国の政策より具体的で通産官僚からドワンゴといふITエキスパートのため昨年の感染拡大期に「いばらきアマビエちゃん」なんて感染通知ソフト導入したり。LGBTに対してもパートナー宣誓制度とか動きが早い。県知事選の争点の一つは東海村第二など原発問題で周辺人口が多いなか共産党候補は原発ストップに対して知事は住民の意見を尊重といふところから一歩出ておらず曖昧。だがこれだけでワン一シューの選挙戦にはならないだらう。
📺昨日放送されたにっぽんの芸能「片岡秀太郎の芸と人」NHKを録画で見る。映像〈沼津〉のお米は平成22年南座の顔見世で仁左衛門の十兵衛と我當(平作)の三兄弟共演は確かこれが初めて。一昨年の顔見世では愛之助の輝虎で越後役。封印切のおえん。仁左衛門丈が兄・秀太郎を「義太夫で本行(文楽はん)をきちんととらえた上での自然体」と評して養子の愛之助は「サワリ(くどき)を梅川など動作ではなく心で演じることのできる役者だつた」と。
郵便サービス見直しの由。土曜日配達はてつきりもうないものだと思つてゐた。郵便配達日数の1日繰り下げも今では今日、明日で急ぐものは郵便で送らない習慣になつてしまつてゐるかも。きちんと早く届けたいのなら一連のなんとかパックをお選びください。速達は290円(250g)が260円に値下げださうだが今どき速達も使はない。アタシなど今でも筆マメな方で郵便をよく使ふのだが急がない前提なので。それにしても漱石だとか読んでゐるとへぇと思ふが昔は郵便がとても便利だつた。日に何度も配達があり夜遅くでも集荷されゝば東京市内なら翌朝には届くし、その日の晩の会合を朝、郵便で知らせたり。電報もあつた。他の通信手段がないからで電話ができてネットになれば当然、郵便に迅速性は求められないか。
この新書ぢたいは「主にウェブメディアでつづった時事評論をまとめたもの」ださうで幸はひ辻田 真佐憲 | 文春オンラインでかなり読める。面白い。「安倍政権批判をすることから「左」とみられがちだが本人は「右でも左でもない」是々非々の構えを心がけ」「望まれることを言い続けるゲームに参加するのではなく、どっちつかずの状態で言論人としての自由を持ち続けたい」。歴史修正主義への批判も求められてきたが「ファクトチェック」だけでは現実は全く動かない。よりまともな物語で上書きしていく必要があると思うようになり「質の高い歴史の見取り図を多様なメディアで示せれば」と模索。そうした見取り図を描く「総合知」の大切さ。コロナ禍で加速したリモート文化は「便利だし全部リモートでいいんじゃない、となると、やっぱり知はやせ細るし上っ面の揚げ足取りが知の形になってしまう。人と会い、会合の後に雑談することこそが総合知を養うんです」。
とても重要なことがきちんと指摘されてゐる。五輪は失敗したもの、と疾うにあきらめてゐるが、この指摘のなかで一番気になつたのは「今まで日本では見たことのないようなルールのない光景」。かつてあつた「政府が無能でも民度で保つやうな美徳」はまだ存続するのかしら。
五輪は本来、世界にその国の文化を見せる良い機会です。パリはまさにそれをめざしています。パリ市長がセーヌ川で開会式をやるとか、ベルサイユ宮殿で競技をやるとか話しているのを聞くと、心が痛むんです。彼女が紹介したことはまさに東京ができなかったことだからです。
パンデミックの中でこんなに大きなイベントを実施するのは異常です。しかも、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長も東京都の小池百合子知事も中止を検討しなかったと認めています。少なくとも、どのような状況なら開催できるか議論し、誰でも理解できるように説明をすべきでした。
関係者400人以上が感染して「想定内でした」と言われても、そもそもいつ想定をしていたのでしょうか。私が今、求めているのは検査データを専門家たちに提供し、科学的に分析することです。それをせずに、「東京の感染拡大に影響はなかった」と言う根拠が分かりません。まだパラリンピックがあります。問題があるなら改善をするべきです。
日本政府が感染状況を全く気にしていないような発信をしている。私たちが医療現場を取材して深刻さを報道しても、世界に伝わらないと感じることがあります。日本はフランスなどと比べると検査の数が極端に少ないので、陽性者数も少なくて深刻ではないと思われてしまうのです。
フランスのパブリックビューイング(PV)の映像を見たら盛り上がっていました。一方、日本は無観客だから安全の面では全く問題ないと思われがちです。しかし、東京でPVがなくても渋谷や新宿で取材してみると、「五輪をやっているから」と遊んでいる若者がいたり、補助金が遅れているから午後8時以降も営業している店があったりしました。今まで日本では見たことのないような、ルールのない光景でした。政府や大会組織委は「誰にも安心・安全な大会」と言いながら、「外に出ないでください」という矛盾したメッセージを出していました。本当は危険な状況でした。