富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

スガ記者会見に読売、産経のいぢわる


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変種株の印度男が足どりで感染防止に躍起の香港市役所。蘋果日報が報じるのはすでに収監中のジョシュア黄之鋒君に昨年六四「非合法」追悼集会参加で懲役10か月の実刑。香港政府が感染防止を理由に不許可とした集会に参加は万の数のなかジョシュア君だけの重罪。見せしめ以外の何ものでもなし。

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ジョシュア君が彗星のやうに登場したのは彼が17歳のとき2012年の香港での国民教育反対運動。この国民教育を「洗脳」だとして抗議活動続け市役所はこの指導要領を事実上撤回。今では想像もできないやうだが当時はかうした市民の反発による政策の失敗で行政長官・CY梁は5年の任期満了で再出馬も能はなかつたほど。1997年以降の香港での民主化要求の運動のなかで反中央政府色が露骨に出たのが、この2012年の抵抗。そこでジョシュア君は北京からして絶対に許すことのできない存在となる。見た目パッとしない、そのへんにいくらでもゐる若者のやうだが彼の政治活動のセンスの良さ、演説の上手さは天性の特筆すべきものあり。

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町で見かけたステキなルノー

東京、大阪など緊急事態宣言の今月末までの延長、「蔓防」指定の拡大の政府決定。緊急事態宣言は継続されても細目は緩和でまるで意味なし。飲み屋、飲食店だけがスケープゴート。実際の具体的な防疫よりも宣言を発出することの儀式化。形式主義。日本社会は本当にそれが好き。スガの午後7時からの1時間きつかりの記者会見。「自治体」が「ぢぢだい」だとか「お聞き」が「おぎぎ」になるのは秋田弁なのか、それは良いのだが記者会見のコメントに内容がない上に「市町村」が「しゅちょそん」、「お会い」が「汚穢」になるやうな口跡の悪さで余計に何を言つてゐるのかもわからない。竹下登の弁護明瞭意味不明や、晋三のあの内容のない語りですら懐かしいとは。スガ会見に立ち会ふオミ会長は脇役の名優なら又五郎Ⅱ、昔なら壽海Ⅲのやうな玄人受けする納得の芸を見せるべきところなのだが疫禍も1年をすぎメッキが剥げた感あり。記者会見。予定調和の記者クラブからの予告アリ質問には下手な棒読み回答。記者の問ひに答える毎に「先ずは」といふが「次」がない。何でも「先ずは」といつてしまふのは何も考へてゐないからだらう。「ある意味で」も口ぐせ。「大型連休が終はり、ある意味で、通常に戻ったわけですが」だなんて。自分にきちんとした自分の考へとしての言葉がないから、このヘボ回答となる。産経新聞は「(憲法に)緊急事態条項がなければ採れないような対策、感染症対策、具体的に言うとどういったものを念頭に置かれていますでしょうか?」だとか読売新聞はワクチン接種につき「総理が表明された7月末までの終了について現状、自治体とのやり取りの中では、どの程度の自治体が7月末までに完了が可能という認識を持っているのでしょうか?」だとかスガを困らせるやうな質問をするし最後の質問に指名されたフジテレビは、きつと上手くスガをヨイショするのかと思へば

2回目の緊急事態宣言を延長する際も議論になったと思うのですけれども宣言が長期化することによる自粛疲れとか、慣れへの懸念というものに対して政府は現状をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
また、国民の中にはワクチン接種が進むまでは結局「宣言と発令と、その解除を繰り返す」ので「いちいち政府の要請に従わなくてもいいのではないか」と、その宣言の効果を根本から疑問視する声も出始めているように見えますが、総理は、どのようにお考えでしょうか。

なんて「朝日新聞みたいな攻撃」をしてしまふのだから。晋三のときにはフジ産経と読売がこんな失礼な質問はぜったいにしなかつたのだが。このスガの三流役者ぶりを見てほくそ笑んでゐるのは晋三その人だらう。

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松竹の月イチ歌舞伎なるシリーズ上映が1回2,200円もとるのでお得な3回分のムビチケなるものを入手。今年度の10回で正直なところ見たいのは11月の播磨屋の熊谷陣屋のみ。それにしても10回のうち6回が大和屋といふのは大和屋偏重がすぎないか。今月の野田版〈研辰の討たれ〉は勘三郎三津五郎の仲良しが相次いで鬼籍に入り福助も元気なときなので懐かしくて見ても良いかと思ふのだが茨城県ではつくばでの上映のみ。
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筒井康隆『エロチック街道 』(新潮文庫) 再読。この一連の短編が書かれてゐた頃の筒井先生はSFから実験的なクロスオーバー作品を次々と発表してゐた時期で中学生のアタシにとつては雑誌『面白半分』の編集長であつた。収録作品で好きなのは「中隊長」「かくれんぼをした夜」「偏在」「遠い座敷」「傾斜」「われらの地図」だが「時代小説」が最愛。池波正太郎とか中里介山、柴錬のやうな、いかにも時代小説で使はれさうな言葉が並ぶが意味不明。それでも「如何にも、左様に」時代小説らしい展開が続くから可笑しくて可笑しくて。

エロチック街道 (新潮文庫)