富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

国慶節

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中共あつての香港」がすつかり当然のことになつた感あり。 「中共あつての香港」は1997年を待つ迄もなく中共建国以来(正確には国共内戦から)まず大陸から人と財力が香港に押し寄せ香港の戦後発展の基盤となり中共の不安定=香港の繁栄といふ反比例が続き鄧小平による改革開放で香港は大陸への投資で経済を発展させ1997年以降も「中共あつての香港」は事実だつたのだが少なくとも习近平登場迄は「それは言はないことにしておいて」一国両制といふ建前をいかに継続させるかで大人の判断が続いてゐたのだが雨傘と昨年の反送中による中共への反発があり、ついに「中共あつての香港」はそれが大権として香港を覆つた。「祖国永远是香港最强大后盾」といふ董建華国慶節祝賀でのコメントはその通りだが林郑市長の「国安法令香港社会回复隠定」は絶対に違ふ。林郑はバカなのである。台湾密航企てた12人のうち2人は終身刑中共検察の求刑(蘋果日報)。明報は国慶の授勲で687人のうち94人が愛国警察で倍増と。


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本日、水府市内にてプチ引越し。レンタカーでミニヴァンを借りたが家財道具はまだ香港にあるので半年の身の回りのものだけでミニヴァンとはいへ荷物がかなり澤山積めて予想より時間に余裕あり少しドライブ。北見町から大坂を下ると那珂川の広い河岸段丘の段丘崖下にかつてあつた那珂川旅館。目立たぬ場所にひつそりとした佇まひで待ち合ひもありやなしやと小学生の頃に気になつた。すでに旅館は畳んでゐるが門構へに当時の風情あり。

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陋宅あまりに殺風景なので南町3の花店よこすかで花を一輪あがなふ。一輪挿しの花瓶もない。その場で花の名すら忘れてゐたがアルストロメリアかしら?と建築家K女史に教へられる。

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日が暮れると部屋はさらに殺風景で、まるで断捨離の好事家の如し。これはこれで嫌ひではない。

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衣櫃もないのでとりあへず引越し用の段ボールで棚を作る。これもこれはこれでよい鴨。 

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須磨帆ではとても写しきれぬが中秋の名月はそれはそれは見事に輝いてゐた。引越しの荷物は片付け終へぬととても落ち着かないので片付け済ませたら夜も遅くなる。裡南町の馴染みの酒場にゆくとすでに店じまひで引越し祝ひでお酒だけ飲ませてもらひ「とり三へ」。

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酒は金砂郷の剛烈。鴨を焼いてもらふ。

疫禍にグリーンランド探検の角幡さん。探検家は不要不急の権化でせう、と。しかし自分にとつて探検は絶対的に「有要有急」なのだが帰国後、取材に来た若い記者に「探検は社会の役に立っていないのでは?」と問はれたといふ。人間界離れた54日間で一変していたコロナの世界。

そもそも探検とはシステムの外側に出る行為だから、ある意味、社会や時代の価値観の否定でもあります。にもかかわらず「社会の役に立つ」という全く逆の文脈で問われたことにびっくりしたんです。極夜を見に行くことが社会の役には立つわけがないでしょう。
社会の役に立つ基準とは生産性に寄与することだと思います。国家や企業は国力や利益のために有為な人材を求めます。公共心や道徳心も含む「社会の役に立つ」人材を求める。」役に立つ」の裏には「役に立たない」人たちが想定されています。

御意。その上で誰かさう思つても時節柄なか/\口に出せぬことを指摘。

テレビで医療従事者の献身的な労働に対し小学生が笑顔で拍手をしている映像を見ました。感謝は本来、個人的な出来事を通じて自分の内側からわき起こる気持ちなのに、その内側が感じられず意思のないロボットみたいで少し不気味でした。