富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

澳門貫徹一国両制

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明日で澳門返還から20周年。不良の落第生たる香港に比べ小粒ながらも中共の意に叶ふ優等生の澳門に习近平国家主席が昨日来臨。かつて葡政府自ら中共澳門返還要望したのだから70年代には香港を自治州化も検討した英国政府との違ひあり。元々が葡萄牙政府の為体で経済不振、治安悪化著しく澳門市民の間にも葡政府への失望から中共施政への期待厚し。中英合意を不安として移民熱高まつた香港との温度差。確かにこの20年での経済成長は特筆すべきもの。
GDP MOP539億→4,403億(8.17倍)
1人あたりのGDP USD16千→83千(5.2倍)世界第2位
平均給与 MOP 4.8千→17千(3.54倍)
と見上げたもんだよ屋根屋の褌だが実際に訪澳で陋巷漫ろ歩けば香港に比べても地味な生活ぶりでとても裕福には思へぬのは経済数値で平均値が高くとも賭場が儲かるばかりで民草の生活水準はけして上がらぬゆゑ。そして
平均住宅価格(800sqf) MOP30万→700万(23.3倍)
といふ数字を見れば実際の生活は好景気でのインフレで余計に厳しくなつてゐること明らか。給与が3.5倍になつても住宅価格がその7倍も上昇しては生活などできたものではない。この20年で人口が43万人から67万人に60%急増は大陸からの新移民によるもの。香港も新移民人口100万人といはれるが総人口の10数%なのに対して澳門の新移民は成人人口の4割余。今回、行政長官交代だが新政権で11名の局長クラスのうち5名がすでに内地出身。

Beijing sent team of mainlanders to study law in Portugal, placed them in top Macau jobs after return to China | SCMP
中共澳門返還前にすでに若い官吏10数名を澳門での生活研修の上で葡萄牙に派遣し葡萄牙法政習得させてゐたとは大したもの。立法会は数名の民主派ゐるが大成翼賛で政府予算承認するだけ(香港のやうな個別事案の予算絡みの審議もなし)。もはや内地の都市と同じなのだから今更「一国両制の成功」とは詭弁も詭弁、嘲笑に値す。唯一特筆すべきことは内地化、赤化がこれだけ進んでもネット環境だけは中共バリアかかつてをらぬことか。それだけの〈自由〉があれば十分であらうといふのが中央政府の感覚なのだらう。

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蘋果日報澳門返還20周年と习近平訪澳に対して九龍巴士事故を1面と最終面見開きに。

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それにしてもいつも首を左に傾げ面白くなささうな表情の国家主席。 

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香港から澳門取材に向かつた報道関係者が入境拒否される。それも蘋果日報であるとか法輪功系の〈大紀元〉ならまだしも無線電視(TVB)はあれだけ親中報道でSCMPはアリババ資本である。具体的にはメディアによつてではなく特定の記者の黒名単あり。香港への圧力に他ならず。

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中共は国内での管理強化と民主弾圧も着々と進み大学に対して学問の自由への干渉も明確化。名門たる復旦大学の校則にも共産党の指導下の学問研究が明記される。

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习近平政権でのこの管理強化と抑圧がどこまでできるものか。その反動はいつか何うなるのかしら。