農暦三月十二日。晴。一月に亡くなつた河野多恵子刀自は一つも読んでゐなかつた。何かの書評で知つて昭和三十六年発表の『幼児狩り』含む同題の短編集(新潮社)入手して一読。谷崎の衣鉢継ぎマゾヒズムや異常性愛といふが「幼児狩り」こそ現実に起きたら怖いが、あくまで夢想の世界。晩に陋宅にて肉骨茶。
▼米国で「希望への同盟へ」と宣つた晋三に対して「対米関係というレンズを通してしか世界を見ない日本外交こそ「戦後レジーム」ではないのか。侵略など国際的に広く共有された歴史認識への言及をひたすら避ける安倍氏の演説は、そんな皮肉を感じさせる」と朝日(論説副主幹、立野純二)。英エコノミスト誌の日米関係についての記事“Base issues”(こちら)も結局のところ日本の対米重視のトラウマ的ジレンマをよく見てゐる。
▼もしも人権保障を第一義とする近代憲法が王権や専制権力との抗争、そして革命のなかから生まれたとすれば、そもそも、そのような近代市民革命をやっていない国では、近代憲法はありうるのだろうか。(佐伯啓思)
▼ニコニコ動画運営するドアンゴの川上量生会長の憲法観:軍事衝突が現実になれば、日本は憲法9条を速やかに放棄し急速な軍事国家化を進めるでしょう。これは中国にとっても望ましいことではない。つまり憲法9条には「相手が仕掛けてくるのを抑止する効果」が期待できるのです。だから集団的自衛権の行使や改憲はできるだけやらない方がいいし国民は反対するべきです。「こうあるべきだ」という理念ではなく「得か損か」というリアリズムで考えれば憲法9条がある方が日本の国益にとって絶対にプラスだからです。(安定した強固な政権として晋三の選択は正しい、とした上で)ネット上の言説を見れば改憲論が優勢に見えるけど、それは一部の人が繰り返し言っているから。若い人たちの本音は「改憲されて徴兵制が導入されるのは絶対嫌だ」ということでしょう。改憲に賛成する人は多くないと思います。