農暦十一月十六日。寝台の寝心地良かったのかしら或は昨晩の赤葡萄酒の良い心地か起きたら午前八時。こんな朝寝貪ったの何年ぶり?でゆっくりと朝食。Z嬢は出街。あたしはといへば11:30にホテルからシャトルバスが出るまで部屋に寛ぎ日記綴る。退房してシャトルバスでフェリー埠頭。手荷物一つ預け路線バスでZ嬢と待ち合せの媽閣。心地よい快晴で木陰のベンチで新聞読んでゐると観光学ぶ学生の問答調査あり応ず。お世辞にも大気汚染や市街の塵埃、汚れなど褒められたものでなし、たゞ路線バス網の拡充だけはご立派と評す。どこの学生なの?と逆に尋ねると旅遊学院だ、といふので「あなたのところのホテルに泊まってゐたのだよ」と伝へるが「あ、そうですか」で終はってしまって謝辞なり宿泊は如何でした?と尋ねられることもなし。Z嬢と下環街。これだけマカオ市街をば隈なく歩いてゐるつもりで下環のかなり著名な下町の露天商街は初めて。“Little Chief”なるフランス人の若者が営む小さなテイクアウトの食堂が新聞で紹介された切り抜き持ってゐて試しにと、その住所の路地訪れたが三ヶ月前の新聞だが已に空き店舗。数年ぶりにPizzeria Toscanaに晝を飰す、がPizzeria Toscanaといへば昔、マカオのフェリー埠頭の向かひ、マカオGPのコックピット?となる建物にあったイタリア料理屋で地の利もよく、それなりに評判で、今は下環で地味に営業中。午後は何も予定もなく媽閣から三十分に一本のコロアネ島は黒砂海岸往きのバスを待って終点まで。黒砂海岸で雲一つなき温かい午後、ぼんやりと海岸から海を眺め呆ける。路線バスで市街に戻り、未だ何もすることもなく二喉頭公園。世界一短いロープーウェイで松山公園。マカオの市街眺めるうちに夕暮れ。まさに東望洋。折からの晴天に夕焼けの写真狙ふアマチュア写真家少なからず。
日暮れて路線バスで新馬路に出る。草堆街の路地にある南記で田鶏の煲仔飯頬張る。この南記も同じ路地の粥の楊六記もそれ/\店舗はあるのだが路地の屋台で営むのが亦た風情あり。昨晩に続きMacau Soulへ。今晩はご亭主一人ででも営業。普段は夫人の他にフィリピン人のスタッフゐるが家族に急な不幸あり帰省中でご亭主一人で忙しい。Quinta Do Monte d'Oiro Syrah 24 08年はRPで“It is becoming one of Portugal’s most distinguished syrahs – perhaps its best.”といはれるだけのシラーズで二時間かけてゆっくりと飲む。そのうちに京都にゐた女将さんが関西空港からのマカオ航空便で戻られ旅荷置き挨拶もそこ/\バーのTシャツに着替へ店に立たれる。その気負ひとスマートさに敬服。昨日差し上げた巴水のカレンダー眺めしばし談義でお別れ。路線バスでフェリー埠頭。晩十時のフェリーで香港に戻る。
▼高村薫さまが安倍内閣を眺め「党の方針に逆らったり、官僚ともめたりしそうもない。そこそこの優等生を集めた印象」として「そつなくまとめてみました内閣」と命名。さすが。「参院選まではトラブルを避けなければならないからTPPや原発、外交などには手をつけないだろう。せいぜい株価を上げて円安に持っていくぐらい。安倍カラーを出すのは参院選後からで、今回はそれまでの期間限定内閣だ」と指摘(都新聞)。御意。村山談話は踏襲し河野談話には触れず、もあくまで戦術、で実に嫌らしい。元沖縄県知事の大田昌秀氏(87)は「沖縄復帰の標語は『平和憲法下への復帰』だったが、実際は『日米安保への復帰』。沖縄人は憲法を大事にする気持ちが強い。新内閣は『改憲内閣』になりかねず、心配だ」と。その通りだらう。株価は大納会で10,395円だかで今年最高値つけて終はったが円安もあり「外国人投資家に好感」って一番これを虎視眈々と待ってゐたのは中国マネー。晋三の経済復活政策が実は中国人を利することになるのに晋三自身も反中右翼の諸君も何故それが平気なのか、があたしには理解できず。
▼中国といへば全人代常委がネット上での個人情報管理強化を決定。全人代常委の決定だから、これが即、法律。ネット利用に身元情報の提供が必要で事実上の実名制だが政府当局はこれは言論統制には当たらぬ、と宣ふのだから。だが百花斉放百家争鳴も良いが寧ろ抑へるだけ抑へてみたほうが抑圧下でエネルギー溜まるばかり、でその反発を中共がどう考へてゐるのか、は興味あるところ。科学的社会主義標榜する中共であるからネット言論にも科学的に対処してゐるつもりなのかしら(嗤)。