富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月十八日(土)晴のち曇り。昼前に尖東。昨晩ご一緒のN学長、K副学長お二人の宿で待合せタクシー雇ひ油麻地。玉器市場。N学長の値切りの名人芸に脱帽。昼に上海街の得如酒樓。何年ぶりかしら。当然のやうに数年前より更に老朽化。これまでも何度か「今回が最後だらう」と思ふがまだ「くたばり損なひ」地上げ屋が虎視眈々と狙ふか。女人街での土産物買ひにお付き合ひ。土曜午後のNathan Rd渋滞でタクシーでこれ幸ひに午睡で尖東のホテル戻り。午後遅く歴史博物館ご案内。スターフェリーで香港島に渡りミニバスで香港大学まで行こうとしたら丁度、波止場から観光路線バス(こちら)出発間際で香港大学も通るので乗車。なぜ「人力車観光バス」なんて名前なのかと思つてはゐたが要するにミッドレベルに坂を上るのに昔の人力車がなるべく傾斜少ないHollywood RdからCaine Rdを走つたのを踏襲、またかつての観光用人力車が姿消して代替の意と解す。タカをくゝつて観光路線バスなど乗たこともなかつたが無蓋の二階建てバスで西環からHollywood Rdを抜けるコースはかなりの迫力で思はず住人のアタシも感動。香港大学で博物館から図書館をご案内。日暮れ近づきタクシー雇ひヴィクトリアピーク。日没の頃で観光客多し。ピークトラム長蛇の列で舊山頂道を歩いて下り下界(といつてもTregunterで高級マンション地域だが)に出たところでタクシーでFCCに往き一酌。款語尽きず。中環で土産物(といつてもタイガーバーム)購入のあと鏞記酒家。Z嬢来て四人で晩餐。羊腩煲が季節。
▼信報に香港城市大学の元学長・張信剛教授による中近東の旅行記不定期連載あり。二十年前に悪友であつたM君のお父さまだが、正直言つて隠居学者の紀行記事に食傷気味であつたのも事実。数日前に39回で連載終了したが、朝日新聞日曜読書欄の筒井康隆氏の連載が終盤のラテン文学についての記述が圧巻であつたやうに、張教授の紀行は最後の2回でイスラエルについて語られる。これがじつに冷静で的確にユダヤとアラブの歴史的関係を語り、張教授が工学の専門家であると思ふと更にいろ/\な意味で興味深いところ。

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