富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-10-11

十月十一日(月)小雨。高温多湿。まるで三月のやう。冷房嫌いのアタシもさすがに窓を閉め除湿機能つける。郷里の母から届いた小包に先帝に仕へられた入江相政侍従長の直筆原稿「ラインは流れる」あり。夏前に網上にて舟橋聖一の古書漁つてゐた際に東京本郷の古書肆・森井の網上書店に舟橋聖一自選集(昭和41年、集英社)あり。この書肆の作家直筆の棚に偶かに相政さんのこの原稿を見つけ、その宏壮豁然たる筆勢に一目惚れ、で奔し押さえたのが、これ。アタシは小学生の頃に郷里に先帝御幸あり旧藩校ご参観で郷里の名士M氏(余が両親の婚儀仲人がこの方)光栄にも陛下ご案内役となられたことで参観終へられた陛下がM氏先導でお出ましになられるのを所謂「地元小学生が日の丸を降つて」拝してゐたのだが正直、陛下より侍従長のその存在の「大きさ」印象に残り、その夏だつたか母や妹と那須に旅行した際にちょうど天皇皇后の那須ご用邸への避暑に黒磯駅前で遭し侍従長を再たお見受け。その後、何冊か相政さんの随筆など読んでゐたが、この直筆原稿のなんとまぁ人柄のよく出た筆致は眺めてゐて飽きぬもの。ところで母から一つ前に届いたゐた小包で、その前述の舟橋聖一の自選集が送られて来てゐたが昭和41年に集英社から上梓のこれは著者署名入りの限定千部の自選集で、その作家といへば石坂洋次郎三島由紀夫源氏鶏太獅子文六井上靖、志賀、川端、実篤、谷崎、山本有三丹羽文雄石川達三と、今になつてみればこんな作家がずらりと存命で著者署名入りの自選集出してゐたのだから……なんて贅澤な時代。その一冊がこの聖一さんで、アタシの祖父がご縁があつたので実家には聖一さんのお手紙や色紙などあり、だが聖一作品が一つも残つてをらず、この自署入り自選集購つた次第。この自選集に挿まれた栞は、書き手が中曽根さんと高麗屋(先代)。大勲位はこの年、旧河野派分裂で中曽根派結成、翌年第二次佐藤内閣で運輸大臣に就任するが、この時まだ四十代後半! 今でいへば河野太郎くらゐだが舟橋聖一の自選集の栞に巻頭の一文を寄すのだから今とは時代が違ふ。だが大勲位の文章は河野一郎を介し面識得た聖一翁への通り一遍等な人物印象で、これぢゃ文春の巻頭随筆でも失礼ながら落選かしら。それに比べ当然「花の生涯」で井伊大老演じた高麗屋

暖い方、恐ろしい方、俳優として斗ってみたい方、あまえてみたい方、出来た方、面白い方、楽しい方、江戸の方……そんな印象がその都度強く、結論は、謎の方でした。

と、この役者らしい素直な書きっぷりがいかにも八代目らしいが、こちらの方がずっと本当に舟橋聖一を知つてゐるからこそ、だらう。
▼信報で練乙錚が「為劉曉波傷感 替共產黨難過」と題して語るは、劉曉波ノーベル賞受賞と聴き有點傷感なのは、自分の祖国の政治的「野蛮」がまるで五、六十年前のソ連のやうで……Boris L. Pasternak(1890-1960)のノーベル文学賞受賞に関する顛末から書き起こされてゐる。

近年,中共宣傳機器不斷向人民灌輸所謂的「中國特色論」,以此否定諸如自由、民主、人權等普世價值的存在和重要性,目的顯然不是追求哲學真理,而是要人民相信另一套特異價值、特異邏輯,以便在它鎮壓異見的時候,所用借口多一些人支持、接受。這種「中國特色」很可笑,與聯共當年做的野蠻一套無異,卻與優質中華文化無關。(略)
要說中國特色,這便是中國特色。(不幸,這篇古文,不列大陸普及教育國文課程,反而在筆者這一代人受的奴化教育裏曾是必讀。)故筆者有兩點看法:其一,中共沒資格談價值層面的中國特色;中宣部宣揚的「中國特色論」源自哪裏,知識分子知道,有多少斤両,路人皆見,目的是什麼,它自己心知肚明。其二,按《正氣歌》裏頭的標準,劉曉波先生有浩然之氣,直追古賢人;西方人明白這種普世價值,頒獎給他完全有理。(略)
我看,中共當局與其咒罵諾獎委員會和挪威政府,不如效法聯共當年的做法:另起爐灶設一個「斯大林和平獎」,與諾獎一決雌雄。斯獎於1949年首設,51年頒給中國詩人郭沫若(就是在自己的詩句中高呼「斯大林爺爺」那位!);56年聯共二十大「清算」斯大林,該獎改名「列寧和平獎」,89年又改稱「國際列寧和平獎」,兩年之後,蘇聯完蛋,俄政府遂把該獎取消。中國要搞,名稱大可改作「毛澤東和平獎」、「鄧小平和平獎」、「李鵬和平獎」,後者尤具針對性,比起「斯大林和平獎」之稱,絕不離譜。一搞,便可爭得這方面的「話語權」。中共有的是錢,搞幾個獎項還不容易?

と、中国政府が何かにつけ「中国特色」=中国の現状や背景が他の国と違ふことをを理由に弁明を図るが、中共のそれは「中華文化」の特色でなく中共の政治的事情だらう、と。御意。もし中共ノーベル賞に抗するなら、かつての東側の例に倣へば1949年にスターリン賞があり51年に中国の郭沫若が受賞したがスターリン批判後に「レーニン平和賞」となり89年に「国際レーニン平和賞」となつたがソ連崩壊。中国ならさしづめ毛澤東平和賞か鄧小平平和賞、李鵬平和賞……いくらでも対抗法もあらうか、と。