富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

华侨城创意文化园

fookpaktsuen2010-02-27

二月廿七日(土)昨日までの曇天がどうにか晴れたが今度は暑い。半袖シャツ。湾仔から跨境バスで落馬州。昨年十二月開通の昂船洲大橋渡り初め。明日の香港マラソンのフルはこの橋を走ると聞く。落馬州より深圳の皇崗に入る。欧米人の入境検査厳しく見えるのは気のせゐ? それに比べ日本旅券はさら、つと。米国の入境検査厳格化やダライラマ、対台湾武器提供とかへの一つの報復なのかしら。路線バス(26系統)で華僑城へ。この路線バス、七年前に(ちやうど2003年のSARS疫禍の直前なので覚えてゐるのだが)父母とK先生夫妻を連れ深圳に遊んだをり社会見学、とこの路線バスに搭つてもらつたのだが七年で途中の景色がかうも変はるものか、の都市化。先づ何香凝美術館。画家の何香凝(1878〜1972)は広東省出身で東京の女子美術学校に学び亡命中の廖仲愷と結婚。廖仲愷国民党左派で連ソ容共唱へ党内テロで殺され東京で生まれた息子がLT貿易の廖承志。何香凝も国共合作に尽力し人民共和国成立後は政協の有力者として活躍であるから画家としての老虎などの勇壮な画風も立派だが写真に写る毛澤東や周恩来と並んでも物怖ぢせぬ人物ぶりが印象的。この美術館では劉慶和、陳淑霞といふ二人の現代画の画家の作品展あり。前者の黒白、後者のパステルカラーでも作風といふかテーマが似てをり館内の二階を左右に上手く使つた展示が巧妙。この美術館の窓の向かうは「世界之窗」(リトルワールド)なのがシュール。続いて隣設の華・美術館(www.oct-and.com)で開催中が「唸影度形」と題した香港の気鋭の七人のファッション系写真家による作品展。これが今日の来深の目的。香港の写真家なら香港で開催してくれれば、とブツ/\と思つてゐたが印象的な展示を見始め、これが香港でならファッション業界の写真家の作品としてそのまゝ商品的な写真となつてしまふわけで深圳といふ一つ距離を置いたところで初めて作品展として成立するのだ、と納得。畏友William鄧達智君など誉める通りの内容。この美術館の隣がIntercontinental Shenzhenはかつての深圳湾大酒店。このあたりは「世界之窗」「中国民俗文化村」「錦繍中華」と大型テーマパーク並び所謂「ベタな」観光地だがそのなかに二つも美術館があり、深南大道のブルーバードの北側には深圳でも唯一無二の高級都市開発の成功例として華僑城があり、更にこれから向かふ僑城東部工業区がアート系エリアとして脚光浴びる。全体として「全くチグハグ」なのだが華僑城地区を形成してゐるのが面白い。で小腹が空いたので古い(といつても二十年くらゐまへの建設だらうが)聚合住宅街の通り端の食堂で蒸餃子頬張り僑城東部工業区へ。工業団地であつたが製造業が大規模となり更に郊外、東莞などへ移るなかで役目終へた工業団地は華僑城建造のデベロッパーが华侨城创意文化园(www.octre.com/loft)として提供。恩平街と山東路を中心にアトリエ、スタジオやギャラリーなど並び古びた聚合住宅は美術関係の仕事につく若者らが住み始め何ともアーティスチックな街並み。その中でも特筆すべきは香港のインテリアデザインの雄、

網上で評判 寧波の帥哥乞丐先生

高文安(Kenneth Ko 1943〜、www.kennethko.com)の巨大なスタジオ。香港の経済成長に合はせ東南アジア味の室内設計で名を馳せ大御所存在。そればかりか五十代でボディビルディングに目覚め「作品としての肉体」を写真集で発表し話題となつたのがもう十年以上前。この深圳の工場建物を借受け設計オフィスや展示スペースなど設営し自らの居住エリアにプライベートジムまでご立派な施設。まぁ表現の作法は個人の自由ですが、この深圳のプロダクションも随所にKenneth Koご自身の御真影が。この露出が彼の芸風そのもの。そこにかなり本格的な手拉の麺を供する食堂やカフェもあり。たしかに此処の坦々麺は美味だつた。アート系の事務所で働く若者らでかなり賑はふ。快適な仕事と居住の空間が此処にあり、ある面、共産主義の理想的社会のやう。だがそれが深圳の騒々しく埃つぽい現実から乖離したやうに存在することも亦た然り。晩に亦た好物の大根おろしの鍋で韮と豚肉をしやぶ/\。地下鉄で東行。書城二つほど眺め(もう読み切れぬので書籍購入せず)早晩、羅湖から香港に戻る。出境でやつぱり日本旅券はアタシだけでなく皆、チェックが簡単に見える。
▼大陸でネット上で評判なのが寧波の帥哥乞丐=イケメン乞食。単なる乞食さんだが見方によつては髪型も服装も今日々の日本風、とさう言はれると慥かに。このまゝドラマに出てきさう。
▼朝日新聞の秀和さんの音楽展望「ショパンはお好き?」はもう老ひて楽しき境地。秀和さんが若い時から聞ひてきた世界の名立たるピアニストの弾くショパンを語る、その愉快なこと。

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