富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-04-19

四月十九日(日)昼にかけジムで有酸素運動と筋力運動各一時間。ジャスコデルモンテ(亀甲萬)「国産 旬に搾つた蕃茄汁」購ひ帰宅して早速、ウオトカはフィンランディアBloody Mary作つて飲んだが「国産」ッて殖産興業的なこの響きがなんともダットサンとか豊田自動車のトヨペットクラウン、スバル360、カメラならニコンSシリーズやオリンパスPenみたいで、この「血のメアリー」には蕃茄汁は多少濃縮くらひの方が合ふやうで「搾りたて」は甘くて薄すぎた。まぁかうして飲んでみないとわからない。YouTubeで水曜晩だかに紐育カーネギーホールで初お披露目のYouTube SOの演奏を聴く。いきなり画面上に「倫敦にゐて紀念すべき初公演に行けずゴメンナサイ」と達者な英語でこの楽団の「大使」ださうな朗郎が登場。朗郎はFT紙(18日、Andrew Clarkの音楽評)によれば倫敦のバービカンホールでピアノエクストラヴァガンツァ挙行の由。でこの楽団は主宰が譚盾(タン=ドゥン)でロス五輪あたりから商売上手だが、ちよつとアタシは苦手。譚盾と朗郎が目立つ、このオケが中国ではYouTubeだから観られないのかしら。気分をかへて同じYouTubeでGustavo Dudamel指揮のOrquesta Juvenil Simón Bolívar de Venezuelaの紀念すべき2007年のBBC Promsの演奏を聴く。YouTube楽団より、やはりこのデュダメルとSBYOの登場の方が今でもずつと鮮烈だらう。BBCのCh-3はまだ土曜晩でヘンデルの250年忌の特集を四時間も流してゐて、これを聴く。夕餉は自家製のハンバーグ。で葡萄酒は豪州のPeter LehmannのMentor 04年。PLのMentorで食べられるハンバーグは仕合せもの……つて、ハンバーグをこの葡萄酒で食べたアタシらこそ仕合せもの、か。煮た棗椰子が残つた葡萄酒に不思議に合ふ。
▼漫画家の丸尾末広氏が乱歩の「パノラマ島綺譚」で第13回の手塚治虫文化賞(新生賞)受賞。何が今更「新生」か、と丸尾氏に失礼な気がするが煙草の「新生」はロングセラーなわけで、それにしてもアタシにとつては丸尾末広は「ガロ」であるとか森田童子のLPや「狼少年」の絵であり雑誌『月光』の人だつた。その人が今も乱歩の「パノラマ」や「芋虫」をマンガにしてゐることが鮮烈なのだつた。
▼スイスはダボス世界経済フォーラムに倣ひ中国が2001年以来海南島(瓊海市の博鰲=Boao)で開催の博鰲亜細亜フォーラム。温家寶首相が主宰、で亜細亜の指導者集め日本からは福田康夫君参加。香港からは自称政治家・文革曾行政長官。これに招かれた芸人ジャッキー=チェン君が「自由がいゝのか、自由がない方がいゝのか、よくわからない。過度の自由は台湾のやうな渾沌となる」「中国人は管理される必要がある」と発言。発言後にあくまで政治上のことで台湾の混乱は過去のこと、と補足の由。また「テレビを買ふなら中国製を買ふか? 自分は日本製を買ふ。中国製で爆発したらたまつたものぢやない。中国製には信用といふものがない」と。なんだか日本で2chあたりで歓迎されさうな発言。(蘋果日報の報道はこゝまでだが……笑、SCMPによれば)ジャッキー=チェンは続けて「中国で映画撮影をしようと思へば中国のルールに従はなければならない」がそれぞれの国には事情があつて仕方のないことで、「海外の国々とそれを比べるのはとても難しい。だが中国は確実に将来は良くなつていく。それが自分のコメントだ」と結んだ。映画「新宿事件」も「悪い中国人」を描いたジャッキー=チェン。とりかたによつては現代の魯迅か。

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