富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-08-06

八月六日(水)朝食をとりながら新聞を読むと台風がベトナム北部に向ふと記事あり。よく見たら台風はちやうど香港あたり。慌ててネットで確認すると香港は台風警報8号発令中。あらゝ……。Z嬢ご静養で昼まで独りで出街。旧市街の邊で晝まえから呑気に按摩。この市街の路地はまだ中上健次的世界。路線バスも慣れると市街網羅の路線がかなり便利。晝にホテルに戻りZ嬢とハノイ站近くのクアン・アン・ゴンなる食肆に食す。ホーチミンの人気店でハノイにも開店。外国人ご用達かと思へばけつこう地元の若い連中にも人気でフードコート的なんでもありのベトナム料理。炎天下、バスでホテルに戻り午後までプールサイドで微睡。ドライマティーニをロックで、と注文するとStraight Upで供されたが「氷でシェイクしました」とプールサイドのウェイターの笑顔に「よし/\」といふ気分。香港に戻るフライトに合はせ16時チェックアウトにしていただけてありがたいかぎり。投宿は朝6時であつたし、結果、正午チェックイン&アウトの既定より前後計10時間余計に滞在。さすがソフィテルメトロポールハノイと感心すること少なからずの三日間。ホテルのBMW7系のリムジンでノンバイ空港へと向ふ。車内に備へ付けのiPodがちやうどピンクフロイドのThe Dark SIde of the Moonなのだ。夕方のハノイの旧市街をピンクフロイド聞きながら自動車で走り抜けるのもなんか感慨深いものあり。香港はすでに台風警報は3号に下がつたが天候不良の影響で19:10発予定のフライトが1時間の遅れ。このノンバイ空港、ゲートがたつた9つで施設は「なにもない」と聞いてゐたがwi-fiは整備され而も無料。ベトナムは銀行でも海外カードで現金引出しは結果的に可能。現金をいつも持つてないと生活できない点では日本こそ後進国かしら。空港でフライトを待ちながら昨日のIHT紙を読むとアレクサンドル=ソルジェニーツィンの長い追悼記事あり。新潮文庫はかなり読んだつりもでゐた17歳の時に親友のロック少年O君に「イワン=デニーソヴィッチの一日を読んでゐないの?、あんな面白いのに」と言はれ読んだ日の頃を思ひ出す。当時、なぜ亡命先が米国なの?とかなり疑問(今でも、だが)。ハノイから海南島を越え台風に向つて飛ぶやうなフライトはキャセイベトナム航空とのコードシェアで後者の運行で初搭乗。多くの乗客の荷物の機内持込みの量が尋常でなくアタシらの手荷物は頭上の棚に置き場もないが乗務員は「足下に置いてください」と他の航空会社によつては「絶対にダメ」なのに。航空燃料高騰で預け荷物の重さ制限が厳しくなり(超過での追加料金徴収もシビア)結果、預けられぬ量を手荷物にするのだらうがハノイの空港は手荷物の個数、大きさ制限など無いも同然、でこの結果。「気流が乱れる怖れあり香港到着まで時間がありませんので」と食後の珈琲、紅茶の提供がなかつたくらいで順調に香港へ(着陸間際は強風でかなりの揺れ)。23時近い空港は延着のフライトが続々と到着したやうで芋を洗ふやうな人ごみ(本日夕方に香港発の90便が欠航し300便くらひが遅滞の由)。帰宅の際は雨に降られずに済んだが深更まで何度か強い驟雨あり。今日はリチャード=クラインの「タバコは崇高である」(太田晋他譯、太田出版)を半分ほど読む。

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