富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-09

農歴八月廿九。寒露。昼過ぎに尖沙咀。猛暑。Harbour Cityにて草間彌生“Dots Obsession - Soul of Pumpkin”開幕式あり。劉健威兄、William?達智君など久々に再会。香港藝術発展局総裁、在香港総領事など列席のなか草間彌生女史からの香港へのメッセージ、巨大スクリーンに映る。草間先生、カボチャの冠り物が素敵。Love & Peace なのだ。で今回のために製作された巨大なカボチャ……移動のため解体可。参観者がカボチャの中に入れもする。開幕式は顔を黄色に塗り黒の斑点のタキシード姿の三人の踊り手がタップダンスで登場、「何かが違う」と思ったが主催者側が仕切るこのイベントでは、ある面では予想通り。圧倒されたのは布に覆われた巨大なカボチャのお披露目。在港の日本人幼稚園児が浴衣姿で現れ「草間彌生のカボチャの前で」日本全国お国ぢまんみたいな盆踊り?の曲に合わせ踊ってみせる。草間彌生のカボチャと浴衣姿の子の盆踊り……日本や世界各地のビエンナーレでは想像もつかぬ、この明らかに間違ったカップリング……だが、もはや笑うしかない。香港藝術中心の館長アレックス君と「40年前の紐育での前衛的なハプニング芸術、全裸の若者らによる「不思議な国のアリス」とかと、この浴衣の子の盆踊りの対比をどう理解すればいいのか!」とただただ頭を抱え感動。昨日この開幕式に合わせ三日ぶりに来港の草間スタジオのF嬢曰く、意外と草間先生はこういうのも受け入れて喜んでくれるんですよ、という言葉だけが救いか。F嬢と一緒に来港の、草間作品扱うO画廊のK嬢も、この「香港の草間彌生」の大いなる誤解を肯定的に楽しんでいただけた様子。それにしてもスゴスギ。早晩に明日のセミナーで通訳してくれるM嬢と尖沙咀。F嬢と打ち合せ。F嬢、K嬢と中環。?記酒家。Z嬢と四人で晩餐。豪州はPenfoldsbin 407、car suv(04年)を持込み。?記はかなり久しぶりだがJ嬢の歓待受け至れり尽くせりのサーヴィス。焼鵝は広東省での鳥インフルエンザの影響で?記でもすでに「断市」と聞いていたが今晩供される。気のせいか冷凍肉?というモサモサでいつものjuicy感がない。致し方あるまい。お二人をスターフェリーまで送り帰宅。寝酒のグラスを台所に片づけようとして廊下で指の間からストンとグラスが落ち、アタシのBaccaratのグラスのうち最も愛用のものが床で粉々に。落胆に言葉もなし。ガラスに比べ薄剥のクリスタルはまるで柔らかな布地のごとし。酔っていたわけでもなく、卓上のグラスを膝で打ち床に落としたわけでもなく、ただ手の中からすっと落とすとは……わが老衰のなせる業か、おめおめと涙ながらに床を拭く。

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