富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-08

十月八日(月)新聞で昨晩の巴里は凱旋門賞の記事を余韻に浸りながらいくつか読む……って斎藤さん須田さんのにようにロンシャン競馬場で見たんぢゃないのだが。AFP電とか物語しているしRacing Postの記事も良い。ところでDylan Thomas凱旋門賞制覇のファロン騎手は今日、倫敦のOld Bailey街の第12法廷に出廷、とAFP電にあり。英国競馬での八百長容疑の由。その前日に見事に勝利納め「人生最良の日」と答えた意味もじっくり。なるほどねぇ。須田さんがブログにかかれている斎藤さんから昨晩聞いた「衝撃の話」とはこのファロン騎手のことかしら(違うかな)。早晩に湾仔。香港藝術中心。このアートセンターのExecutive DirectorであるA君のオフィスで彼とクリエーターC君がHarbour CityのPR担当A嬢とする打ち合せ。末席を汚す。A君曰く草間彌生の南瓜が黄色と黒で異様に見えようとも例えば日本では交通標識だの電柱のカバーなど黄色と黒の色彩は珍しいものではなく(と実際の日本で撮影した風景の画像を見せられる)、風景の一部となり易く、野外に置かれた赤い南瓜もそれだけ見ると異様だが海から眺めると南瓜の背景の丘上に赤い鉄塔が立っており、その塔と南瓜の赤の関係が面白い。それを受けてC君が「公共の色」がいかに我々の意識に刷込まれているか、香港なら例えば「緑と白のツートンカラー」で、スターフェリーの塗装がそれ。草間彌生の野外オブジェが日本では意外に風景に溶け込むものがミュンヘンでは異様に目立つことなど実に興味深い話が続く。自宅にたまった雑誌や新聞を今日こそ整理しよう、と早々に帰宅。ドライマティーニはかなりドライに一杯目を作り、そのグラスにただジンを注いだ二杯目をアタシはこよなく愛す。
▼昨日、2012年の普通選挙実現求め泛民主諸派がヴィクトリア公園に市民で集い傘を用いて「2012」の文字を浮かび上がらせ中環の政府庁舎までデモ行進(主催者側発表で七千人参加、警察発表は四千人)。実質的には十二月の立法會港島区補選でのアンソン陳方安生女史の支援集会。だがアンソン女史本人が会場近くで小一時間の選挙ビラ配りの後に集会場所に入らずParklane Hotelで家族や親近者と昼食、デモも出発から銅鑼湾まで加わっただけで列から離れ御用達の美容室に娘と向い晩の会合に向け整髪の由。普選要求運動に徹底せぬ姿勢にデモ参加者より不満の声もあり。対立候補の葉劉淑儀、これまでの言動や親中左派による支援がアタシ的には「面白くない」が少なくともこのところの葉劉の主張ぢたいは真っ当。例えば03年の公安立法時の「ヒトラーも民主的な選挙で選ばれた」というコメントも言いたことは「絶対に一つの制度が正しいことはない」という意味で、天安門事件の香港での追悼行事も天安門事件の犠牲者を追悼することは正しくても徒に北京中央を刺激することは良策に非ず、と。基本法23条での公安立法も「PRに失敗したが、実際にどれくらいの人が法案を読んだか」、法案ぢたいはバランスのとれたもの、と力説(よーするに立法化しておけば北京も満足で基本法がむしろ香港できちんと効力を発している証左になる、ということか)。レジーナ葉劉自身がアンソン陳方が上司(Chief Secretary)であった当時、昇進や昇級で疎んじられたのは、本人曰く、まず自分に野心があると思われたこと(アンソン陳方自身、行政長官になる野心あったろうに、と反論)。そして前任の保安局長の黎慶寧の言動を非難したことが「公務員の掟」踏み躙ったと思われたこと(……と以上、レジーナ葉劉の香港電台による取材での発言から)。主張には一理あり。ただ問題はこのレジーナ葉劉が当選すると親中派土共の御用政党人士を喜ばすことになるのが癪。今回の補選ではレジーナ葉劉の落選は確実。むしろ次回の立法會選挙では民建聯からも距離を置き引退予定の議長・范徐麗泰女史の後継者として当選するほうがレジーナ葉劉にとっては最良のはず。それにしてもなぜアタシがこんな人を擁護しているのか自分でも嗤ってしまうが……。それほどにこの選挙にかぎらぬが安直な「民主派vs反民主派」といった見方が怖いため。
▼近々発表のノーベル文学賞村上春樹氏との下馬評あり。本人も「してやったり」だろうが内田樹センセイこそタイムリーな『村上春樹にご用心』が売れるのだ。川端康成の「美しい日本の私」(Japan, the Beautiful and Myself)はサイデンステッカーセンセイによる翻訳と朗読であったが、今から村上春樹の授賞式でのスピーチが楽しみ(笑)。
▼香港で今更、歴史的建築物などの保存に関心もたれるが建物全体の取り壊しばかりでなく「ほんの改修のつもり」での破戒などこそふだんあまり気に止めないが深刻なのかも。しかも「新しい建物」が建つのに比べ改修の結果、ただの醜悪、が不愉快。この湾仔のRuttongee病院の門の破壊をした責任者の業務上過失も懲役3年くらいに値しよう。

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