九月十一日(月)気温摂氏廿三度。早朝にいくつか窓を開けると涼風部屋を走り抜ける。さすがに沐浴も冷水厭う。T君より「読書鳴弦」の儀につき、因みに読書は「とくしょ」と読むはず、で親王に日本紀を読みきかすのは明治以降の新案で古儀ではないだろう、と。大方我々は明治のそれも王政復古の頃にはなく明治廿年代に新規創造された奇習?をば古来伝統などと勘違い。読書役は東京大學の国文の教授先生、鳴弦役は自衛隊幹部という話も聞く。虎頭を湯に映すなど本来は故実もいろいろあれ多くが廃れる。Powerbook依然入院のまま。
▼昨日の補遺。忘れたわけではなく香港競馬開幕。夏休み終えての開幕戦は老馬が強いとは言うが特首盃(特別行政区首長つまり行政長官盃)では昨季後半絶不調であった芙蓉鎮(Town of Fionn)がHK$137の高配当で勝ち期待もせずご祝儀で賭けていたからニンマリ。またクラス4の地味なレースだが飛象過河(Flying Bishop)も勝ち、やはりどんなデータよりも自分が馴染んでいる馬に賭けるのが基本か、と思う。毎年の競馬人気の指標となる開幕日の売上は前年比微増。掛け金が1万ドル以上だと15%だかは外れても払い戻しという特典始まったそうだが低額投資者には関係もない話。
▼Z嬢の話ではNW9にて相次ぐ飲酒運転!の報道でキャスター氏が「飲酒運転は公務員だけではなく国民全てが……」云々と宣ったとか。冗談ならむしろ理解できるが「当たりマエダのクラッカ〜」を真剣に言われても相方のキャスターのように「そ、そうですね」しか言葉もなかろう。
▼第63回ヴェネツィア映画祭で最高賞の金獅子賞(Leone d’Oro)に賈樟柯(Jia Zhang-Ke)監督の「三峡好人」が選ばれた。三峡ダム建設により消えてゆく町を舞台にしたそうだが前作の『世界』は上海のリトルワールドな遊園地に働く中国各地から集まった若い芸人、その前の『站台』は山西省の田舎の町で文革末期から解放政策への時代の変化で追いつけない若者たちを描き、とつねに舞台設定と登場人物の組合せが見事な人。賈監督は同映画祭のOrizzonti(地平線)なる新鋭作品部門(こちら)に青山真治監督の新作「こおろぎ」(8月に「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」はショックだったが山崎努と鈴木京香主演のこの「こおろぎ」は是非見てみたい)やスパイク=リー監督“When the Levees Broke”と並び『東』なる同じ三峡ダムのドキュメンタリーも出典しており、詳細わからぬが『三峡好人』よりむしろこのドキュメンタリーがとても見たいと思う。