富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-08-25

八月廿五日(金)銅鑼湾の日本料理、湖舟。芋焼酎薩摩宝山をロックで熊本の馬刺、鰹のたたきに盛岡風冷麺。幸せ。Z嬢と旺角UA映画館にて中島哲也監督、中谷美紀主演の映画『嫌われ松子の一生』見る。昭和なら昭和という時代の世相や風俗に絡ませた演出で、主人公の女が風俗業にという設定は香港だと呉君如の主演した映画『金鶏』思い出す。この演出だと観客が同時代的に共感する部分も多く無理なストーリー展開も受入れが自然となる効果あり。で松子は一度、不幸という窩に陥ればどんどん不幸になる、と、それは黙阿弥なら三人吉三の夜鷹「おとせ」だが、芝居にはよくある話で、松子の場合、不幸という窩に嵌る切っ掛けにちょいと無理あるが中島哲也の演出の巧みなところで濃いストーリーを濃いままに、だがいいノリの演出。役者もこの監督の映画に出演すること大変楽しんでいる。楽しくなければ映画ぢゃない、誰かと映画を見て帰るまでずっと「あの場面……だったねぇ」とその映画の話で盛り上がれることがいい映画だの芝居の証左。但し映画上映前に監督と中谷嬢の舞台挨拶あり、監督が一言「とても悲しいエンディングですが……」と。敢えて筋書きも見ずに映画見ようとしているのに少しでも映画の筋の話聞きたくなし。更に映画終わりがけエンディングロールで画面こそ切られはしなかったが場内明るくなり音楽が止まり司会現われ挨拶し始め監督と中谷嬢とのトークセッションの案内。かなり手の込んだ映画ゆゑ制作者布陣を眺めていたのに。理解できぬ。監督自身は場外におり状況わからず終いかも知れぬが、いくらエンディングロールとはいえ切ってはいけない。この映画、音楽がかなり重要でもある。監督や俳優のトークセッションが嫌いなので音楽も切れてしまったし、さっさと会場出ようとすると扉の外に監督と中谷嬢。雨。帰宅して中井英夫『虚無の供物』読み始める。
▼廿4日づけNew York Timesに“Losing Afghanistan”という社説あり。
Nearly five years after American military forces help topple a Taliban government that provided sanctuary and training camps to Osama bin Laden, there is no victory in the war for Afghanistan, due in significant measure to the Bush administration’s reckless haste to move on to Iraq and shortsighted stinting on economic reconstruction.
だそうで
Americans are coming to see the war in Iraq as something apart from the war against 9/11-style terrorism ― and a distraction from it. The war in Afghanistan has always been an essential part of that larger struggle. That makes it a war that America simply cannot afford to lose.
と。このようなことがあの軍事行為、さらにいったい何万人の生命を奪って得ることのできた、教訓なのか。これだけの他者への迷惑と5年の歳月かけねばならぬほどバカで世界の覇権国家であるとは怖いかぎり。

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