富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十九日(月)晴れても雷鳴轟き遠くの空には落雷見える。驟雨。気温三十度。昨日は華北猛暑となり西安は摂氏42度。昨晩のW杯蹴球。日本は「よくて引き分けか」と思いつつ愛国心にて日本の勝ちとし、伯西の対豪州の勝ちは明らか、仏韓戦は韓国の勢いからして引き分けに持ち込むと期待せばその通り。日本だけ配当に結びつかず。前半終了で香港では中継のアナウンサーが前半のシュート数など数字見せて制球率は日本が上回っても、それに対してあれだけ溜めていれば、とコメント。柳澤君に至っては中央電視台の実況アナウンサーに「何故あそこでまた折り返すのか?」とシュートが折り返しに見られてしまっていた、という。しかも玉田選手の名前はそのまま普通話で発音すると「あなたのご母堂を……」的な「son of the bitch」になったりもする。朝日(衛星版13版▲)一面トップの「引き分け」記事には「攻撃を奏でる」という表現あり。奇妙ながらgoogleで検索しても蹴球関係でわずか5件のみの使用例あり。それほど稀なる蹴球表現が新聞の一面トップに登場とは……。最終14版では消えており、さすがに整理部で気づいた模様。それにしても記者の(というか書き手の、が正確か)お気軽な書き振り。ところで日本のW杯での厳しい展開に残念なる思いこそあれ、せめてもの救いは日本の奮闘などあらば、それまで小泉三世の有終の美に花を添えるかも知れず、それが避けられし事だけでも幸いと考えるべき鴨。諸事忙殺され晩に至る。母より突然の電話あり明後日のNHKホールでのメトロポリタンオペラの歌劇公演『ワルキューレ』のチケット1枚あり「どなたか行けないかしら?」と久が原のT君ご指名あり。午後5時開演5時間に及ぶ歌劇を羨ましいかぎり。T君より本日の都新聞夕刊に今月二日のサントリーホールツィメルマン師匠のピアノ独演会にて、師匠、演奏途中に「日本語で」日本の海外派兵に反対の意を表明の反戦スピーチをした由。「良心を守る日本の友のために」と前置きしてのショパンの葬送ソナタ超弩級の名演だったといふ。都新聞によればツィメルマン師匠、貧しいなか自らピアノ部品を調整しての稽古の人。戦後の東欧に生まれ育ち乱世を知るこの人の、こうしたメッセージの籠もる演奏を聴いて真に拍手喝采する資格ある日本人がどれほどいるか、とT君。

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