六月朔日(木)大雨。今朝の話題は「巴士阿叔」(バスおじさん)ついに正体現わす!に尽きる。単なる一般市民でないことはビデオクリップでの態からも明らかで、すでにテレビ番組がコメンテーターに起用予定とか、なんらかのアテがつくとは思っていたが、この人が香港特別行政区行政長官選挙に毎回(つまり三度連続)立候補の陳乙東さん(51歳、潮州系、無職)だったとは。96年と02年の選挙では董建華当選が事実上決まっており05年選挙も「自称政治家」Sir Donaldの当選決まっているのだから、確かに市民に行政長官選挙立候補の権利はあるが立候補するということはつまり、キ印。次回の行政長官選挙にも立候補を早々と表明。これで立候補すればこれまでの端末候補がいきなり知名度では抜群、さすがに間接選挙制度で当選はまず無理だが、この巴士阿叔が立候補して直接普通選挙など実施されていたら、おふざけでかなりの得票があるはずで、間接選挙制の維持の世論高まる鴨。新聞の取材受ける巴士阿叔のテンションは依然高くキ印全開。英国のGuardian紙やUP、紐育タイムスなどすでに取材受けた、と豪語(信憑性薄い)。それにしても深夜のバスで青年が偶然に「うるさい」と注意した相手がこの人で、この人が激怒する態がビデオクリップに偶然に納められ、それが世界的に流布され、その巴士阿叔の正体判明すればチョキチョキおじさんだったとは。事実は小説より奇なり、と言うが、あまりにも出来過ぎ。で、本日。さすがに昨晩のウオツカはじっくり飲んでいたので二日酔いにはならぬが、目にキテしまった。かなり目が痛い。さすが安酒。350mlで42ドルらしい。早晩に銅鑼湾そごうの旭屋書店に寄る。そごうのエレベーターには今どき珍しいエレベーターガール働くのだが、一人、もう十年は現役であろう、というC嬢あり。表情はどこか和泉雅子(といっても当然、冒険家になるずっと前の、昭和42年、日活の「花と果実」の頃のような)に似ており、かなり年季も入っているが艶っぽいさはちょうど東京物語の頃の原節子か、このベータ嬢の当番の時に乗れたことにどこか安らぎを覚えもする。中環。晩の宴会まで少し時間もあったので、つい入ったデジカメ家電店で、リコーのGRデジタルが価格はHK$5,000と日本が61,980円であるのに比べると14.5円換算で17%も割高だが、DBSカード使えば月々HK$209の24回払いで殆ど無利息。一瞬「買いだな」と決断。だがこれ入手すれば間違いなくContaxの愛機U4R(これだって発売当初は5万円とデジカメでは高級機)も、恐らくNikonのD70sもあまり持ち出さなくなるのは必至。そりゃ余りにもいずれのデジカメにも失礼な話で、せめてU4Rが使えるうちはDRデジタルは買ってはいけない、と自分に言い聞かす。午前中、高座に上がらせていただいた主催者の方らのお招き受け中環は萬宜大廈にある「蔵人」なる日系の創作、多国籍料理屋に食す。なかなか。創作料理とか多国籍料理というのは劉健威兄の言葉借りる迄もなく飲食店にとって「逃げ」の一手段でもあり。であるから余は自ら創作、多国籍料理名乗る店には足を運ばず。だいたいにおいて適当に美味く中途半端で見た目はいいが実際には醍醐味にかける。これまで唯一の感動は初めて多国籍料理を食した、四半世紀も前になろうか、新宿は初台界隈にピガピガ……は恵比寿のアフリカ料理だし、名前失念の当時はまだ東京でもかなり稀であったエスニック料理屋あり、ここが最初で最後。料理がそれなりに美味でも今どき流行りのオープンキッチンで洒落た店にわたしのような年寄りはどうも居住まい悪し。