富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月十五日(火)ロラン=バルトぢゃないが「なんてこった!」で畏友・登β達智の蘋果日報の随筆は始まった。晩に帰宅途中に太古坊のEast Endに寄る。黙っていてもエールが1パイント注がれ、それをぐびっと飲んで新聞を開いて見ていれば、この「なんてこった!」だった。この話は月曜日に彼が「可憐林村祈福樹」といふ随筆書いたことに始まる。この祈福樹については余の日剰十三日に綴ったが新界「土産」の彼がこの樹木について語ればそりゃ素晴らしい文章になる。達智君は車で通るたびにこの老木が放られた橙などで重そうにしている姿を見て漁業だって休漁期あるのにこの木は一年三六五日ずっと痛ましい、と感想述べる。土曜日のあの「事故」見ては達智君ならこう思って当然か、と思っていた。が、今日の「なんてこった!」で始まる「後記林村倒樹事件」といふ題の文章読めば読んだ側が「なんてこった!」と思うのは実は達智君の月曜日の文章はこの倒樹事件の発生する前に旧正月のかなりの人出に感じたままを書いたもの。それが偶然にもこの「事件」と重なり「なんてこった!」である。East Endという酒場は月に一度訪れるかどうかなのに女将といいバーテンダーのW君といい実に親しみあり而もW君のビール供すタイミングは見事。ハッピーアワーにて1杯目のエール飲み終える、ほんの直前に2杯目が出され1杯目をばさっと飲み干すとグラスが変えられる。余計な会話もなく、何といい空間であろうか。いつもエール2杯を二十分かそこらで飲み干してさっと席を立つ。濃霧。帰宅して菊正宗飲みながら「おでん」食す。テレビではNHK歌謡コンサートが始まる。おでんだしこの番組もいいかと思ったがやっぱりダメ。何を歌っても一本調子の氷川きよし谷村新司の熱唱。なんだか知らない演歌歌手の突飛なフレーズの演歌。そして渡辺真知子の怖いくらいの強烈さ。善良なる観客も退いてしまっている。「現在、過去、未来〜♪」と往年のヒット曲「迷い道」歌うが見た目の迫力と衣装、あまりの大げさな振り付けに「迷い道」歩いて「まるで喜劇じゃないの〜♪」って「アンタのことや」。岡留編集長『噂真25年戦記』続き読む。この雑誌名が『噂』が梶山孝之氏の発行した『噂』から借用といふのはなる程と思ったが『真相』が実は戦後すぐの反権力指向の暴露系カストリ雑誌であったと知る。
▼今日のNHKニュース。大阪の小学校での教師殺害で少年が「いじめに遭った」と言うのに対して警察は「いじめの事実は見あたらない」しその名ざしされた教師も「思い当たらない」そうな。少年の証言ただ信じるばかりぢゃないが「いじめ」だの本人ぢゃないとわからぬこと少なからず。余は小学二年と四年の時の担任教師の「指導」にかなり不満あり何度か絶望の崖っぷちにあったが当然その担任はそんなこと全く気がついておらぬ筈。母親はこの息子が最近は活動的になってきたと言っており、ファッション雑誌を見たり髪を金色に染めたりしていた「が」最近は週に一回くらいゲームセンターに通っていた……とニュースは伝える。この「が」で結ばれる文章の脈絡はいったい何なのだろうか。なんでこれほど言葉が乱れるのか。NHKの中継するラグビーの試合で審判のユニフォームに「朝日新聞」とある件についてNHKは「企業の名前」として宿敵・朝日新聞を個別攻撃避ける。だが画面に出ている参考のラグビー試合とてラグビー場にはいくつも企業の看板が並ぶ。それは見せておいてのこの抗議は明らかに朝日新聞だから、と思われても致し方なし。

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