十二月二十八日(金)快晴。昼にZ嬢と快活谷の日本料理慕情。にぎり寿司。親方のT氏昨晩店を閉めてより朝の六時までかけ鏡餅を作られそれを受取り頼まれた某数箇所にお届け。某団体から一月に展示の解説を頼まれ予習もかねて夕方尖沙咀東の香港歴史博物館。香港故事なる通史の展示はわかるが四億年前から語られても……。香港は宋の頃に大きな氏族(登β、候、文、彭)が新界とかに定住して殊に江西吉水に原籍ありという錦田の登βさんが最も有力。この人たちが「本地」といわれ香港居民のマジョリティ、それに続いた客家は偏遠にて農業を営み、恵州からの福イ老(鶴イ老)が漁業を生業とし、水上で生活する蛋家がいる。このへんの民俗関係になると沙田に香港文化博物館を作ってしまい重複はかなりの損失。旧市政局の大きな政策誤謬。英国による香港経営が始まるところからがこの故事の主部だが展示内容がかなり薄くマカオ歴史博物館と比べてかなり遜色あり。雑。「これでもかっ!」というくらい濃く強烈な展示がほしいと思う。最後香港返還で終わるのだがそこから見下ろすと四億年前の原生林、というそういう仕掛け。中環はPrince BldgのBar、Mezz。ダインバーとして心地よい広さと静かさだが、聖誕節の七面鳥注文がHSBCとの提携なんて、普通のバーがすることじゃなし、なにか香港の一大レストランチェーンのマキシム(美心)かフード業界に進出中のWatsonsの臭い、あり。ただそれはかなり徹底的に隠されているのだがZ嬢が目敏くバーの戸棚の隅のほうにマキシムのロゴの入った伝票みつけ合点。天后の利休にてY氏、I氏と鍋でうどんすき。美味い。この不景気で日本人など帰省してそうだが店はかなりの繁盛。ご主人と女将の人徳か。雲景道のY氏宅、バランタインの21年モノを開栓され楽飲。さらにI君と午前三時の閉店まで蘭桂坊の独逸麦酒屋にて痛飲。『千與千尋』の話となりアニメだから傑作となり、あれを実写したらかなりキワモノ映画だという話になり、私がキャスティングとして白は10代の頃の市川新之助、玲はやはり10代のピーター、釜爺は大泉晃に湯婆・銭婆は塩沢トキかと軽口をたたいき、しかしながら千尋は誰かわからない、と言ったらI君から大竹しのぶというご名答をいただく。『青春の門』や『水色の時』に出るよりもっとまえの大竹しのぶだね、絶対にあの役は。