甲辰年十二月初八。摂氏2.3/11.8度。曇。昨晩の雨で今朝の最低気温が2.3度だつたことで夜明けから濃霧がひろがる。陋宅は水戸市街の北崖に建つ集合住宅なので那珂川の平地からひたちなか市から日立市の高地までが霧に覆はれてゐるのがよく見える。太陽が少し高くまで昇ると霧が失せ青空が広がつた。
昨晩、体温はどうにか37度台まで下がりこれで快方に向かふのか、と少し安心。たゞ夜中に目が覚めるとまたヘンな幻覚が軽くあつた。今度は自分の知つてゐる環境でのことだが「不思議の国のアリス」のやうに奇妙な展開のなかにゐた。今日は平熱で咳がとき/\続く程度。今度は家人が体調不良。かゝりつけの診療所で検査するとコロナもインフルも陰性なのだけれど。アタシは自家用車運転してゐるとアクセルとブレーキの踏み間違ひみたいな重大な過失ではないけれど判断が普段なら無意識でできてゐることが一寸危ない。感染の副作用なのか加齢によるボケなのか。筒井康隆先生は新潮社『波』で矍鑠たるも連載も再開後継続で「九十歳、何がめでたい」と吠えてをられる。筒井先生あれほどの有名作家なのに原宿の家も表参道から一本入つた、とても人の目につきやすい場所なのに立派な日本家屋の門前に「筒井康隆」と立派な表札を掛けてゐるが神戸垂水で現在入居してゐる超高級老人ホームも名前を明かしてゐる。こゝの住所宛でファンレターとか誕生日プレゼントとか届くのか。なにせ定員101名の施設で「何しろここで仕事をしているのはおれだけ」ださう……そりゃさうだ。高級老人ホームなので定期的な外出ツアーも近所の公園だとかAEONに買ひ物ではなく三ノ宮旧居留地にある京菜の老舗「第一樓」での昼食。
前菜盛合せが伊勢海老、海蜇など 海老入りの今どきふかひれスープ 大海老のケチャップソース炒め 国産豚バラ肉の香味煮込みと中華パン 春巻きと揚げ物 海老、烏賊、国産豚肩ロースと季節の野菜のうま煮 第一樓特製餡まん ポテトとバナナの餅巻きの飴炊き 第一樓特製プリン
富裕層の高齢者たちが昼のコースでこんなに飰すとは何といふ健啖。あれほど連日かなりのグルマンな食生活を続けた笑犬楼が施設居住で提供される三食には飽き/\してゐて、この第一樓の昼食には久々に実に満足されただらう……と思ひきや先生曰く「ずいぶん味が落ちた。傲りがあるようだ」。まだ/\先生お元気さうである。