富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

延江浩『銀座巡礼 夜のうたかた交友録』

辰年十一月廿五日。摂氏▲3.2/11.0度。晴。延江浩『銀座巡礼 夜のうたかた交友録』読む。月刊『銀座百点』2020年6月号~2023年12月号に連載の単行本化なので一通り読んでゐたものの再読。再読したいほどの「ちょっといい話」なのだ。佐々木忠(JUN)、磯野計一(明治屋)、福澤武(三菱地所)や小松敬(小松ストア)など幼いころから銀座で遊び大人になつて銀座を楽しむ人たち。ラジオプロデューサーである著者(延江浩)も暁星から慶應といふ銀座の王道。この連載で取り上げられる人たちは三田が多い。銀座は荷風散人が嘆いたやうに慶應の学生が傍若無人ぶりなのだが(荷風だつて慶應で教鞭をとつてゐた)この『銀座巡礼』では歌手の小林麻美の話も良かつたが白眉は何といつても久世朋子の物語。あの騒ぎで久世光彦と結ばれた朋子は久世の死後、銀座で茉莉花といふバーを開く。全くの素人だつたが朋子が知人らに出した案内で店に駆けつけたのが小林亜星。相談してくれゝば手助けしたのに、と亜星は上客を次々と紹介して朋子を助ける。この話を通しでもう一度読みたかつた。やはり銀座はステキだ。今でも銀座に行くとどこか落ち着く。慣れてゐるのは新宿なのだけど好きなモノの買ひ物ができて美味しい食事があつて一人でふらりと立ち寄れるバーがあつて……銀座は落ち着くのだ。

銀座巡礼 夜のうたかた交友録