富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

原武史「TX延伸への期待」

農暦五月廿七日。気温22.9/36.2度。快晴猛暑(伊勢崎で6月期の国内最高気温40.2度を記録)。
昨日の武田砂鉄のラジオ番組(TBS)を今朝ラジコで聞き始めて当然、昨日がプレミアムフライデー(PF)といふ話題で、しかも24日がPFになることも珍しい*1……だが喜んでゐられないのは、と評論家・小田嶋隆氏逝去の訃報。砂鉄さんが小田嶋さんの思ひ出を語られ、流れた曲がサイモン&ガーファンクルの〈サウンドオブサイレンス〉であつた。聴いてゐて感涙に咽ぶ。

コラムニスト小田嶋隆さん死去:朝日新聞

小田嶋隆は呟板でずつとフォローしてゐたし小田嶋隆を最初に認識したのは『噂の真相』の昔で、それでも著作をちゃんと読んでいゐない!と思つて市立図書館で検索すると訃報は昨日のことだつたのに『超・反知性主義入門』も『小田嶋隆のコラム』も在庫ありで慌てゝ予約済ます(本日のうちに借り受け済ます)。

まさに灼熱とはこれかといふ猛暑。風がない。善良なる国民に対して政府は屋外や室内でも誰彼と距離があり黙す場合は口罩着用不要で熱中症対策を!と呼びかけ。冷房をつけてゐても換気はきちんと。摂氏35度以上では換気すると暖房のやうな熱風が入り込む。冷房は効果ないまゝ作動し続け電力浪費甚し。で電力需給逼迫の警戒とは。少なくとも古呂奈と酷暑=電力のリスクを考へれば明らかに後者が深刻。だが、この防疫と防暑のジレンマで結局、まったく効率さも良識もないジレンマに陥る。太平洋戦争のときの無思慮から何も変はつてゐない。今日もハイビスカスが美しく咲いてくれた。

原武史(歴史のダイヤグラム)TX延伸への期待:朝日新聞

毎週楽しみに朝日新聞周末版(be)のこの原先生の鉄道話の連載を読んでゐるが今日のこれはちょっと無理やりすぎやしないか。昭和7年の五・一五事件犬養毅首相暗殺に加へ東京府内の六つの変電所同時襲撃=帝都を暗黒に、もあつたのは事実。これの首謀者が水戸の農本主義者の橘孝三郎

なぜ電気が狙われたのか。当時の鉄道事情を探ってみると興味深い事実が浮かび上がる。東京から北関東方面には常磐線東北本線高崎線が延びていたが、いずれも非電化路線だった。一方、東京と栃木県や群馬県を結ぶ東武鉄道はすでに電化されていた。だが茨城県には県内を結ぶ中小私鉄はあっても東武に相当する私鉄がなかった。このため電化の恩恵が東京から及ばなかったのだ。(略)電化の恩恵が及ばない茨城県に住んでいたからこそ逆に東京の「異状な膨大」に敏感にならざるを得なかったということはないだろうか。

と原先生。常磐線の電化は遅れ昭和36年。栃木や群馬には新幹線も走り宇都宮や高崎からは池袋、新宿、渋谷に一本で行ける湘南新宿ラインが出ているが水戸や土浦からはせいぜい常磐線が品川発着になつたくらゐ。「そう考えると」茨城県つくばエクスプレス(TX)延伸目論むのもわかる話で「新幹線でもリニアでもない鉄道の誘致にこれほど熱心になること自体がいまでは珍しい」と原先生。侮蔑かね?

江戸時代の水戸藩尾張紀州と並ぶ御三家の一つだった。だが明治以降、茨城県は東京を中心とする鉄道網からしだいに取り残され東北・上越新幹線湘南新宿ラインの開通がそれに拍車をかけた。TXが延伸すれば東京につながるもう一つの線がようやく茨城県のつくば以北に延び常磐線と競い合うことになるだろう。

おいおい……TXが常磐線と競つたって何になるかしら(笑) つくばまでで秋葉原から最速で45分で各停なら1時間近い。つくばから延長ならさらに遠い。しかも東京でJRに連絡するのは北千住、南千住と終点の秋葉原だけ(浅草に迂回するとかよくわからない)。これぢゃ湘南新宿ラインの豪華さからは天と地で常磐線の土浦以北が各停でも二階建てグリーン車で快適なのだからTX延伸が便利とは言ひ難い。原先生、権威になつてしまつてあまりに持論が妄想の域ではないか。出来損なひの「五一五事件」「茨城の鉄道史」と「TX」の三題噺である。

f:id:fookpaktsuen:20220628050621j:image

香港の水上レストラン JUMBO(珍寶)が遠洋に引曳され、その行き先はカンボジアだとされてゐたが「中共領海内でである」西沙で悪天候で転覆し海底に沈んだことにつき曳船の船長による意図的な海洋投棄の疑ひあり。まずさう見て間違ひないだらう。

f:id:fookpaktsuen:20220628050557j:image

大公報が香港に住む外国人が「もう香港を離れたくなんかないね」の香港賞賛といふ記事である。噴飯もの。大公報が「上手くいつてゐる」といふときは「上手くいつてゐない」のであり「外国人が香港を離れたくない」はつまり「香港を離れる外国人が多い」で、それを何うにか引き留めたいといふこと。実際に私も含めかなりの数の香港に長年住んだ日本人だつて香港から日本に戻つてしまつてゐる。

*1:月末が31日でない月で今年は今月で次は来年2月、昨年は9月、一昨年は4月の年1回。だが手強いのは2月で2月には22日、23日のPFもある。それでも22日のPFは2025年で23日のPFとなると2036年までないとは。