香港で生後12日の新生児が感染だといふ。子どもはコロナの免疫があるとかいはれてゐるが新生児ではまださまざまな抗体もないわけでコロナも含め疫病に罹つても不思議ではないと思ふのだが。
それにしても「日本のメルトダウン」感じさせるコロナ対策。「緊急事態宣言を出すこと」「蔓延防止措置の適用」が目的のやうに重点となり、そればかりで何事も進まず。これが旧民主党政権だつたら「政権交代」といふ選択があつたが自民党政権では政権交代すると「悪夢」なのでそれもできない。結局のところ無策で社会は無節操に。日本は何うすればこゝまでダメな国になれるのかしら。数日前の毎日新聞で中村文則さんの指摘が印象深い。
日本は安倍政権時にコロナ禍を迎え、既に国会(政治の中心)は虚偽に覆われ、言葉も論理も崩壊していた。そして対コロナ対策の失敗も、崩壊した論理/言葉から始まっている。それは、もうお忘れかもしれないが、感染者が増え始めた時、日本のメディアで一部の論客がなぜか口をそろえ一斉に主張し始めた「検査数を増やせば医療崩壊が起きる」という意味不明の謎の言葉だった。こんなことを言っていたのは、世界中で恐らく日本だけだ。台湾やニュージーランドの指導者が聞けば仰天しただろう。
検査数を増やせ、の訴えは同時に、軽症者や無症状者を一時的に隔離できる施設(ホテルなど)の用意を前提としていた。医療が崩壊するはずがない。むしろ感染者を見つけなければ水面下で広がり、突如拡大し医療崩壊が起きる(そして起きた)。この言葉は言い直すなら「検査数を増やせば保健所崩壊を招く」が正しい。だから保健所だけに任せず、国を挙げて民間の協力も得てやれと多くの人は訴えていたのだった(だがまだやっていない)。日本のコロナ対策の失敗は、従来の枠組みでコロナを迎えようとした結果、それを越える政策を放棄したことに尽きると思う。
一太郎Government 9 - 官公庁・自治体向け 日本語ワープロソフト | ジャストシステム
官公庁で法律条文にミスが少なくないのは未だに文書は一太郎で若い小役人たちが一太郎慣れしてゐないことが原因などといはれてもゐるが一般社会ですでに駆逐された一太郎が未だに官公庁や教育現場では使はれてゐるといふのは本当なのだらう。一太郎に官公庁・自治体向けに特化したワープロシステムがあらうとは驚いた。確かにATOKの日本語変換能力は高い。
だが「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」と(例文も同音異義の言葉並べて無理やりだが)これほどの長さの文章を変換もせずにずつとひらがな打ちするかしら。それを適宜漢字変換されるとしても当て字ばかりか旧かなを使ふアタシなどATOKの変換能力の高さに大して魅力も感じないのだが。むしろ懐かしいのはエルゴソフトの日本語ワープロソフト「egword」であり、その日本語入力システム「egbridge」である。このソフトと日本語入力システムは淘汰されたかのやうに思はれたが「物書堂」となりワープロは「かわせみ」として生き残り辞書アプリも人気あり頼もしいかぎり。これで富士通の親指シフト入力があれば至福なのだが。
株式、銀行、紙幣、保険、そのほか今の世界を動かしている原理は全部、ピューリタン革命後の70年間くらいのイギリス人が作ったもの。今僕らの生きている世界がいかに足場の不安定なものなのか、これを読んだだけで分かる。
柴田元幸訳『ガリバー旅行記』毎週金曜日の朝日新聞に連載中。もう1年以上になるがコロナ禍でアタシも含め毎週きちんとかゝさずの読者も少なくないだらう。小説はあまり読まず米文学は遠い世界だが柴田元幸訳だけはよく読んだ。
初めて「鳥越文蔵」といふ名前を目にした時に何かの芝居の役名かと思つたら早稲田の先生で義太夫研究の第一人者。2017年5月の毎日新聞に鳥越先生とドナルド=キーン、そしてドナルド先生養子の鶴澤浅造師に関する興味深い物語ありこの日乗に要旨まとめてゐた(こちら)。