富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦二月十五日


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民主派人士の豪州逃亡を叱る大公報。中共が欧米での対中制裁の見返りに欧米組織や個人に見返り制裁で香港司法の非常任の海外裁判官も含まれると報じる蘋果日報。その蘋果日報の1面右にある記事はかなり嗤へるが中共による欧米ブランド排斥に呼応してみせる香港の立法会議員・レジーナ葉劉淑儀。

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本当はバーバリーのストールが大好きなのだが「英国憎し」でバーバリー製品の着用を止めるのだといふ。それをこんな安倍晋三の「うちで踊ろう」のやうに見せかけで茶番してみせる……何といふ陳腐な浅ましさ。両手の指輪は中国製なのかしら。

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元記者の良識派人士が勇気をもつてレジーナ葉劉淑儀のバーバリー製品排斥を、英国製家電でパロディにしてみせた。立派。だがマジにこれをやるだけで公安法で逮捕されてもおかしくないのが今の香港。

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酒好きだつた志村けんさんがずつと愛飲してゐたといふ薩摩の芋焼酎、それも焼き芋焼酎の〈大地〉を入手して飲んでみる。この製造には杉良太郎さまも関はつてゐるさうだが麻布界隈で志村けんといへば、この焼酎。芋だがすつきりとした味はひで、それでいて風味も十分で、これは確かに美味い。

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木村屋本店の春菓子

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感染防止がための飛沫対策。中学入試で机毎に仕切りとか、小学校の卒業式で手話で校歌斉唱とか。正直言つて教室や体育館に集まつただけで感染は防げない。多少感染者が少なくなるかもしれないが。結局のところ、かうした措置の効果は信じられなくとも「何も対策を講じていなかつた」と言はれないやうに何かしてゐるだけにすぎない。戦争中の竹槍とか蒟蒻爆弾など効果もないとわかつてゐても、さうした行動に従ふことが免罪符の時代と何もかはりがない。

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朝日新聞佐伯啓思「異論のスゝメ」は保守思想がいかに意義深いものかと毎回楽しみに読んでゐたが今回の「スペシャル」で

「魂」という言葉や観念をうみだすことで死者と生者の交感の装置を編み出した我が国の文化の一断面について論じてみたい

といふのには驚いた。本来の〈保守〉こそ国境を越へ世界に普遍的な価値観だと思つてゐたが佐伯先生をして、こんな国粋主義に陥つてしまふとは。霊魂や死者との交換など世界中に当たり前だつた観念なのだが。やはり、かうしたところに保守=右翼=国粋となる危ふさがあるのだらう。

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新潮社『波』の巻頭で筒井康隆先生の短編連載が続いてゐるが最新号の『羆』などアタシの乏しい想像力ではとてもついてゆけない、あっちに行つてしまつた。ただ一つだけ確かなことは羆(ひぐま)を撃ちに挑む猟師父子の会話に筒井康隆と昨年急逝の息子さんの関係がだぶってしまつて、それが何とも響いてくる。