富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

「一地両検」

fookpaktsuen2017-08-10

農暦閏六月十九日。朝イチで銀行の担当マネージャーV君とアポ。日本から持ち出した日本円の運用。まず為替がUS$1=110円なので円高とも円安ともいへないが一先ず105円まで待ちませう。その上で今回は投資ファンドといふことで低リスクで安定して、そこそこの利回りは何?とムシのいゝ話だが相談。米国と新興国国債ファンドですかねぇ、とV君。銀行といへば我ながら几帳面でおカネをお財布に入れるとき表を上は当然として「出ていかないやうに」と上を財布の底にすることは大阪の先達に教はつて真似てゐるが更に額面は(右利きなので)手前は少額からにすると人前でおカネを出す際に見た目上品ではないか、と。たゞ整理はアトになると面倒なのでいつもすぐに、で銀行の窓口やATMマシンの前で紙幣を揃へてゐると「何をしてるの?」と見られもする。
▼最近の香港での話題は開業遅れる深圳南〜香港間の高速鉄道で香港側の九龍站で香港と中共の出入境審査を1カ所で行ふという「一地両検」が中共側の管轄が香港に出張ることで一国二制度での香港の自治崩壊を一層進めるのではないか、といふ懸念。技術的には香港を出た旅客がの行き先は深圳から広州、北京までまちまちで国内線でそれぞれの站で入境審査することは難しい*1。逆に香港に降る場合もテクニカルに不便は一緒。そこで香港の站で両地の出入境審査ができれば、となる。その場合、中共側の管理職員は香港に滞在できず毎日始発で香港側に出勤し遅番は最終列車で少なくとも深圳まで還ることに。香港内で中共の国内法が執行されることは政治的には懸念も当然あり。例へば中共側のエリアで「一党独裁反対!」とスローガン叫んだら中共側の公安に検挙されるのか、ネットは国内で禁じられてゐるFacebookYoutubeなど利用できるのか、といつたことまで問題に。そも/\鉄道網を敷くといふことが近代国家でどれだけ政治的、国権的かといふことは明白で北京からチベットのラサが鉄道で結ばれることでチベット支配が強化される証左であり海南島も無理にフェリーに列車を積んでまで北京から直結され、それと同じことが香港で実現しようとしてゐる。さらには北京から台湾海峡を潜り台北高速鉄道で結ぶということは北京中央は真剣に念頭にある事実。香港に中共高速鉄道網導入を決めた段階で「一地両検」は必然的であつた、といふこと。

晋三=嘘つきといふ認識の定着。

*1:現在の広九鉄道では香港を出ると深圳(羅湖)は停まらず常平、広州、肇慶でそれぞれの站に入境審査があるが、そこからは乗車できない国際列車の降車のみとしてゐる。